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リーダー育成|自覚を高める4大ポイントを人材開発のプロがついに特定
目次
リーダー育成の重要点は「いかに自覚をもたせるか」です。
「リーダーとしての自覚を持ってほしい」
「リーダーとしての自覚が足りないのではないか?」
こうした台詞は、耳にしたり、部下に対して発したくなったり、時には自問したりする方も多いのではないでしょうか。リーダーを育成する上で「リーダーとしての自覚をいかにもつか(もたせるか)」は非常に重視されています。
ただ一方で、そもそも「リーダーとしての自覚とは何か」は具体的に示されてきませんでした。
そこで今回は、リーダー育成分野の権威であるCCL(Center for Creative Leadership)が40年にわたる綿密なリサーチをもとに特定した「リーダーとしての自覚を高める4大ポイント」を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
リーダー育成の基盤は「自覚」
リーダー育成において「自覚」はすべての基盤となります。
優れたリーダーとは「ビジネスと組織を成功に導くために、他者と活発で効果的なコミュニケーションを取り、他者に影響を与えることができる外交的な人物」という定義が一般的でしょう。
確かに「コミュニケーション」と「影響力」は、私たちの調査で特定された「4つのコアリーダーシップスキル」のうちの2つであり不可欠です。ただし、どちらも「自覚(自己認識)」をもってこそ発揮・開発が可能となるのです。
階層や部門を問わず必須とされる「4つのコアリーダーシップスキル」については、こちらの記事をご覧ください。
リーダーシップスキルとは?必須スキル4つを人材開発のプロが紹介
また、例えば部下に対して「彼・彼女の成長は目覚ましいものがあるので、チームリーダーのポジションで一皮むけてほしいが、リーダーとしての自覚がどのくらいあるんだろうか?どうすれば、もっとリーダーとしての責任を自覚してくれるだろうか?」というような悩みをもったことはないでしょうか。
もしくは「自分自身はリーダーとして、どのような視点・マインドを持つべきだろうか?」と自問自答する場合もあるかも知れません。
こうした不変的かつ普遍的な悩みからも、「リーダーとしての自覚」はリーダーシップを発揮するためには欠かせない要素であることは明らかです。
次項で「リーダーとしての自覚」を高めるための4大ポイントについて解説します。
リーダー育成|自覚を高める4大ポイント
CCLの長年にわたる膨大な研究成果により、リーダーとしての自覚(自己認識)を高めるための4つのポイントが明らかになりました。
1.リーダーシップ ウィズダム(Leadership Wisdom)
2.リーダーシップ アイデンティティ(Leadership Identity)
3.リーダーシップ レピュテーション(Leadership Reputatio)
4.リーダーシップ ブランド(Leadership Brand)
リーダーとして成長し、リーダーシップをより効果的に発揮して頂く為に、それぞれの要素を深掘りして見ていきましょう。
以下ではそれぞれを具体的に解説します。
1.リーダーシップ ウィズダム(Leadership Wisdom)
リーダーシップ ウィズダムとは、「自らをリーダーたらしめる原体験」のことです。
先行き不透明な環境においても優れたリーダーシップを継続的に発揮することのできるリーダーは、折れない心とブレない軸を持っています。その両者は、自らの原体験により形成されます。
「あの経験があったからこそ」「あの時の成功例を今回にも応用できないか」など、リーダーとしての自覚や判断は、原体験に支えられ、裏づけられるのです。
インヴィニオの別コラムとしてGRIT Leadership Showcaseというシリーズを展開しています。アフリカと日本を繋ぐために外務省から独立され起業された原さんは、まさに幼少期に見た風景が原体験になっています。ぜひあわせてご覧ください。
だれのために行動するのか。相手の「顔」が見えることを、一番大切にしています。|株式会社SKYAH CEO 原 ゆかり 様
リーダーシップ ウィズダムを育む秘訣は、しっかりと時間をかけて自分自身の経験を振り返ることです。 過去にとった行動やその行動を取った背景、その行動を取るに至ったきっかけを振り返り、「今の自分をリーダーのポジションに導いてきた経験はどのようなものであったか?」を明らかにしていきます。自分のこれまで歩んできた道を多角的な視点から丁寧に振り返りましょう。
また、この内省プロセスは一度きりのものではありません。優れたリーダーとして成長するためには、新たなステージに入るたびに内省を繰り返すことが重要です。
2.リーダーシップ アイデンティティ(Leadership Identity)
リーダーシップ アイデンティティとは、「今、自分自身はリーダーとしてどうあるべきか、どうあるべきと求められているのかに関する理解」を意味します。
リーダーシップ ウィズダムが「過去」における自らをリーダーたらしめているきっかけ・原動力・原体験に焦点を当てているのに対して、リーダーシップ アイデンティティは「今」におけるリーダーとしての在り方を問います。
よりイメージしやすくするために、皆さんのリーダーシップ アイデンティティは3層構造(3つの同心円状リング)になっていると考えてみてください。
