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デニソンモデルとは?業績向上につながる組織文化診断のしくみ
目次
デニソンモデルとは、売上高成長率や顧客満足度、株主資本利益率(ROE)、従業員満足度などの業績指標に影響を与える組織文化の要素を特定してまとめたモデルです。業績向上につながる組織文化診断である「デニソン組織文化診断」で用いられます。
コカコーラ、レノボ、NASAをはじめ、世界中の企業に注目されているデニソンモデルについて詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はデニソン組織文化診断の主幹をなす「デニソンモデル」について、特長やしくみ、診断結果に応じた組織の分類例、支持されている理由を紹介します。「自社の組織文化を見直したい」「自然に成果を生み出す組織文化に変えたい」といった場合は非常に有効な内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
デニソンモデルとは
デニソンモデルとは、売上高成長率、株主資本利益率(ROE)、投資利益率(ROI)、顧客満足度、イノベーション、従業員満足度、製品・サービス品質などの業績指標に影響を与える組織文化の要素を特定してまとめたリサーチベースのモデルです。
「デニソン組織文化診断」の主幹をなす分析モデルであり、デニソンモデルを用いてコカコーラ、レノボ、NASA、BPなどをはじめ、世界中の企業が組織文化における課題をクリアしてきました。
デニソンモデルおよびデニソン組織文化診断は、ダニエル・R・デニソン博士とウィリアム・S.ニールによる25年以上にわたる研究と実践に基づいています。
デニソン組織文化診断の概要については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
デニソン組織文化診断とは|特長や活用する目的を紹介
デニソンモデルの特長
デニソンモデルの特長を簡潔にまとめると、以下の通りです。
- 強力なリサーチ基盤に根ざしている
- 信頼性と妥当性が証明されている
- 基準となるベンチマーク・データベースとの比較結果を提供してくれる
- 診断結果を統計分析によるパフォーマンス指標と結びつけることができる
- 世界のさまざまな産業分野の幅広い組織に適用されている
- 50以上の言語で翻訳、ローカライズ、展開されている
デニソンモデルによる組織文化診断のしくみ
デニソンモデルによる組織文化診断のしくみについてです。デニソンモデルの構造を紹介した上で、どのように組織文化診断を進めるのかを解説します。
デニソンモデルは、組織を効果的に機能させる4つの重要な特性を示しています。
デニソンモデルの中心となるのは、組織における「信条や前提」です。これらは、組織のアイデンティティの中に深く根付いており、外からは見えにくいものです。
デニソンモデルの4つの特性である「方向性」「適応性」「自律性」「一貫性」は、これら4つの信条や前提に基づいて行われる行動を測定します。それぞれ色分けされており、組織文化に関する重要な問いに答えられるように設計されています。
■4つの特性
方向性:
組織の方向性を理解できているか?
適応性:
市場/外部環境に適応しているか?
自律性:
従業員が一体感を持ちつつ、自発的に行動できているか?
一貫性:
組織能力を発揮・強化できるような価値観、システム、プロセスが整備されているか?
また4つの特性は、さらに3つのインデックスに分類されます。例えば、適応性は変革、カスタマーフォーカス、組織学習の3つに分類されています。
各インデックスは4つの質問で構成されており、12のインデックス×質問4つで「計48の質問」が用意されています。
4つの特性はそれぞれ円周上の色で表されています。これにより分類しやすく、診断結果のレポートも視覚的・直感的にも分かりやすくなっています。
デニソンの研究では、効果的な組織は4つの特性すべてにおけるスコアが高いことが実証されています。つまり、成果を挙げることのできる組織は「柔軟に外部環境に適応しながらも組織運営の仕組みにおいて一貫性を保ち、ミッションを組織内に浸透させることで従業員が自律的に行動する文化」を持っているといえるのです。
デニソンモデルによる診断結果の解釈
デニソンモデルによる診断結果の解釈についてです。デニソン組織文化診断を実施すると、下記のように集計結果が円グラフレポートとして報告されます。
円グラフレポートでは、12のインデックスごとに「パーセンタイルスコア」が数値で示されます。パーセンタイルスコアとは、他の企業と比べて自社はどのくらいのスコアかを示した数値です。
例えば、下記のように方向性の「ビジョン」というインデックスにおいてパーセンタイルスコアが「58」だった場合、データベース上の58%の組織が自社よりも低いスコアを出したことを意味します。
なおパーセンタイルスコアは、回答データとグローバルデータベース内にあるこれまでの蓄積データを照らし合わせて算出されます。
また「ビジョン」 のスコアには赤色のセグメントが3つありますが、これはパーセンタイルの結果が3つめの枠(100分の75以内)に入ることを示しています。一方、「ゴールと目標」 のインデックスには赤色のセグメントが2つありますが、これは 46 パーセンタイルが2つ目の枠(100分の50以内)に入ることを示しています。
そして、成功する組織になるためには、折り合いをつけなければならない「対峙する価値観」が2つあることも理解しておきましょう。
