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成功するリーダーの組織図を超えたネットワークとコミュニケーション
目次
成功するリーダーに共通するコミュニケーションの特徴とはなんでしょうか。
説明が分かりやすい、質問が的確である、傾聴力が高い、どれも正解です。ただ、これ以外に非常に重要な特徴があります。それが“ネットワーク視点”をもっていることです。ネットワーク視点とは、一言で表すと「組織内外のネットワークを見通す能力」のことを指します。
人と人とのつながり、および人脈がますます重要となっている昨今において、ネットワーク視点を持つことは、21世紀のリーダーシップの必須条件とまでいわれています。
しかし、「ネットワーク視点」とは具体的には、自らや組織にどう役立つのでしょうか。またリーダーとして、どのようにしてネットワーク視点を磨き、実際にネットワークを構築すればよいのでしょうか。
そこで今回はネットワーク視点について、リーダーシップとの関係、組織に取ってのメリット、リーダーにとって不可欠な理由を解説します。今回の内容も、リーダー育成分野の権威であるCCL(Center for Creative Leadership)が40年にわたる綿密なリサーチをもとにして特定したものですので、ぜひお役立てください。
ネットワーク視点とは
ネットワーク視点とは、組織図で表されるような公式の関係(部署や部下と上司の関係など)を超えた、組織内外の人々の複雑なつながりを見通す能力のことです。これは自らのためにも、組織のためにも、非常に重要なリーダーシップスキルの一つです。
ネットワークを把握・理解できるリーダーは、組織を支える目に見えないインフォーマル(非公式・略式)な構造を見通して、上手く関与することができます。さらにこのネットワーク視点を活かして、組織内に有効な相互関係を生み出します。さらには、組織のネットワークを社外、ひいては世界中に広げていく人もいます。
個人レベルでは、ネットワーク視点を持つことで、公式な組織体制(組織図)を超えたインフォーマルなネットワークを活用して仕事を進めることができます。
ネットワーク視点をもつ人は、誰が影響力を持っているのか、どこに行けば情報が得られるのかを瞬時に理解できます。自社組織の枠を超えて、他の組織やコミュニティ、社会とのつながりを持ち、それらを活用することも可能なのです。
ネットワークは、不安定な世界においてあらゆる場所に自然に発生・存在します。多くのリーダーや学者、有識者は、真のリーダーシップを発揮するためには「自然に存在するネットワーク」と「戦略的に作られたネットワーク」の両方を考慮すべきだという結論に達しています。
自社におけるネットワークの現状を理解するためには、こちらの記事もおすすめです。
組織文化よりも具体的なリーダーシップカルチャー|あなたの企業はどのタイプ? – 株式会社インヴィニオ
ネットワーク視点とリーダーシップの関係
私たちは極めて複雑に変化しながら相互に結びついた世界に生きています。組織の非公式なネットワークやつながりを理解して活用する能力は、リーダーにとって不可欠であり、重要なものです。
難しい意思決定が迅速かつ頻繁に求められる環境下においてリーダーは、階層や伝統的な手法に依存しているだけでは、タイムリーな情報取得や決断を行うのは困難となってしまいます。
ただ、「リーダーシップとは、ネットワークの一員となり、新たなつながりを形成するプロセスである」と理解できれば、次のような恩恵を享受することができます。
- リーダーシップを発揮するための集団的能力の向上
- プロジェクト、チーム、組織、コミュニティの将来について、チームメンバーが自律的に調整し、決断できるようになる
- リーダーシップの文化が、依存型(上層部からの命令や統制へ依存する組織文化)から相互依存型(関係者が相互に協力して迅速に推進する組織文化)へ変化する
インフォーマルなネットワークが組織の戦略を強化する
リーダー育成分野の権威であるCCLの調査により、インフォーマルなネットワークは組織の戦略を強化することが明らかとなりました。
組織のメンバーをつなぐインフォーマルなネットワークは、競争の激しい市場で成功する能力に大きく影響します。最適なコミュニケーションや影響力が備わっていなければ、将来の重要な人材を逃がしたり、戦略の立案や実行に問題が生じたりする可能性があります。
