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影響力を使いこなす方法|組織や人を動かす3つの観点を人材開発のプロが解説
目次
影響力を持つことが大切。
業界や業態を問わず、あらゆる組織で言われ続けています。組織やチームをけん引するリーダーには特に求められる能力であることは明らかです。
しかし一方で、以下のような疑問や不安を抱くケースも少なくありません。
「そもそも影響力とは何か」
「影響力を使いこなすには具体的にどうすれば良いのか」
そこで今回は、そもそも影響力とは何かや、組織や人を動かす3つの観点を紹介し、どう影響力を使いこなすかを具体的に解説します。
なお本記事は、組織および人材育成の権威であるCCL(Center for Creative Leadership)が40年にわたる膨大かつ綿密なリサーチで明らかにした内容を基にしていますので、ぜひとも参考にしてください。
影響力とは
影響力(Influence)とは、自らの言動によって働きかけ、他者の考え方や行動に変化をもたらす力のことです。他者に効果的に影響力を行使することで、他者の思考(見方・考え方)行動や意見、意思決定にまで働きかけ、組織としての成果につなげます。
影響力は、組織において成果を上げるためには必ず備えていなければならないスキルといえるでしょう。
また「影響力の源」には様々なものがあります。例えば「高い役職やコンプライアンス等の規制による権威」です。権威による強制力をもって「他者にとってほしい行動」を取らせるのです。
しかし、予測不可能な出来事や困難を乗り越えるためには、チームの自発性や組織からの協力体制を引き出し、前進するための強力なコミットメントが必要です。そのためにも、影響力を正しく使いこなさなければなりません。
影響力は誰にでも求められる
影響力は、リーダーや役職者はもちろんのこと、組織に属する全ての人に必要です。変化が著しい現代では課長や部長といった役職の有無に関係なく、周囲と効果的に協力し合うことが求められます。協力し合うためには論理的かつ説得力のある議論の展開や、ギブアンドテイクをバランス良く実践する能力が欠かせません。
影響力は経験に応じて変化すべき
影響力を行使する目的の重点は、組織での経験を積むにつれて以下のような点にシフトすべきです。
・長期的な目標設定と実行
・組織やチームを刺激し、あるべき方向を向かせる
・組織やチームのモチベーションを高め、目標達成にむけた行動を喚起する
影響力で組織や人を動かす3つの観点
組織および人材育成の権威であるCCL(Center for Creative Leadership)による長年にわたる膨大なリサーチの結果、効果的に影響力を発揮しているリーダーは3つのアプローチを巧みに用いていることが明らかとなりました。
・論理的アプローチ
・感情的アプローチ
・協力的アプローチ
リーダーに限らず影響力をもつ社員は3つのアプローチを駆使して、組織内のポジションに関わらず成果を上げ続けているのです。以下でそれぞれを解説します。
論理的アプローチ
人間が持つ合理的かつ知的な情報処理能力を活用します。「組織の目的は何か」「依頼されたことを理解して期待される行動を取ることで得られる個人的な利益は何か」またはその両方に基づき、責任感や相手にとっても有益な結果を提示して訴えかけます。
感情的アプローチ
「論理だけでは人は動かない」、その通りです。
2つ目のアプローチはより人間的・心理的です。あなたが発するメッセージや目標、プロジェクトなどを、相手の目標や価値観に結び付けます。「相手はどのようなものを幸福と感じるのか」という観点で感情や価値観を考慮したアプローチをとることで、自発的でより強固なコミットメントを引き出していきます。
協力的なアプローチ
先の2つはリーダーが「やりたいこと、あるべき姿」を持ったうえで、協力が必要な相手に働きかけるアプローチでした。
一方で「そもそも何をすべきか、一緒に何ができるか」というコラボレーションの構想段階から相手を巻き込む方法もあります。相談を通じて相手のアイディアを理解し、より強固なパートナーシップを構築していくのです。
影響力を使いこなす方法
影響力を正しく使いこなすためには、上記3つのアプローチを状況に応じて使い分ける必要があります。最適なアプローチを選択するためのポイントは以下の通りです。
状況を評価する
例えば、あなたに難易度が高めのチャレンジングな業務が与えられたとしましょう。その業務は他者の協力なしにはできそうもありません。
こうしたケースでは、最初の一歩として「誰に影響を与えて、何を達成したいのか」を明確にすることが重要です。
具体的には、以下の問いに対する答えを明確にしましょう。
なぜその業務があなたに与えられたのでしょうか?