一番外輪には外部と接している皆さんのアイデンティティがあります。これは皆さんが選択したというよりは与えられたもの(例えば、年齢・国籍・人種・いくつかの身体的特徴など)が含まれます。
(日本版追記:例えば、今でこそ女性の活躍が推進される動きがありますが、まだまだ男性中心であると言わざるを得ない現実があります。そのような中で女性というアイデンティティをもってリーダーとしてのキャリアを積むためには、男性とは異なる行動が必要とされます。このようにアイデンティティによってリーダーとして取る行動は変わってくるのです。)
真ん中のリングは皆さん自らが選んだアイデンティティです。会社をはじめとする自分自身がリーダーとして活動する場所や職業、獲得したスキル、趣味などは与えられるものではなく、自らが選び取ったものです。
(日本版追記:スキルの陳腐化が高速化している昨今の変化の時代では、自らを取り巻く事業環境を理解し、今後の変化を読み取って必要なスキルを獲得・更新していく必要があります。しかし、多くの日本企業では「これまで」の職務に合わせたスキル習得を評価対象とするケースが多く、大きな課題といえます。)
内側のリングは皆さんのコアとなるアイデンティティです。この深層部は各人を独自性のある存在にしている資質であり、信念・価値観が含まれます。リーダーシップ ウィズダム(自分をリーダーたらしめる原体験)とあわせて振り返り、ある行動を取るに至ったきかっけとなる動機を把握していきます。
自分のリーダーシップ アイデンティティを知ることは、他者との共通点の発見やより強い関係の構築、コミュニケーションミスの軽減に役立ちます。
3.リーダーシップ レピュテーション(Leadership Reputation)
リーダーシップ レピュテーションとは「リーダーとして周囲からどう評価されているか(評判:Reputation)」を意味します。
自分自身では「ソフトで近づきやすいリーダー」のつもりでも、周囲からは「優しいかもしれないが、優柔不断なリーダー」と思われているようなケースを目の当たりにしたこともあるかも知れません。
リーダーシップの評判を理解することは、自分そして自らのリーダーシップが他の人にどのように認識され、判断されるかを理解するのに役立ちます。自分がどのように認識されているかを知ることで、他者とのコミュニケーションの効果的な取り方、他者への影響力の行使の仕方を改善・強化することができるようになるのです。
リーダーシップ レピュテーションを理解するには、他者にフィードバックを求めたり、他者の視点に立って自らの行動を振り返ったりすることが必要です。その上で、周囲からの評価・評判が自分の価値観や希望するリーダーシップ ブランドと一致しているかどうかを確認しましょう。
あなたは、周囲の人が「リーダーとしてのあなた」や「あなたのリーダーシップ」についてどのように見ているかを知っていますか?
4.リーダーシップ ブランド(Leadership Brand)
リーダーシップ ブランドとは、「自分はどのようなリーダーを目指したいのか、周囲にはどのようなリーダーと認識されたいのか」を示しています。
自分が立てたいリーダーシップブランドを明確にし、他者にどう認識されたいかを意識することで、自らの行動を変えることができます。
各々のリーダーシップブランドを際立たせるためには、個々の強みを特定し、それを周囲に伝え、期待されることに応えるという一貫した体験が必要です。最大の強みを表面に引き出し、磨いて強化し、組織の内外で出会う人々にそれらを確実に伝えていきましょう。
強力なリーダーシップブランドは、自分で確立したいブランドに対する自己理解ある場合にのみ開発できます。まずは自分自身のリーダーシップ レピュテーションを正しく認識した上で、理想のリーダーシップ像を実現するための綿密な計画を立てましょう。
「リーダーシップブランドとは?重要性と強化のための6ステップ」については、こちらの記事をご覧ください。
リーダーシップブランドとは?重要性と強化のための6ステップ
リーダーシップスキルを効果的に習得させるには
リーダー育成に不可欠な「リーダーとしての自覚を高める4大ポイント」を紹介しました。
これまでにも「彼/彼女はリーダーとしての自覚が足りない!」とこぼしたくなることがあるかも知れません。その際は、リーダーとしての自覚(自己認識)も4つの要素(ウィズダム・アイデンティティ・レピュテーション・ブランド)に分けてみることで、どこから手を着ければよいか、どのような対話を行えば良いかのヒントが得られるのではないでしょうか。
ただ、同じ組織のリーダーだからこそ「リーダーシップ」について教えたり、育成したりすることが困難と思われるケースも少なくありません。そもそもリーダー育成のノウハウも十分とは言い難いというケースもあるでしょう。そういった場合は、専門家に任せることがオススメです。
弊社「株式会社インヴィニオ」は、潜在的な「能力」のレベルに留まらせるのではなく「実力」へと昇華させることにコミットします。事業上の成果として表れるように、人や組織が保有する「成果を生み出す能力」を引き上げ、引き出し、顕在化させます。
リーダー育成に関してお困りごと・ご相談などございましたら、こちらからお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人:インヴィニオ編集部