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レノボのM&A成功を支えたデニソン組織文化診断|事例紹介
目次
組織文化は、M&Aにおける重要な推進要因や成功要因に影響を与えます。世界有数のテクノロジー企業であるレノボは、その事実を根本的に理解してます。
変化の時代に対応するため、各企業間のM&Aが活性化しています。M&Aを進める際においては、経営面や事業面が重視されがちですが、組織文化が成否を大きく左右することも理解しなければなりません。
組織文化の統合を軽視した結果、従業員の離脱や業績悪化などを引き起こしてしまった例も散見されます。
そこで今回は、レノボの成功事例を基に「M&Aにおいてどのように組織文化の統合を進めたか」「M&Aにおける組織文化の統合を成功させるための重要ポイント」などを紹介します。
なお本事例は、コカコーラやNASAをはじめとする50か国・8,000社以上もの業績や組織パフォーマンスの向上を支援する米国企業「デニソンコンサルティング」が手がけた信頼性・再現性が高い内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
M&A時にレノボ重視した組織文化の統合
レノボは、最先端のPC、携帯電話、タブレット、サーバーを製造・販売し、合わせて年間約390億ドルの収益を上げています。世界160カ国以上の顧客に毎秒約4台のデバイスを販売している同社は、変化を受け入れ、柔軟な姿勢でそれを行うことで、目まぐるしく変化する需要に対応しています。
レノボの首脳陣は、常に変化し、成長し続けるテクノロジー業界において、同社が長期的に戦略的リーダーとしての地位を維持できるようにしたいと考えていました。
そのため、レノボはIBMのx86サーバー事業を23億ドルで買収する意向を発表し、その後1週間も経たないうちに、モトローラ・モバイル事業を29億ドルで買収すると発表したのです。
またレノボの首脳陣は、IBM PC部門の統合という過去の経験から、3つの主要組織の統合が並大抵のことではないことを認識していました。
レノボとモトローラ、そしてx86が”Win As One(ひとつになって勝つ)”ためには、組織間における組織文化の共通点や相違点を深く理解しなければなならないと考えたのです。
そして、データを重視する組織文化を持つ同社は、デニソンコンサルティングに統合のための支援を依頼したのです。
組織文化を統合するための基本5ステップ
デニソンコンサルティングの協力のもと、レノボは以下5ステップのアプローチで企業文化に取り組みました。
ステップ1. 組織文化の評価
まずは、レノボ・x86・ モトローラの3社それぞれについて、組織診断および個々のリーダーシップへのインタビューを通じてデータを収集します。
ステップ2. 分析と比較
組織全体のデータを評価し、各社がもつ文化的強み、機会、潜在的な衝突を理解します。
ステップ3. 優先順位の決定
構築すべき強みや開発すべき能力など、重点分野の優先順位を決定します。
ステップ4. 行動計画と実行
M&Aと組織文化統合の両方にとって重要な全社的アクションを推進します。各事業部門が、それぞれの優先順位と目標を達成するためのアクションを推進できるようにすることが重要です。
ステップ5. 継続的な強化
リーダーシップ、従業員のコミュニケーション、エンゲージメント、評価と報酬など、組織文化の更なる強化に効果的な手段を特定・実施しましょう。
レノボの成功事例にみるM&Aの2大原則
レノボのM&Aを成功させたのは、2つの原則でした。この2大原則は、どのようなM&Aにおいても欠かせないものといえるでしょう。
原則1:共有目標の設定と権限移譲
全社的な共有目標を設定した上で、各チームに権限を与えます。チームが信頼と誠実さをモデル化し、障壁を取り除き、優れたパフォーマンスの評価を受けられるようにして、チームが主役となる体制を作ったのです。
原則2:インクルージョン(包括性)
レノボは非常に多様な企業であり、この多様性は組織全体に浸透しています。当時、リーダーシップ・エグゼクティブ・コミッティーには7カ国の社員がおり、エグゼクティブのトップ100人には20カ国以上の国籍が含まれていました。
インクルージョンは「あったらいいな」という概念ではなく、真のビジネス上の必須事項でした。
レノボでのインクルージョンとは、全員がすべてに同意することを意味するものではなく、「オープンで率直であること」「尊敬の念を示すこと」「ビジネスにとって最善の解決策を生み出すために折り合いをつけること」を意味しています。
レノボの成功事例にみるM&Aの重要ポイント3つ
レノボの成功事例を通じて、見出されたM&Aの重要ポイントは3つです。この3つの重要ポイントは、レノボの組織開発担当ディレクターであるキャシー・ホープ氏が、本成功事例から見出した教訓を基にしています。
ポイント1.曖昧さや不測の事態に備えた計画に慣れる
M&Aについては、人が関わり、規制やルールも関係してくるため、組織は状況が常に変化する可能性があることを心に留めておく必要があります。
レノボは、動きの速い、ダイナミックな組織であるため、変化への対応に慣れているため、こうした状況にも柔軟に対応できました。
つまり、M&Aをスムーズに推進するためには、柔軟性を保ち、回復力のあるアプローチと視点を意図的に維持することが重要といえるのです。
ポイント2.人間関係を優先し、意図的に信頼を築く
M&A統合における人的要素を過小評価してはなりません。M&Aの間、参加企業のメンバーは、不確実性やコントロールの欠如に不安を感じることがあります。
そのため、一つひとつのやり取りにおいて、意図的に信頼を築くことが重要です。オープンで透明性を保ち、積極的に情報を共有しましょう。
ポイント3.社内の声に耳を傾けながら進む
M&A統合の最中には、ビジネスを前進させようとできるだけ早く行動したくなることがあります。しかし、一度立ち止まって、社内の声に耳を傾け、理解を確認し、ヒアリングできた内容を振り返ってから先に進むことには大きな価値があります。
M&Aに導いたデニソン組織文化診断
レノボの文化統合責任者イー・ミン氏は、M&Aにおけるデニソン組織文化診断の働きについて次のように評価しています。
- 私たちが抱えているビジネス上の課題について、非常にオープンで率直な会話をすることを促進し、それを可能にしてくれた
- すべてがデータに基づいていて、私たちが利用できる基本情報が多数あったからこそ達成できた
- 診断やインタビューの結果から、同業他社と比較したときの自分たちの立ち位置を理解できた(まさに目から鱗だった)
さらにイー・ミン氏は、他のビジネス・リーダーやその組織に ビジネスリーダーやその組織にデニソン組織文化診断を薦める理由を2つ挙げています。
「1つ目は、これが実証済みの方法論で、ビジネスの成果に明確に結びついている点です。2つ目は、コンサルティングとコーチングの質の高さです。これは本当に素晴らしいものです」
レノボのイー・ミン氏も推奨した「デニソン組織文化診断」は、25年にわたって50か国以上・8,000社以上もの業績および組織パフォーマンスの向上を支援してきたデニソンコンサルティングが開発した診断ツールです。
「回答は参加者ごとに15分〜30分程度で簡単に行える」上に「実践および実績に直結する調査結果を得られる」というメリットにより、組織文化診断の世界標準となっています。
弊社インヴィニオは、デニソンコンサルティングの日本パートナーとして国内企業向けに「デニソン組織文化診断」を提供・実施しています。実績に裏づけられた組織文化診断を用いることで、把握や分析のレベルに留まらせるのではなく「実績向上」にコミットします。
「M&Aの失敗要因になりがちな人的・心理的・文化的なリスクを回避したい」「M&Aに伴う組織文化統合を成功させたい」といった場合は、以下から気軽にお問い合わせください。