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従業員のエンゲージメントを高めるには?4つの要素をプロが解説
目次
従業員のエンゲージメントを高めたい企業は多いのではないでしょうか。
人材の流動性が高まったことで、従業員が立て続けに転職したり、定着しているように思われた社員が急に転職したりといった事態が多発しています。こうした背景から、「従業員のエンゲージメントをいかにして高めるか」が各企業にとってさらに大きな焦点となっています。
そこで本記事では、従業員のエンゲージメントを高める上で理解すべき4つの要素について解説します。この4つの要因は、世界を代表するリーダー育成のプロ(専門機関)であるCCL(Center for Creative Leadership)が、数十年以上に及ぶ綿密なリサーチおよび支援実績を基に導き出したものですので、ぜひ参考にしてください。
従業員のエンゲージメントを決定づける4つの要素
従業員のエンゲージメントは、下記4つの要因で決定づけられます。
- リーダーエンゲージメント
- ジョブエンゲージメント
- チームエンゲージメント
- 組織エンゲージメント
CCLは、これら4つに焦点を当てることで、従業員のエンゲージメントを高められることを明らかにしました。
以下では、各要因を高めるために、組織の各階層におけるリーダーがいかに取り組むべきかについて解説します。
1. リーダーエンゲージメント
従業員のエンゲージメントが低い理由の1つは、組織の最前線で働くリーダーのスキル不足に起因します。
第一線のリーダーは組織内においてとくに多くの従業員を率いています。しかし、ほとんどのリーダーは重要なスキルを欠いており、彼らのマネジメント下にある従業員は「インスピレーションを感じず、権限も与えられず、不幸せを感じている」ということが、CCLの研究によって明らかとなっています。例えば、以下の通りです。
- 約60%の従業員が、現場での不十分なリーダーシップによる「エンゲージメントや生産性の低下、離職のリスク」を報告しています。
- 約25%の組織が、スキルが不足するリーダーによって、利益の損失を経験しています。
もし、リーダーが有能であれば、大きな信頼と忠誠心を築くことができます。高いエンゲージメントを持つ従業員は、直属のマネージャーや上司からモチベーションを得て、つながりを感じます。
リーダー向けのヒント
組織内の各リーダーが直属の部下とより強固な関係を築き、従業員のエンゲージメントを向上させるための方法は以下の通りです。
- 自己認識を高め、自身の強みと弱みを理解する。
- 従業員をコーチングし、適切なタイプのフィードバックを提供する。
- 直属の部下とのすべてのやり取りで共感を示す。
- 異なる背景、アイデンティティ、または経験を持つ他者に対してどのように映るかに敏感であり、自身のアイデンティティの側面がリーダーシップにどのように影響を与えるかを理解する。
HRリーダー向けのヒント
第一線のリーダーをサポートし、彼らがリーダーシップの役割で成功するために必要なスキルを確実に習得させることが求められます。
組織の最前線で活躍するリーダーを育成するための投資は、従業員のエンゲージメントや満足度の向上をもたらします。そのための具体的な提案は、以下の通りです。
- 新しいリーダー向けにコーチングやメンタリングプログラムなどを提供する。
- 能力開発の機会を提供する。リーダーとして直面する具体的な課題を想定して設計されたフロントラインリーダーシップ開発プログラムが望ましい。
- 全リーダーを対象に「尊敬、連帯、感情知能(共感と包摂は組織の多様性イニシアチブが成功するために不可欠)」をテーマに据えて訓練する。
- コーチングの会話を通じて建設的なフィードバックを提供するスキルを全リーダーに身につけてもらう。
2. ジョブエンゲージメント
報酬や福利厚生は従業員を動機づける上で重要ですが、重要なのはそれだけではありません。従業員は、自分の仕事が重要であり、日々の責任を組織の目標や成果と関連付けることができた際に、より高いエンゲージメントを示します。特にリモートワークを行っている場合には、柔軟性と自律性を与えられたと感じた際に高まります。
リーダー向けのヒント
リーダーとして、直属の部下が「自らの役割が成果にどのように繋がっているか」を理解できるようにサポートしてください。具体的な提案は以下の通りです。
- 事細かに指示を出すマイクロマネジメントを避け、さらに委任を進めることでチームの信頼を築く。
- 従業員の仕事から恩恵を受けた内部または外部のステークホルダーを招き、具体的な影響を共有する。これは従業員の価値観の一致を高めるのに役立ちます。
