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部下のモチベーションを上げる仕事の任せ方|タイプ別4パターンと具体的なトーク例
目次
部下の仕事に対するモチベーションを上げる方法を知りたい方は多いのではないでしょうか。
重視すべき前提として、仕事に対する価値観やモチベーションの源泉は人それぞれで異なります。そのため部下に仕事を依頼する際にも、それぞれのタイプに適した任せ方をできるか否かで、意欲や姿勢ひいては成果にまで影響するのです。
一方、現場でやりがちなのは、自分がされて嬉しかったことを部下にもおこない、失敗するケースです。自分と部下のモチベーションの源泉が似ていれば効果はあるのですが、異なる場合は効果を発揮するどころか、逆効果になる危険性があります。
そこで本稿では、部下の仕事に対するモチベーションを上げる方法として、効果的な仕事の任せ方をタイプ別(動機別)に4パターン紹介します。具体例とトークスクリプト例をあわせて紹介しますので、ぜひご活用ください。
部下のモチベーションを上げるためには動機の違いを理解すべき
人はそれぞれ異なる価値観やモチベーションを持っており、仕事への意欲にも差があります。部下のモチベーションを高めて成果を最大限に引き出すためには、個々の動機を理解し、それに応じた仕事の任せ方とコミュニケーションが不可欠です。
2017年にリクルートワークス研究所が、東証一部企業およびその主要事業会社(197社)の人事部を対象に行った「Works 人材マネジメント調査 2017」では、管理職に必要とされる15の能力・スキルのうち、「部下の動機づけスキル」が最も不足していることが明らかとなりました。
これは2017年の調査結果ですが、ジェネレーションギャップの問題が騒がれている昨今、この数値はもっと悪化しているのではないかと推察します。
動機とは
動機とは、何かを「したい!」と思う気持ちのことです。人間や動物が、ある目的を満たすために何らかの行動・手段を取りたいと思わせる感覚を指します。
動機は、必ずしも悪いものではありません。 むしろ、動機を適切にコントロールすることで、目標を達成したり、より良好な人間関係を築けたりします。
しかし、動機が強すぎたり、間違った方法で満たそうとしたりすると、問題が生じる場合があります。
動機の分類方法は様々ありますが、今回はその中でも、ビジネス場面の参考にしやすいマクレランド氏が提唱した「動機(欲求)理論」を紹介します。
マクレランドの動機(欲求)理論とは
マクレランドの動機(欲求)理論とは、アメリカの心理学者であるデイビッド・マクレランドが提唱した、人間の行動を4つの欲求によって説明する理論です。人の行動は「達成動機」「権力動機」「親和動機」「回避動機」のうちいずれかの動機に基づいていることを示しています。
動機・欲求に関わる理論は数多くありますが、マクレランドの動機理論は仕事に関する動機に焦点を当てているため、ビジネスの領域で活用されていることが多いです。
なお、皆がどの動機も持っているのですが、人によって強弱があります。例えば、「達成動機」が強いが、「親和動機」「回避動機」が弱いといった人もいれば、その逆の場合もあります。
どの動機が特に強いのかを理解した上で、接し方を柔軟に変えることがポイントです。
達成動機が高い部下のモチベーションを上げる任せ方
達成動機が高い部下の特徴を示した上で、モチベーションを上げる任せ方の具体例とトークスクリプト例を紹介します。
達成動機が高い部下の特徴
「もっと成功したい!」という気持ちが強く、難しい目標に挑戦したり、自分の能力を高めようとしたりします。良い成績を残したり、競走に勝ったりすることで、達成感を得ます。
- 困難な目標を達成することに喜びを感じる
- 責任感があり、最後までやり遂げる力がある
- 自分の能力を証明したい気持ちが強い
仕事の任せ方例
達成動機が高い部下に対しては、以下のような任せ方をするとモチベーションを上げられるでしょう。