1つ目は「方向性」と「自律性」の特性に代表される、トップダウン型マネジメントとボトムアップ型マネジメントとの対峙です。組織が成功するためには、組織の方向性、目的、目標を結びつけると同時に、従業員の主体性・コミットメント・責任感の共有が欠かせません。
2つ目は「適応性」と「一貫性」の対峙です。成功する組織は、外部に適応すると同時に内部で統一性を持たせることという、二つの課題のバランスをとる方法を会得しています。どのような状況においても、いずれか一方に偏るべきではありません。
デニソンモデルによる組織文化の分類例
デニソンモデルによる組織文化の分類例を3つ紹介します。
外部フォーカス型
適応性+方向性
外部フォーカス型の組織は、外部環境に適応することにコミットしています。このような組織は、常に市場に目を向け、どこに向かおうとしているのかを明確に把握可能です。外部に強くフォーカスすることは、一般的に「収益、売上成長、市場シェア拡大」に効果的といわれています。
内部フォーカス型
自律性+一貫性
内部フォーカス型の組織は、システム、構造、プロセスの内部統合や統制を重視しています。また従業員を大切にし、製品やサービスの品質に誇りを持つ傾向があるのが特徴です。内部に強くフォーカスすることは、高いレベルの品質と従業員満足度にもつながります。
安定型
方向性+一貫性
安定型の組織は、長期にわたって集中力と予測可能性を維持する能力を持っています。
このような特徴の組織は、資産、投資、売上の成長に対する高いリターンや、強固な事業運営体制を備える傾向がみられます。
デニソンモデルが世界中で支持されている理由
デニソンモデルが世界中で支持されており、多くの企業がデニソン組織文化診断を実施している理由を説明します。
1000社以上の企業と比較したスコアが分かるため
デニソン組織文化診断を行えば、これまでにデニソンモデルを用いた1,000以上に及ぶ企業の結果と比較して、自社の組織文化を客観的かつ効果的に診断できます。先述したパーセンタイルスコアにより、自社がどのあたりの順位にあるかを一目で把握できるのです。
パーセンタイル方式であれば結果に意味を持たせることができ、「これでいいのだろうか」という疑問にも答えやすくなります。
例えば、ありがちな5段階評価によりインデックスの評価が2.5点というだけではそれほど多くの情報は得られません。しかし、その平均値がパーセンタイルで示すと「28」という値である場合、「下位30%に含まれている」という客観的な事実から、当該の分野が注意を払うべき脆弱な分野であることが明白になるのです。
パーセンタイルは、結果に意味と文脈をもたせます。データベースに登録されている組織は、多岐にわたる業界や地域に属しています。継続的な調査の結果、金融から製薬までのどのような業界であれ、さらには異なる国であっても、グローバルデータベースと非常に類似した結果が得られることが明らかにされています。
質問やレポートを自社向けにカスタマイズできるため
デニソンモデルおよびデニソンの組織文化診断は、クライアント企業のニーズに合わせてカスタマイズできます。点数式、自由記述式、ドロップダウン形式など、さまざまな形式で質問を追加することも可能です。
最も一般的なカスタマイズは、ドロップダウン式で属性を分類するための質問を追加することです。事業部門別、地域別、役職別などのグループに分けられたレポートを作成することができます。その他にも各社のニーズに合わせてカスタムレポートを作成することが可能です。
信頼性と有効性が両立されているため
デニソンモデルは豊富なリサーチと科学的検証方法を用いており、診断項目及び結果が企業のパフォーマンスに好影響をもたらすことを実証しています。
デニソンモデルの提供元であるデニソンコンサルティングは、独自のモデルとリサーチ力に誇りを持っています。デニソンコンサルティングのリサーチプロジェクトでは、「組織文化」と「顧客満足度、売上高成長率、投資収益率、粗利益率など実績にあたる指標」との相関関係を調査しました。その結果、デニソン組織文化診断で測定された組織文化が、各指標に直接関係していることがわかりました。
業績向上を持続できる組織文化を形成するために
デニソンモデルとは、売上高成長率や顧客満足度、株主資本利益率(ROE)、従業員満足度などの業績指標に影響を与える組織文化の要素を特定してまとめたモデルです。業績向上につながる組織文化診断である「デニソン組織文化診断」で用いられます。
デニソンモデルは「方向性」「適応性」「自律性」「一貫性」の4つの特性で構成されており、各特性は3つのインデックスで表されています。本文内にモデル図を掲載しているので、ぜひ参考にしてください。
デニソンモデルは、1000社以上の企業と比較したスコアが一目で分かる点、質問やレポートをカスタマイズできる点、信頼性と有効性が両立されている点などにより、世界中の企業から支持を得ています。
デニソンモデルを用いる「デニソン組織文化診断」は、単なる組織評価ではなく実績につながる組織文化診断です。企業が求める成果につながるからこそ、コカコーラやNASAのような世界的大企業にも採用されているのです。
また弊社インヴィニオは、20年以上積み重ねてきた確かな実績と、デニソンを含む世界中のアライアンスパートナーから得た最先端のツールやノウハウを用いて、分析や学びのレベルに留まらせるのではなく「実績や実力」へと昇華させることにコミットします。
単なる組織評価ではなく、業績向上につながる組織文化診断を行いたい場合はもちろん、「そもそも当社に組織文化診断は必要なのか」「組織変革の必要性を感じるものの、何から始めるべきか分からない」といったご相談など、こちらからお気軽にお問い合わせください。