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組織文化の変革を成功に導くデニソン組織文化診断|事例紹介

目次
世界中の企業が「組織文化の変革」を求められています。
変化の時代といわれる現代。目まぐるしい市場の変化やIT・テクノロジーの進歩、新たなビジネス戦略への適応、働き方の多様化や異文化への対応など、環境が大きく変化するなかで「組織文化」のみが依然として過去のままという訳にはいきません。
ただ一方で「何から、どのように着手すれば良いか分からない」「刻一刻と変化していく環境を横目に自社の将来に対する不安だけ増している」といった悩みを抱く経営者およびリーダーも少なくありません。
こうした悩みを解消に導いているのが「デニソン組織文化診断」です。デニソン組織文化診断とは、業績向上に必要な具体的課題を特定できる診断ツールです。コカコーラやNASAをはじめとする50か国以上・8,000社以上もの業績および組織パフォーマンスの向上を支援してきたデニソンコンサルティングにより開発されました。
今回は、アメリカのピッツバーグに拠点を置くビジネスとテクノロジーに関するコンサルタント会社「SDLCパートナーズ」の事例を基に、世界中の企業が注目する「デニソン組織文化診断」がどのように組織文化の変革に役立っているのかを紹介します。
組織文化こそ最大の資産
SDLCパートナーズは、ピッツバーグのダウンタウンに拠点を置くビジネスとテクノロジーのコンサルタント会社です。2004年以来、SDLCはクライアントに高品質のビジネスおよびテクノロジーサービスを提供してきました。
SDLCの従業員は一体となって、クライアントのビジョンを実現するために、測定可能な改善と永続的なソリューションを提供することに重点を置いたハイパフォーマンスな組織文化を形成しています。
この組織文化は、SDLCの最大かつユニークな資産であり、従業員に権限とリソースを与え、評価するために構築されています。SDLCは「意欲が高く積極的な社員」が会社の成功の基盤を築き、クライアント・自社・従業員相互に価値を提供できると確信しています。
クライアントのために組織文化に焦点を当てる
2018年、SDLCは改善の可能性がある領域を特定し、文化的成長の調査と追求を優先事項としました。
組織文化の変革に取り組むことは決して容易なことではありません。従業員の大半がクライアントの事業所で働くケースが多いため、結束力のある組織文化を発展させるのはより困難な課題です。
実際のところ、仕事の性質上、SDLCの従業員の多くはクライアントの組織文化に取り込まれ、同化してしまうことが少なくありません。SDLCのリーダーは、会社と従業員とのつながりを強化して従業員の才能をフルに活用すれば、結果としてクライアントに最高品質のサービスを提供することができると考えました。
そこでSDLCは、デニソン組織文化診断(DOCS)を活用して、組織文化のベースラインを確立しました。SDLCの担当者は次のように語ります。
「当社リーダーの1人が私に『私たちの文化とは何ですか?』と尋ねました。いい質問でした。私たちは変革が近づいていることを知っており、変革の手段を探していました。そのためにもまずは、従業員がここで働くことについてどう考えているのか、私たちの組織文化をどう見ているのかを理解する必要がありました。デニソン組織文化診断がそのきっかけであり、変革の機会となったのです」
2018年の診断結果
4つの特性を高めるバランスの取れた改善アプローチ
デニソンモデルの4つの特性である「方向性」「適応性」「自律性」「一貫性」は、この4つの特性に基づいて行われる行動を測定します。
■4つの特性
方向性:
組織の方向性を理解できているか?
適応性:
市場/外部環境に適応しているか?
自律性:
従業員が一体感を持ちつつ、自発的に行動できているか?
一貫性:
組織能力を発揮・強化できるような価値観、システム、プロセスが整備されているか?