- 難易度が高い目標を設定する: 達成感を得られる比較的高い目標を設定することで、モチベーションを高めることができます。
- 裁量権を与える: 自ら判断して行動できるように裁量権を与えることで、やりがいと達成感を味わえるようにします。
トークスクリプト例
達成動機が高い部下向けのトークスクリプト例は、以下の通りです。
- 「君なら、この難しい目標も達成できるはず。期待しているよ」
- 「君の能力を最大限に発揮できるように、これまでにない挑戦的な目標を設定しました。そのためには困難が伴うかもしれませんが、君ならば最後までやり遂げることができると信じています」
- 「君の能力や経験を十分に活かすために、このプロジェクトで君には多くの裁量権を与えます。自らの判断で行動し、目標達成に向けて最善の方法を見つけ出してください。君の責任感と能力を信じていますので、自信を持って挑戦してください」
権力動機が高い部下のモチベーションを上げる任せ方
権力動機が高い部下の特徴を示した上で、モチベーションを上げる任せ方の具体例とトークスクリプト例を紹介します。
権力動機が高い部下の特徴
「周りの人を導いたり、影響を与えたりしたい!」という気持ちが強く、リーダー的な役割を担ったり、責任のある仕事を任せられたりすることで、モチベーションが高まります。
- 影響力や権力を持つことに喜びを感じる
- リーダーシップを発揮したいという気持ちが強い
- 認められたい、評価されたいという気持ちが強い
仕事の任せ方例
権力動機が高い部下に対しては、以下のような任せ方をするとモチベーションを上げられるでしょう。
- チームリーダーなどのリーダー的な役割を任せる: チームをまとめ、目標達成に向けて指揮をとることで、権力欲を満たせます。
- 重要なプロジェクトを任せる: 重要なプロジェクトを任せることで、責任感と達成感を味わえるようにします。
- 積極的に評価し、称賛する: 成果を認め、積極的に評価することで、モチベーションを高めることができます。
トークスクリプト例
権力動機が高い部下向けのトークスクリプト例は、以下の通りです。
- 「君のリーダーシップに期待している。チームを成功に導いてくれ。」
- 「これからも積極的にチャレンジし、リーダーとして成長していってほしい。」
- 「君のリーダーシップ能力を活かすために、このプロジェクトのチームリーダーとして任命したいと思います。君の指導力と決断力が、チーム全体をまとめ、成功に導いてくれると確信しています。」
- 「このプロジェクトは会社にとって非常に重要なものです。そのため、君をこのプロジェクトの責任者として任命します。君の責任感と能力を信頼していますので、プロジェクトの成功に向けて最善を尽くしてください。」
- 「これは会社にとって重要なプロジェクトです。そのため、君をこのプロジェクトの責任者として任命したいと思います。君の積極的なリーダーシップが、プロジェクトの方向性を決定づけるでしょう。」
親和動機が高い部下のモチベーションを上げる任せ方
親和動機が高い部下の特徴を示した上で、モチベーションを上げる任せ方の具体例とトークスクリプト例を紹介します。
親和動機が高い部下の特徴
「仲間と仲良くしたい!認められたい!」という気持ちが強く、他者とのコミュケーションや、集団活動を通じて、充実感を得ることができます。
- 良好な人間関係を築くことに喜びを感じる
- チームワークを重視する
- 周囲から認められたい、好かれたいという気持ちが強い
仕事の任せ方例
親和動機が高い部下に対しては、以下のような任せ方をするとモチベーションを上げられるでしょう。
- チームワークが重要となるプロジェクトを任せる: チームで協力して目標達成を目指すことで、親和欲を満たすことができます。
- メンバーとのコミュニケーションを促進する: 定期的なミーティングや交流会などを開催し、メンバー同士のコミュニケーションを促進します。
- チームの成果を共有し、称賛する: チームの成果を共有し、メンバー全員で達成感を味わえるようにします。
