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ソフトスキルとは?ハードスキルとの違いや役職別の一覧をビジネス向けにプロが紹介

目次
ソフトスキルとは、コミュニケーション能力やリーダーシップのような非定量的なスキルのことです。対してハードスキルは、専門知識や専門技術、資格など、定量的なスキルのことです。
より簡単にいうと、ソフトスキルは「人との付き合いに役立つスキル」で、ハードスキルは「具体的な仕事に用いるスキル」といえるでしょう。
ビジネスにおいては定量的であるため、ハードスキルが目立ちやすい傾向がありますが、ソフトスキルも非常に重要なことは言うまでもありません。
そこで本記事ではソフトスキルについて、定義やハードスキルとの違いを紹介した上で、重要性、役職別の一覧、強化する方法を紹介します。
なお本記事にて紹介する内容は、世界を代表するビジネス人材育成のプロであるCCL(Center for Creative Leadership)が、綿密なリサーチおよび支援実績を基に導き出したものですので、ぜひ参考にしてください。
ソフトスキルとは
ソフトスキルとは、コミュニケーション能力やリーダーシップのような非定量的なスキルのことです。主に関係構築やチームワーク、ストレス管理など主に対人において発揮されるスキルであり、職場での円滑なコミュニケーションや業務遂行に重要です。
具体的には、コミュニケーション能力、リーダーシップ、柔軟性、協調性、問題解決能力などが挙げられます。
ハードスキルとは
ハードスキルとは、専門知識や専門技術、資格など、定量的なスキルのことです。各業界の具体的な業務で役立つ能力やスキルとも表せます。
具体的には、言語能力、経理知識(簿記など)、プログラミングスキル、データ分析スキルなどが挙げられます。
ソフトスキルとハードスキルの違い
ソフトスキルとハードスキルの主な違いは、以下の通りです。
特徴 | 具体例 | |
ソフトスキル | 主に対人において発揮される非定量的なスキル | コミュニケーション能力、リーダーシップ、柔軟性、協調性、問題解決能力 など |
ハードスキル | 主に具体的な業務で発揮される
定量的なスキル |
言語能力、経理知識(簿記など)、プログラミングスキル、データ分析スキル など |
より簡単にいうと、ソフトスキルは「人との付き合いに役立つスキル」で、ハードスキルは「具体的な仕事に用いるスキル」です。
ソフトスキルの重要性
ソフトスキルの重要性については、下記のようにハードスキルに偏った人材を想定すると理解しやすいでしょう。
- 悪い例:ハードスキルのみに偏った人材
業務に関するあらゆる資格を有しており知識やスキルは豊富だが、他者とのコミュニケーションを取りたがらず、あらゆる業務を1人で抱え込んでしまい、部下の育成も行わない
これは極端な例ですが、ビジネスにおいてはソフトスキルも非常に重要なことが分かります。
また、コロナ禍を経てリモートワークやハイブリットワークが普及した昨今、対人関係の構築と円滑なバーチャルコミュニケーションが以前にも増して求められています。
CCLは、リーダー自身のソフトスキルを高め、それを他の社員に示し、チームメンバーに成長の機会を与えることが重要であると述べています。このことによって、さらに有能なチームを構築できるだけでなく、社員を惹きつけ、定着を促し、モチベーションを高めることができるようになるのです。
ソフトスキルは、各部署のリーダーをはじめあらゆる役職の人材が、的を絞ったソフトスキル開発をすることで、成果を最大化することができます。
次の項目では、組織全体のエンゲージメントとパフォーマンスを向上させるために、各役職および階層にとくに求められるソフトスキルを一覧で紹介します。
ソフトスキル一覧|役職別
ソフトスキルの一覧を役職別に紹介します。
ソフトスキル一覧|全階層向け
役職・階層にかかわらず、会話とコーチング(育成)に関わるスキルは不可欠です。これらのスキルは、組織を持続・発展させていくための基礎となるからです。
組織全体の社員が安心して率直に意見やフィードバックを交わし合い、互いの考えを尊重・補完し、互いに成長できるようになる環境です。全社員が下記4つのスキルを身につけることで、組織は着実に成長を遂げていくでしょう。
- 傾聴力
- 質問力(効果的な質問を行える力)
- チャレンジを認めてサポートする力
- 責任力(自らの責任を理解し果たす力)
これらのスキルを身につけるためのリソースは、すでに組織内に存在します。より詳細を知りたい場合は、CCLの記事What It Takes to Coach Your People(英語記事)をご覧ください。