HRリーダー向けのヒント
ジョブ・エンゲージメントの領域で従業員のエンゲージメントを向上させ続けるためには、
従業員が「目の前の業務」と「企業としての使命・ビジョン」のつながりを感じ、情熱を持つように支援しましょう。可能な限り意図的なリーダーシップに焦点を当ててください。
3. チームエンゲージメント
異なるスタイル・経験・知識を持つチームメンバーを同じ目標の周りに整列させることは容易ではありません。とくに、新しいマインドセットとコミュニケーションスキルを必要とするハイブリッドチーム(オフラインとオンラインをまたいで業務を遂行するチーム)で働く場合に難しい課題になります。
チームの成功は、チームメンバー同士がお互いをいかに信頼して、スムーズに連携できるかに大きく依存します。各メンバーが異なる意見を安心して表明でき、お互いに頼り合えると感じるとき、チームは最も良いパフォーマンスを発揮します。
リーダーおよびHRリーダー向けのヒント
従業員が同僚によって動機付けられる際に、より高いエンゲージメントを示します。チームエンゲージメントの領域で従業員のエンゲージメントを向上させる方法は次の通りです。
- 明確なチームの規範を作成し、信頼を築く方法を学ぶことがチームの成功には不可欠です。
- 方向性、アライメント、およびコミットメント(DAC)を強化し、チームの効果を高めます。あわせて、DACを使用してより良いリーダーシップを実現する方法を学びましょう。
4. 組織のエンゲージメント
エンゲージメントの高い従業員は、自分たちが組織によって支援され、組織と繋がっていると感じます。ただし、逆もまた真実です。サポートの不足は人々が組織を離れる原因となるのです。
とりわけ組織のエンゲージメントの向上は、「従業員の離職率の低下」と「顧客満足度の向上」に作用します。
組織レベルで従業員のエンゲージメントを向上させる鍵は、個々の成長と発展のために豊富な機会を提供することです。これらの機会を提供しなければ、従業員はこうした機会を提供してくれる他社で働こうとするでしょう。
実際、最近の研究では、自身の専門性が高まる成長機会を得られない場合、58%の労働者が離職する可能性があることがわかりました。
リーダー向けのヒント
直属の部下との関係において、組織のエンゲージメントを強化するために役立つ方法は、以下の通りです。
- 直属の部下を対象としたトレーニング機会を推進し、彼らの発展におけるリーダーとしての責任を認識しましょう。マネージャーは従業員の才能開発において鍵となる役割を果たします。
- 部下が取り組むトレーニングを真摯にサポートしましょう。それがトレーニング効果を左右します。どのように実行するかが分からない場合は、開発のための上司のサポートを実践的に示す方法を学びましょう。
HRリーダー向けのヒント
組織レベルで従業員のエンゲージメントを向上させるために、以下を行いましょう。
- 組織全体に共通のリーダーシップ言語を構築しましょう。具体的には、従業員にリーダーシップについて学ぶ機会を提供し、それらの機会への公平なアクセスを提供します。成長とトレーニングを「ハイポテンシャル」と思われる従業員に限定しないことが大切です。
- 従業員のエンゲージメントを着実に向上させるため、自社の現状を分析・評価し、コストを集中させるべき優先課題を特定しましょう。
従業員のエンゲージメントを高める
リーダーシップ開発のための予測分析データを使用することで、従業員エンゲージメント4要素における自組織の現状を理解し、低スコアの要素をより迅速かつ効率的に明らかにできます。
例えば、自社の現状を分析した結果、「従業員が自分の仕事・組織・チームと高いエンゲージメントを持っているが、リーダーに対しては低いこと」を示したとします。
この場合、リーダーシップ開発の介入は「リーダーエンゲージメント」の強化が必要であり、リーダーが他者に効果的なコーチングやフィードバックを行う方法を理解すべきことが明確化します。このように、今の自社においてとくに強化が必要な要素は何かを明確にすることで、費用対効果を最大化できるのです。
弊社「株式会社インヴィニオ」は、組織能力開発・人財開発の専門企業として20年以上にわたり支援実績を積み重ねてきました。さらにCCLをはじめ世界中のアライアンスパートナーから最先端のノウハウを得ています。そのため、ただ単純に従業員のエンゲージメントを高めるだけでなく、各従業員の成長を通じて実績向上にまでコミット可能です。
従業員エンゲージメントの向上を通じて、組織としての成果・実績アップを実現したい場合は、ぜひこちらから気軽にお問い合わせください。