SDLCの組織文化診断で明らかとなったのは、効果的な組織文化の変革プロセスには、上記4つの特性に対するバランスの取れたアプローチが必要であることでした。
従業員を巻き込むためのプロセスで最初のステップとして、対面や書面でのコミュニケーションなど、さまざまなチャネルを活用して組織文化診断の結果を共有しました。
そして、さらなる洞察、フィードバック、文化変革の取り組みへの支持を得るためにフォーカス・グループが活用され、デニソンモデルと調査データをロードマップとして、さまざまなアクションを展開しました。
デニソンモデルについて詳細に知りたい場合は、こちらの記事をご覧ください。
デニソンモデルとは?業績向上につながる組織文化診断のしくみ
方向性と一貫性の強化
SDLCは方向性と一貫性の強化に向けて、新しいミッション、ビジョン、バリューの作成に取りかかります。最終決定後は、まず経営幹部、次に全管理職、そして最終的には全従業員へと、段階的なアプローチで整合性を図りました。
従業員はSWOT(強み、弱み、機会、脅威)分析の実施に参加。会社の目標は、チーム目標と個人目標の作成につながり、KPIと個人のパフォーマンス・マネジメントによって目標に対するトラッキングが強化されました。
新たに定義されたコア・バリューは、行動力、チームワーク、起業家精神を重視したクライアントとのコミットメントを強調しています。
毎週月曜日のミーティング、毎月のマネージャーミーティング、すべての社内コミュニケーションに組み込まれたロードマップに関する情報など、一貫したコミュニケーションプログラムが開発または更新されました。また、人的資本と財務管理の一貫性を提供するクラウドベースのソフトウェアであるWorkdayを導入しました。
自律性と適応性の強化
定期的なミーティングとコミュニケーションにより、全従業員に変化と進捗状況を周知しました。意思決定ツール(RACI)は、エンパワーメントと決定権を明確にし、意思決定をサポートするために使用します。
能力開発には、メンター・プログラム、マネージャー・トレーニング、会社のイニシアチブを自発的に提案・推進するための能力開発など、さまざまなプログラムが用いられました。
SDLCのシニアHRマネージャーであるエマ・ファジオ氏は、次のように述べています。
「従業員の経験をよりポジティブなものにしようという新たな機運が高まっています。メンター・プログラムのような、会社をより良くするためのアイデアは、エキサイティングで楽しいと感じています。革新的なアイデアを出すことを奨励することで、個人が興味のある分野に関わることができます。これにより、以前には欠けていた生産性、透明性、コラボレーションのレベルが向上しました」
さらに、クライアントのためのサービスとソリューションに焦点を当てた体系的なアプローチを推進するために、大規模な組織再編が行われました。組織文化改善のための行動は、会社、従業員、クライアントへの影響という3つの要素に焦点を当てることが重要だったためです。
課題への取り組み: 劇的な変化
SDLCはデニソン組織文化診断の結果から学んだことを取り入れ、社内の変革チームに大きな改善をもたらす権限を与えました。
2019年に再び調査を実施したところ、劇的な変化がみられたのです。デニソンのCEOであるブライアン・アドキンス氏は、次のように語ります。
「集中的な努力の結果、組織文化の対象となる領域において、ある年から別の年にかけて10ポイント上昇することは珍しいことではありません。ただSDLCでは12の指標すべてで大幅な上昇が見られ、その上昇幅は最小27ポイントから最高52ポイントまでありました。これは驚くべきことです。」
2019年の診断結果
この結果から、組織文化の変革に対するアプローチのバランスが取れていたこと・変革の体系的な実施に対する理解が得られたことが分かります。
SDLCは、社員が会社の戦略、ミッション、ビジョン、バリューを明確にし、将来について明確な意識を持ち、一致団結するような組織文化を推進することに重点を置きました。その努力は、イノベーションに向けた組織文化を復活させるのに役立ちました。
2019年だけでも、従業員はWomen in Technologyネットワーク、メンター・グループ、STEM for Kidsプログラムなど多くの取り組みを実施しています。現在、従業員はクライアントや組織、地域社会に対してより良いサービスを提供するためのアイデアを提案し、率先して実行する権限を与えられていると感じています。