ソフトスキル一覧|一般社員向け(自らをリード)
多くの一般社員は、顧客と接する最前線にいるか、部門横断的なプロジェクトに自らの専門知識を提供する立場にいます。こうしたポジションにいる社員は、目的・目標を達成できるように、他のメンバーと効率的にコミュニケーションをとり、関係性を深めることが重要です。
リーダーである無しに関わらず一般社員クラスから必要とされるのが、CCLが定義する「リーダーシップの基本4スキル」です。
- 自己認識力
- コミュニケーション能力
- 影響力
- 短期学習能力
これらの重要なソフトスキルの育て方については、リーダーシップスキルとは?必須スキル4つを人材開発のプロが紹介で詳しく解説しています。
ソフトスキル一覧|中堅社員・新人マネージャー向け(他者をリード)
中堅社員や新人マネジャーは、一般社員から昇進してから間がなく、プロジェクトや社員を効果的にリードすることに苦労しがちです。自分がいかに影響力のある存在であるか(そうなる必要があるか)を理解するために、的を絞ったソフトスキルの開発が必要となります。
具体的には以下のソフトスキルを身につけることで、有能なリーダーとなることができます。
- 自己認識力
- コミュニケーション能力
- 影響力(結果に対する影響力)
- 短期学習能力
- 組織内の政治力学の知識
- 他人を動機づける能力
新人マネージャーにこうしたソフトスキルを身につけさせることで、単なる上司ではなく、リーダーを育成することができます。より詳細を知りたい場合は、こちらのCCLの記事(英語記事)をご覧ください。
Develop Leaders, Not Just Bosses | CCL
Critical Frontline Leadership Skills | First Line Manager Skills | CCL
ソフトスキル一覧|中間管理職向け(部署やチームをリード)
中間管理職は、人生の中で最もストレスの多い時期に役割を任されがちです。仕事・家庭・地域社会からの要求はかつてないほど高く、あらゆる方面から押し寄せる重責を処理するために必要なリーダーとしてのレジリエンス(逆境を跳ね返す力)を備えられていないケースがほとんどです。
また、中堅レベルのリーダーは、組織内政治をさばく必要があり、上層部や下層部からのプレッシャーを感じることが少なくありません。
以下のソフトスキルを身につけることで、中間管理職としてリーダーシップを発揮することができます。
- 自己認識力
- コミュニケーション能力
- 影響力
- 短期学習能力
- 体系的に思考し行動する能力
- レジリエンス
ミドルマネジャーが成長するために必要なリーダーシップスキルについては詳しくはこちらのCCLの記事(英語記事)をご覧ください。
The 6 Leadership Skills Middle Managers Need to Advance | CCL
ソフトスキル一覧|シニアリーダー向け(部門をリード)
一般社員として成果を挙げればマネージャーへと昇進するように、特定の部署やチームを有能に率いた結果、部門全体の責任者(シニアリーダー)に昇進することがあります。そして、これまで以上の要求が待ち受けていることに驚かされます。
経験豊富なリーダーのソフトスキル開発は、個人の目標設定や自己省察の時間がないため、見過ごされがちです。しかし、シニアリーダーが下記のソフトスキルを強化できれば、戦略的思考やプランニングに関わる能力が向上し、業績にプラスの影響を与えることができます。
- 協調性
- 影響力
- 前向きな思考力
- 好結果へ導く能力
- エンゲージメントを創出する能力
- 革新的機会を明確にする能力
- グローバルなリーダーシップ
シニアリーダーのこうしたソフトスキルを強化することで、部門の垣根を超えた協力関係を構築してビジネスの成功をもたらし、組織全体の目標実現により一層近づくことができるでしょう。
シニアリーダーが直面する一般的な課題と、彼らが活躍するために必要なシニアリーダーシップスキルについて、詳しくはこちらのCCLの記事(英語記事)をご覧ください。
What Senior Leadership Skills Do Experienced Leaders Need? | CCL
ソフトスキル一覧|経営層向け(企業をリード)
CCLでは、経営層レベルに到達するための4つの鍵として「経験、心構え、社外ネットワークの構築、人間関係の構築」を挙げています。
