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リーダーシップ開発を成功させる7つの重要ポイントをプロが解説

目次
リーダーシップ開発として、単日の研修や中長期の研修プログラムを実施している企業も多いのではないでしょうか。こうしたリーダーシップ開発への取り組みに期待する効果を尋ねると「測定可能な成果(実績や実益)を組織にもたらすこと」と回答する企業がほとんどです。
リーダーシップ開発への投資から最大限のリターンを得るためには、リーダーシップ開発の成果を左右する要素があることを理解すべきです。
そこで今回は、リーダーシップ開発を成功させる7つの重要ポイントを紹介します。各重要ポイントは、リーダー育成分野の権威であるCCL(Center for Creative Leadership)が40年にわたる綿密なリサーチをもとにして特定したものですので、ぜひ参考にしてください。
リーダーシップ開発とは
リーダーシップ開発とは、リーダーシップの発揮に必要なスキルを身につけるための研修やプログラムのことを指します。
そもそもリーダーシップは複合的な能力で構成されており「目的達成のためにチームをひとつにまとめる力」「部下を指導・育成する力」「トラブルにも卒なく対処できる力」などと表されます。これらを構成する詳細な能力として、判断力や実行力、影響力、指導力などが挙げられます。
リーダーシップ開発はこうした能力を身につけるために行う研修やプログラムの総称と捉えると分かりやすいでしょう。
なお、リーダーシップスキルについて、詳しく知りたい方はぜひこちらの記事もあわせてご覧ください。
リーダーシップスキルとは?必須スキル4つを人材開発のプロが紹介
リーダーシップ開発を成功させる7つの重要ポイント
リーダーシップ開発を成功させる7つの重要ポイントを紹介します。
1.事業部・ビジネスユニットのトップを巻き込む
研修やプログラムを受講する社員が所属する事業部やビジネスユニットのトップが、協力・支援(アラインメント)体制をとれているかは非常に重要です。
各部署のトップがリーダーシップ開発に何を期待しどう考えているのかは、部下である参加者が研修に対して抱く考え方や、終了後の環境に直接影響を与えます。例えば、参加者が現場に戻った時に「プログラムで聞いた話なんて関係ない、現実は全然違うんだから」などと言われることが無いようにしましょう。
そのためには、参加者だけでなく事業部・ビジネスユニットのトップを巻き込むことが欠かせません。
2.参加者がプログラムに参加する理由を明確にする
リーダーシップ開発として研修やプログラムを実施する際、参加者に「なぜこのプログラムに参加しているのですか」と尋ねると、参加者の約3分の1が「人事部や上司に言われたから」と答えるのが実状です。これでは、参加者は心ここにあらずの状態で研修やプログラムをこなすことになってしまいます。
そこで、CCL(Centet for Creative Leadership)では、参加者がプログラムに参加する前に、プログラム中にフォーカスすべきこと、上司の期待する成果、プログラム後に上司が参加者にどのようなサポートを与えるか等について、参加者と直属の上司とで話し合い、双方で合意してからプログラムに臨むことを推奨しています。上司が部下をサポートするためにできる重要なポイントについては、別途詳しく紹介します。
3.リーダーシップ開発の専門機関と連携して取り組む
リーダーシップ開発を自社のみで実施するのは困難なため、専門機関と連携して取り組む企業も多いのではないでしょうか。専門機関と連携して取り組む際は、信頼して「情報共有」を密にとることをおすすめします。
CCLでの事例で、あるプログラムを実施したところ、プログラム終了時の参加者からの評価スコアが低くでたことがありました。その後、人事担当者に話を聞いてみると、社内で大規模な組織再編が発表されたばかりで、全員が職を失うことを心配していたことが後から判明したのです。この背景を知っていれば、専門機関としてワークショップの中で参加者が変化を乗り越える手助けをすることができた可能性がありました。
専門機関は入念な調査によって組織の情報を得て、その組織独自の状況と文化を理解しようと努力します。そしてその情報をもとに、ニーズに応じたプログラムを開発することができる状態になっていれば、専門機関との効果的なパートナーシップを組むことができるのです。
4.リーダーシップ開発の取り組みに優先順位をつける
組織がリーダーシップ開発に投資する理由はさまざまです。例えば、新任・若手のリーダーが正しいスタートを切るための準備、高いポテンシャルを持つリーダーが更にステップアップするための支援、急速な事業拡大や文化的な変化に伴う個別課題への対処、などが挙げられます。
ただ多くの場合、様々な制約条件との兼ね合いがあるため、全てのニーズを満たすことはできません。そのため、事業部・ビジネスユニットのリーダーと協力して、何が最も重要で、どのような取り組みをサポートできるかを、優先順位をつけながら判断する必要があります。
5.シニアレベルのリーダーだけに焦点を当てない
