webinar
ウェビナー
日本企業の組織論的課題~漠然とした危機感の正体は何か
今回は、長年経営コンサルタントとして日本の大企業をクライアントに持ち活躍されているエミネンスLLC 代表パートナーの今枝昌宏さんをゲストにお招きし、「日本企業の組織論的課題」をテーマにお話を伺いました。今枝さんは、コンサルタントとしての経験が豊富な方ですが、過去には事業会社の日本企業や外資系企業にも勤務し、その後独立され現在に至っています。
今回のテーマは、今枝さんが長く日本の大企業と接する中で、多くの企業で観察される現象を抽象化したものです。昨今の日本に蔓延する漠然とした危機感の正体は何かを理解する一助になればとの思いでお話してくださいました。
■ゲスト:今枝 昌宏 氏 エミネンス合同会社 代表パートナー
ビジネス・ブレークスルー大学大学院教授/一橋大学ビジネススクール 客員教授/原子力損害賠償・廃炉等支援機構 参与
【今枝昌宏氏経歴】
- 北海道大学法学部卒業
- 京都大学大学院法学研究科卒業
- エモリー大学ビジネススクールMBA課程修了
- 日本鉱業 / ジャパンエナジー
- PwCコンサルティング
- 日本アイ・ビー・エム理事 兼 IBMビジネスコンサルティングサービス パートナー 通信・メディア・公益事業本部長
- RHJインターナショナル・ジャパン(旧リップルウッド) ヴァイス・プレジデント
- 現在、コンサルティングと研修事業企業エミネンスを経営
第1回 日本企業を支配するマネジメント不全
第1回では日本企業全体に共通する企業の競争力を阻害する組織的な要因について考察します。かつて高度成長期にはポジティブに働いていた組織的要因が環境が変化した結果としてネガティブに働いている状況です。今枝さんからは下記7つのポイントが提示されました。
- コンセンサス経営の限界
- リスク回避思考
- 緩いダイレクションとボトムアップの意思決定:イノベーション細分化
- 優秀な現場とリーダーシップ不在
- 終身雇用がもたらす組織的停滞
- 緩いプロジェクトの横行
- これらの結果としてグローバル組織にインテグレーションできない:海外に海外HQを設立
第2回 日本の製造業の競争力低下
製造業は日本経済が発展するための中心的な役割を果たしてきた産業ですが、未だに日本経済をしょって立つべき存在です。しかし、その製造業の国際競争力が揺らいでいます。その原因はどこにあるのでしょうか?今枝さんは以下のような7つのポイントがあると考えています。
- 顧客理解の欠如と過剰機能・過剰品質・高価格
- 顧客ごとの製品カスタマイズ
- 製法革新の停滞
- 製造部門の地位が高いことによる諸々の弊害
- 野放図な社内のコストチャージ
- 高級品への逃げ込み→生産規模縮小→コストアップの悪循環
- 戦略と投資の欠如
第3回 デジタル化できない!~日本企業の組織論的課題への処方箋
昨今DX、デジタルトランスフォーメーションが叫ばれて日本企業も取り組みをしているように見えますが、第2回でも述べたように日本企業が競争力を失っている大きな原因の一つには、デジタル化の遅れがあると言います。なぜそんなことが起こっているのか、今枝さんは以下のような原因があるのではと考察しています。
- 組織論的な病理が全てネガティブな方向に働く
- 顧客接点の重要性増大とスピード・アジャイルの必要性
- 社内にSEが不在
- 情報システム部門の異質
- ITサービス産業の問題
- 組織の変革受容性の欠如
- 経営者の理解不足とデジタル化丸投げ
また、ここまで述べた日本企業の組織論的課題についてどのような処方箋があるのか、考察していきます。
■関連書籍のご案内■
今回のウェビナーの内容をより深く理解したい方は、今枝さんの書籍がアマゾンから発売されています。是非こちらも御一読ください。
日本企業の組織的病理と処方箋: なぜ日本企業は競争力を失っているのか?その原因の究明と対策の提案 | 今枝 昌宏 | 経営学 | Kindleストア | Amazon