経営層は、以下のソフトスキルを用いて大局的な課題に対処する必要があります。
- 影響力
- コミュニケーション能力
- ビジョンを効果的に表現する能力
- 鼓舞させる能力
- アジリティ(状況変化に即座に応じる機敏性)
- 誠実性
- 自己管理能力
- 新しいアイデアを受容する力
- エグゼクティブ・プレゼンス(幹部としての振る舞いや存在感)
ソフトスキルを強化するための方法
ソフトスキルを強化するための主要な方法を、以下で4つ紹介します。ソフトスキルの強化方法を検討する際は、自社のニーズとリソースに応じて適したものを選定しましょう。
- 対面研修型
講師と受講者の対面式で参加者のレベルに応じたソフトスキル強化プログラム。
- オンライン研修型
web上で講師がリアルタイムに行うソフトスキル強化プログラム。場所を選ばずに参加できるのが利点。
- eラーニング型
クラウドサービス上にアップされた動画コンテンツを各社員が好きな時間で視聴する形式のソフトスキル強化プログラム。インターネット環境とパソコンやスマートフォン等があれば、場所と時間を選ばない。ただし、教育成果を得るためには、受講促進や管理、効果測定などが不可欠。
- 通信教育型
既存の通信教育コースに申し込み、テキストなどの教材で各社員がソフトスキルを強化する形式の教育プログラム。eラーニングと同様、教育成果を得るためには、受講促進や管理、効果測定などが不可欠。
- 研修キット型
ソフトスキル強化に関する教材を企業に提供して、社内の教育担当者が社員に向けて講義する形式のプログラム。既存の社内研修に追加するかたちで組み込めるのが利点。ただし、教育担当者には、ソフトスキル強化に関する一定の知識とスキルが求められる。
- 専門企業委託型
社員教育を専門に行う企業にソフトスキル強化を依頼して、自社に最適なプログラムを提案してもらう形式。自社のニーズやリソースに応じて適したものを紹介してもらえるため、高い効率と効果を期待できる。
ソフトスキル強化のベストプラクティス
どのような手段でソフトスキルを強化するにしても、まずは理想とする組織文化を形成するために必要なソフトスキルを定義して、焦点を定めることから始めましょう。
ギャップやネックとなっている項目が明確でない場合、「360度評価」は社員が取り組むべきソフトスキルを明確にし、順位付けするのに有効です。この評価法は、個人単位で実施することが可能であり、自社が優先して強化すべきソフトスキルを把握することができます。
ソフトスキル強化と並行して「学習する組織文化」を強化するための措置も講じましょう。簡単に身につくスキルもありますが、ソフトスキルは時間をかけることで誰でも身につけることができるものです。特に公平さ、信頼性、そしてソフトスキル強化を支援するコーチング文化があればなおさらです。
最後に、すべての社員が職場で心理的安全性を実感できるような共感や多様性に恵まれた環境を育むことの重要性を見逃してはいけません。安心して新しいソフトスキルを実践し、間違いを認め、お互いが配慮し、お互いの弱さを認め合える環境の形成が欠かせないのです。
ソフトスキル強化で社員を育て、新たな人材も獲得する
能力開発の機会を公平に提供することは、もはや社員が「あったら嬉しい」と感じる福利厚生ではありません。激しい人材獲得競争が繰り広げられる今日において、求職者および既存社員は組織が学習と成長のための十分な機会を当然のごとく期待しています。
ソフトスキル強化によって、組織は2つの面で競争力を維持することができます。
ひとつは、社員が互いに密接かつ有能に働くために必要なスキルを身につけることで、ますます複雑化する課題を共に乗り越えていくことができるようになります。
もうひとつは、あらゆる役職・階層の育成に投資することで、各社員の成長を重視する姿勢を示し、より多くの人材を惹きつけて定着率を向上させることが可能になります。
ソフトスキル強化を含め、優れた能力を発揮するためのサポートを提供することで、企業としての使命と未来のために前向きかつ効果的に協力できる、自信と共感に満ち溢れた社員を育成しましょう。
また、弊社「株式会社インヴィニオ」は人材育成のプロとして、学びを知識や能力のレベルに留まらせるのではなく「実力」へと昇華させることにコミットします。事業の成果として表れるように、人や組織が保有する「成果を生み出す能力」を引き上げ、引き出し、顕在化させることを重視しています。
「単なるスキル学習でなく、成果につながるスキル強化を行いたい」「そもそも自社にはどんなソフトスキルが必要か分からない」と思われる方は、まずはこちらから気軽にお問い合わせください。