SDLCパートナーズの創設者兼CEOであるクリス・シムチック氏は次のように述べています。
「創造性と献身をもって、当社の組織文化をより高いレベルのエンゲージメントと革新へ導くという課題に取り組んだチームを、私は誇りに思います。彼らの懸命な努力と忍耐は、デニソン文化診断結果の目覚ましい変化に表れています。ステークホルダーを巻き込み、全ての従業員に関わるバランスの取れた体系的なアプローチが、私たちの企業生活と企業価値に目に見える変化をもたらす可能性があることを証明しています。」
今後もSDLCは従業員に権限を与え、彼らの声を聞く機会を十分に提供していくでしょう。彼らにとって従業員のアイデアと声こそが未来であり、質の高い革新的なソリューションをクライアントに提供し続けるだけでなく、社内のチームとしてつながり、関与し続ける集団的能力に自信を持っています。
組織文化の変革を成功に導いた実践とプロセス
組織変革の取り組みはすべて「より強いビジネスになる」という1つの目標を達成するために行われました。デニソン組織文化診断により、SDLCは「変革に何が必要なのか」を把握し、従業員やクライアントに最もポジティブな影響を与える分野に優先順位をつけることができたのです。
変革の成功は、インパクトの大きい行動だけでなく、バランスの取れた体系的なアプローチによってもたらされたことは明らかでした。
SDLCの使命は、よりスマートなソリューションを通じて組織のパフォーマンスを加速させることです。SDLCは、自らそれを実践しています。組織文化の変革に役立った主要な実践とプロセスについては、下記を参照してください。
組織文化の変革を成功に導いた主要な実践とプロセス
適応性 | 1.組織を再編し、クライアント・サービスとソリューションに焦点を当てた2つの部門を設立した。 2.新しいアイデアを生み出すためのボランティア・プロセスを確立し、社員がその取り組みを主導できるようにした。 3.組織再編やミッション・ビジョン・バリューなどの主要な特性の変更、全従業員のリーダーシップやエンゲージメントに関わるイニシアチブの開発などを実施した。 |
方向性 | 1.組織の強化と、”選ばれるパートナー “となることに重点を置いた新しいミッションとビジョンを策定し、展開した。 2.年次SWOT分析プロセスをサポートするために従業員の意見を求めた。 3.全社の戦略に沿った各レベルの具体的な目標を策定し、優先事項のロードマップを作成した。 4.すべての目標でKPIを設定し、明確なオーナーシップと意思決定権を持つようにした。 |
一貫性 | 1. コア・バリューを策定、展開し、期待される行動をより明確にした。 2. RACIを活用し、意思決定の責任と権限を明確にし、合意を得た。 3. Workdayを導入し、一貫した人事・財務システムを構築した。 |
自立性 | 1.診断データからさらなる洞察と学びを得るためにフォーカスグループを実施した。 2. 全社的なメンタリング・プログラムを実施した。 3.年次IMPACT賞、同僚への表彰、全社的な「Thank you」イベントなどの表彰プログラムを確立し、活性化させた。 4. 「Monday Minute」(会社全体の活動に関するアップデート)などの新たなコミュニケーション活動を実施した。 5.Women in Technologyネットワークを設立した。 |
デニソン組織文化診断が変革を成功に導く
SDLCにおける組織文化の変革は、デニソン組織文化診断を実施し、自社の組織文化の現状および弱点を「見える化」したことをきっかけにもたらされました。
冒頭で紹介した通り「デニソン組織文化診断」は、25年にわたって50か国以上・8,000社以上もの業績および組織パフォーマンスの向上を支援してきたデニソンコンサルティングが開発した診断ツールです。
「回答は参加者ごとに15分〜30分程度で簡単に行える」上に「実践および実績に直結する調査結果を得られる」というメリットにより、組織文化診断の世界標準となっています。
世界の各企業が変化の時代に適応可能な組織へ生まれ変わるためにも、デニソン組織文化診断はますます必要とされるでしょう。
そして弊社インヴィニオは、デニソンコンサルティングの日本パートナーとして国内企業向けに「デニソン組織文化診断」を提供・実施しています。実績に裏づけられた組織文化診断を用いることで、把握や分析のレベルに留まらせるのではなく「実績向上」にコミットします。
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