協力を仰ぐべき人がいるとして、なぜその人のサポートが必要なのでしょうか?
その人に影響を与えることによって、どのような結果を得ようとしているのでしょうか?
利害関係者(Stakeholder)と聴衆(Audience)知る
誰が利害関係者なのかを特定します。
利害関係者それぞれに特別な関心事(ポジティブ・ネガティブの両方)、利害関係者が持つ独自のアジェンダ、視点、優先順位もあります。
各グループや個人に影響を与えるためには、それぞれ異なるアプローチが必要です。各位の個性・目標・目的・組織の役割・責任を考慮して、特定の人に影響を与える戦略を確認した上で、立案しましょう。
自分自身の経験値を確認する
あなたがこれまでに影響力を行使した場面を思い出してみてください。
どのような働きかけをしましたか?
うまくいった場合、いかなかった場合の違いは何でしょうか?
自信を持っている「勝ちパターン」はあるでしょうか?
今目の前にある状況に対して新たに試せる手段はありませんか?
可能な限り自分ひとりで考えるだけではなく、周囲からもアドバイスやコーチングをもらってください。例えば、論理的なアプローチばかりになっている場合は、気心の知れた同僚に手伝ってもらい、心理的アプローチや協調的アプローチを試すプランについて相談するのも良いでしょう。
実施前に試す
ある程度、アプローチ方法のイメージがついてきたら、“一人ロールプレイ”をやってみましょう。以下のような相手からの質問を想定して、こちらもどのように反応するのかを計画します。
論理的アプローチの場合、相手はどのような反応を示すでしょうか?
同意してくれるでしょうか、それとも意見が対立してしまうでしょうか?
対立した場合は、論理的アプローチを続けるか他のアプローチに切り替えるかなど、全体のストーリーはどうなるでしょうか?
各アプローチの中で、具体的に何を伝え、何をすることができますか?
経験を積む
経験を積むことも大切です。初めは1対1かつリスクが低い状況で、新しいアプローチ方法を試すことをお勧めします。『リーダーの影響力を高める4大ポイント』に焦点を当て、スキル向上を継続しましょう。
経験を積むにつれて、1対1だけではなくチームや大規模なグループに影響を与えることができれば、自信もついてくるでしょう。
ただし、成功体験にとらわれないことも忘れないでください。 影響力を行使する場面は、一つひとつ固有のものです。適切なアプローチを選択するために、ここで紹介した影響力を使いこなす方法を常に意識しましょう。
『リーダーの影響力を高める4大ポイント』については以下の記事をご覧ください。
リーダーの影響力を高める4大ポイント|組織やチームとの信頼を築くコツをプロが紹介
影響力を使いこなす人材を育てるためには
影響力は、自らの言動によって働きかけ、他者の考え方や行動に変化をもたらす力です。組織内外で活躍し、成果を上げるためには欠かせないスキルです。
影響力を使いこなして、人や組織を動かすためには「論理的アプローチ」「感情的アプローチ」「協力的アプローチ」の3つの観点を的確に選択する必要があります。
そのためには、まずは状況を評価し、利害関係者と聴衆を知ることが重要です。自分自身の経験の棚卸しや実施前のロールプレイ、実践を通じた経験獲得も忘れないようにしましょう。
ただ、影響力を使いこなす人材を育てたい場合において、「影響力について正しく理解した上で、自発的に磨き実践していく姿勢」まで身につけさせるのは決して容易ではありません。
弊社「株式会社インヴィニオ」は、潜在的な「能力」のレベルに留まらせるのではなく「実力」へと昇華させることにコミットします。事業上の成果として表れるように、人や組織が保有する「成果を生み出す能力」を引き上げ、引き出し、顕在化させます。
人材育成に関してお困りごと・ご相談などございましたら、こちらからお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人:インヴィニオ編集部