予算や時間の制約上、計画に優先順位をつける必要があります。ただし、全く何も施されないリーダー層があってはなりません。社内のリーダーシップ開発を率いる上で重要なのは、すべてのリーダーにコスト効率の高い開発を提供することです。
この実現には創造性とイノベーションが必要といえるでしょう。大勢の対象者へのリーダーシップ開発のプログラムを企画・推進する方法はいくつかあります。例えば次のことを検討してみてはいかがでしょうか。
- シニアリーダーや人事部のファシリテーターが、外部のコンサルタントや講師、ファシリテーターに代わってプログラムのトレーナーの役割を担う
- 対面とオンライントレーニングをミックスしたハイブリッド形式での実施、もしくはオンラインのみで可能なリーダーシップ開発ツールの利用
- 専門機関のリーダーシップ開発の教材のライセンスを取得して、社内トレーナーと一緒にプログラムを実施
- 信頼できる専門機関と提携して、リーダーシップ開発ツールやトレーニング教材を入手し、既存の研修やプログラムをサポート
上記の内容を追及していけば、すでに持っているリソースを活用できます。
6.プログラムの枠を超えて考える
リーダーシップ開発は1回限りのイベントではなく、6ヶ月から12ヶ月の長い行程になることも少なくありません。そこで、学びを定着させるために、準備、エンゲージメント、実践という3つの段階すべてを計画するようにしましょう。
- 準備(Preparation)
プログラムが始まる前に、参加者が事前に目を通す資料や事前評価、さらには重点分野を決定するための上司との会話などを含めた準備をすべて行う - エンゲージメント(Engagement)
参加者が日々の仕事から一旦離れて、学習に集中するにはどうすればよいかを検討する - 実践(Application)
プログラムで学んだ内容を実践で活かすために、参加者の上司に対するフォローアップ、アカウンタビリティ・パートナーをつくること、実践的な活動の推進、プログラム中に設定した目標の確認を行う
リーダーシップ開発の効果は、研修やプログラムが終了した後も持続するものでなければなりません。プログラム後は、プログラムそのものと同じくらい重要であることを忘れないでください。
また、研修で学んだ知識やノウハウを「定着」させ、職場・現場で「実践」に活かして「成果」を生み出す「研修転移」については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
研修転移とは?学習転移との違いや方法をリーダーシップ開発を用いて解説
7.リーダーシップ開発のメリットを効果的に共有する
リーダーシップ開発に参加するメリットを、役員や各部署のトップ、参加予定者など利害関係者(ステークホルダー)に理解してもらうことが重要ですCCLは、相手のタイプにあわせて「3種類の影響力」を使いこなすことが重要であることを示しています。具体的には以下の3タイプのアプローチがあります。
論理的アプローチ
対象者が数字に詳しい場合は、プログラムの途中で効果を測定し、投資対効果(ROI)について説明できるようにしておきましょう。また、プログラム終了時とその後の数ヶ月間に評価データを収集して共有することで、利害関係者がプログラムの効果や、プログラムからどのような学びを得られたか、学習したことがどのように仕事に活かされたかを示すのが効果的です。
感情的アプローチ
対象者が心理面を重視するのであれば「参加者のサクセスストーリー」を必ず記録しておきましょう。例えば仲間や従業員とのコミュニケーションが良くなった、脱線しているようにみえたリーダーが事業を好転させた、従業員のエンゲージメント・スコアが向上した、などのストーリーがあると良いでしょう。
協力的アプローチ
積極的に物事に関わることを好む対象者であれば、彼らからプログラムへの支持とコミットメントを得られるように工夫しましょう。例えば、プログラムへの参加を呼びかけてもらう、プロジェクトを評価する場に参加してもらう、参加者が別の工場やオフィス、施設を見学するための支援を促す、自身のリーダーシップ開発の歴史を共有してもらうなど、さまざまな手法があります。
リーダーにとって欠かせない影響力を使いこなす方法をより詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事もあわせてご覧ください。
影響力を使いこなす方法|組織や人を動かす3つの観点を人材開発のプロが解説
リーダーシップ開発を成功させるには
リーダーシップ開発を成功させる7つの重要ポイントを解説しました。ただ、一方で「本当に効果のあるリーダーシップ開発を実施するために、より具体的なアドバイスが欲しい」「研修やプログラムなどで困った時に頼れる専門機関がない」という企業も多いのではないでしょうか。
弊社「株式会社インヴィニオ」は、学びを知識や能力のレベルに留まらせるのではなく「実力」へと昇華させることにコミットしています。事業上の成果として表れるように、人や組織が保有する「成果を生み出す能力」を引き上げ、引き出し、顕在化させることを重視しています。
リーダーシップ開発に関して、お困りごと・ご相談などございましたら、ぜひこちらから何でもお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人:インヴィニオ編集部