トークスクリプト例
親和動機が高い部下向けのトークスクリプト例は、以下の通りです。
- 「このプロジェクトを成功させると○○さんの役に立つので、ぜひ成功させてほしい」
- 「君のチームワーク重視の姿勢が、このプロジェクトに大きなプラスとなると考えています。周囲と協力し合いながら、共に成長し、良い成果を出していくことを楽しみにしています。」
- 「このプロジェクトは、協力とチームワークが不可欠な要素です。君の協調性とチームプレイへの熱意が、プロジェクトチーム全体の結束を高め、素晴らしい成果をもたらすことにつながると信じています。」
- 「プロジェクトの成功には、チーム全体の連帯感と協力が欠かせません。君の人柄やコミュニケーションスキルが、チームの一員としての重要な役割を果たし、共に困難を乗り越えていくことができると確信しています。」
回避動機が高い部下のモチベーションを上げる任せ方
回避動機が高い部下の特徴を示した上で、モチベーションを上げる任せ方の具体例とトークスクリプト例を紹介します。
回避動機が高い部下の特徴
回避動機が高い人は、失敗や困難を避けたいという気持ちが強いです。
- 失敗や困難を避けたいという気持ちが強い
- 安定した環境を好む
- 批判されることを恐れる
仕事の任せ方例
回避動機が高い部下に対しては、以下のような任せ方をするとモチベーションを上げられるでしょう。
- 明確な指示を与える: 具体的な指示を与えることで、不安を軽減し、安心して仕事に取り組めるようにします。
- 小さな目標から取り組ませる: 最初から大きな目標を設定するのではなく、小さな目標から徐々に難易度を上げていくようにします。
- 定期的にフォローアップを行う: 定期的に進捗状況を確認し、必要があればサポートを行います。
トークスクリプト例
回避動機が高い部下向けのトークスクリプト例は、以下の通りです。
- 「この仕事はこうやって進めてほしい。わからないことがあればいつでも聞いてね。」
- 「最初は小さな目標から始めて、徐々に難易度を上げていきましょう。」
- 「定期的に進捗報告をしてください。困った時には必要なサポートやアドバイスを提供します。安心感を持って仕事に集中できるよう、常にサポートしていきます。安心して取り組めるよう、一緒に頑張りましょう。」
全タイプの部下に共通するポイント3つ
動機ごとに応じた仕事の任せ方を紹介しましたが、ここでは動機に関係なく仕事を任せる際に共通で抑えるべきポイントを、3つ紹介します。
- 具体的な目標を設定する: 具体的な目標を設定することで、部下が何をすべきかが明確になり、モチベーションを高められます。
- 定期的にコミュニケーションをとる: 定期的に進捗状況を確認し、必要があればサポートを行います。また、フィードバックや称賛を与えることで、モチベーションを維持および向上できます。
- 個々の成長を支援する: 各部下の成長を個別に支援し、目標達成に向けてサポートすることが重要です。
まとめ
部下のモチベーションを上げて、成果を最大限に引き出すためには、個々の動機を理解し、それに応じた仕事の任せ方とコミュニケーションが重要です。本稿で紹介した方法を参考に、部下一人ひとりに最適な方法で仕事を任せて、モチベーションを高めていきましょう。部下のモチベーションを高めることで、チーム全体の業績向上に繋がります。
また弊社「株式会社インヴィニオ」は、事業戦略を推進するために必要な組織の実力強化にコミットする組織開発のプロフェッショナルです。人材育成、組織変革、リーダーシップ開発など、多角的なアプローチを通じて、組織が成果を生み出す能力を引き上げ、引き出し、業績向上につなげていくことを重視しています。
「部下のモチベーションを上げたい」「部下のモチベーションをマネジメントできるリーダーを育てたい」とお考えの方は、ぜひこちらから気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
松井 麟太郎
株式会社インヴィニオ
コンサルタント