特にシニアリーダーは、組織内のリーダーシップのネットワークに注意を払い、より重要な結びつきを強めるように努めるべきです。経営者は、高いポテンシャルを持つ中間管理職者を確保し、彼らの貢献をトップマネジメントが適切に評価できることを望みます。これは、リスクが高く脆弱な組織戦略や効果の薄い組織戦略を回避するために重要です。
成功するリーダーが理解しているネットワーク視点の重要ポイント7つ
成功するリーダーは、以下で紹介するネットワーク視点の重要ポイント7つを理解して活動しているからこそ、継続的な成果を上げ続けることができるのです。
1.つながりは「影響力」を持っている
個人は孤立して存在しているわけではありません。人とのつながりは、機会、貴重な情報やリソースへのアクセスを提供するだけでなく、制約も生み出します。人とのつながりは、その人の考えや態度、行動に影響を与えるのです。
2.仕事はインフォーマルなチャネルとプロセスで行われることも多い
何十年にもわたって組織の再編成を行っていたとしても、少なからず仕事は、公式な関係以外のやり取りで進んでいくことが多いものです。インフォーマルなネットワークを把握しておくことは、形式上の体制が基準とならない、フラットな仕事環境では特に重要です。
3.リーダーシップはつながりから生まれる
共通の課題に取り組む人とのつながりを通じて、方向性、アライメント、コミットメントが生まれます。このようなプロセスはすべての関係者が貢献するため、ネットワーク全体でリーダーシップが共有されるのです。さらに、グループを越えてリーダーシップを発揮するためにも、グループ間のつながりを正確に把握し、構築するためのネットワーク視点が必要です。
4.成功するリーダーは、強固で多様な人間関係のネットワークを構築する
成功するリーダーは、過小または過剰なつながりがパフォーマンスを阻害し、成果を制限することを理解しています。目的を持った戦略的なネットワーキングこそが、孤立化を防ぐ健全なネットワークを構築する鍵となるのです。このようなリーダーは、階層、地域、職種、利害関係、人口動態的な違いなどの境界を越えて協働し、多様なグループと関係を築くことが可能です。
5.ネットワークの知識は、変革を成功させるための重要な財産となる
フォーマルで縦割りのチャネルだけに頼っていては、新たな問題に適応する能力を欠いてしまいます。チームや部署を超えたネットワークを活性化し、強化することで、変革を加速させることができます。
このアプローチは、文化的な変革において非常に重要です。なぜなら、組織文化は人々の会話の中に存在するからです。こうしたつながりを理解することで、サブカルチャーや潜在的な反発心、変革の隠れた功労者などについての洞察が得られるようになります。
6.イノベーションのためのネットワークを特定し、サポートする
イノベーションには、まず新しい創造的なアイデアが必要です。しかし、新しいアイデアを出すだけでは十分ではなく、イノベーションのプロセスを通じて組織で実行されなければなりません。CCLの調査によると、ネットワークの構造は「創造性を推進する場合」と「実行を推進する場合」とで異なります。組織には、多様なアイデアの創出と共有、および集団行動をサポートするネットワークが必要なのです。
7.現在リーダーが直面している最も重要な課題は、相互に依存している
複雑な課題は個人だけでは解決できず、チームや部署を越えたグループで協力して解決するのがベストです。つまり、ネットワークの視点を持つことは、あらゆるものがつながっている、あるいはつながっていく世界で「成果を得るため・目的を成し遂げる」ための鍵なのです。
ネットワーク視点と高いコミュニケーション能力を持ったリーダーを育成するには
ネットワーク視点をもちつつ高いコミュニケーション能力を発揮することが、成果を収めるリーダーには欠かせないことを解説してきました。組織全体の成功にも大きく寄与するため、非常に重要です。
ただ、それらを体系的な学びとしてリーダーや社員を育成していくのは、自社のみでは難しいのが実状ではないでしょうか。また、知識としての理解に留まってしまい実際の行動や成果にまで結びつかないのが、社内外を問わず多くの学習機会でみられる課題です。
そこで弊社「株式会社インヴィニオ」では、学びを知識や能力のレベルに留まらせるのではなく「実力」へと昇華させることにコミットしています。事業上の成果として表れるように、人や組織が保有する「成果を生み出す能力」を引き上げ、引き出し、顕在化させることを重視しています。
リーダーを育成し、組織文化レベルや成果をさらに高めたいとお考えの場合は、ぜひこちらからお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人:インヴィニオ編集部