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エンゲージメント向上で組織文化を改善、破綻から業界トップへ|事例紹介
目次
エンゲージメント向上は、組織の持続的な発展には不可欠です。
そもそもエンゲージメントとは、従業員と組織のつながりの強さや業務への愛着などを指します。従業員の定着率や成長、仕事の生産性、業績向上などに影響を与えるため、多くの組織が重視するテーマです。
さらに労働力人口の減少、売り手市場の継続などの背景を勘案すると、その重要性は増すばかりです。
ただ一方で「エンゲージメント向上は必要だが、具体的な取り組みをイメージできない」「エンゲージメント向上を実践した企業の事例を知りたい」と考える方もいるでしょう。
そこで今回は、エンゲージメント向上を通じて破綻状態から業界トップへ返り咲いた企業の事例を紹介します。なお本事例は、コカコーラやNASAをはじめとする50か国・8,000社以上もの業績や組織パフォーマンスの向上を支援する米国企業「デニソンコンサルティング」が手がけた信頼性・再現性が高い内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
破綻企業から業界トップへ|組織文化の変革が鍵
エンゲージメントサーベイにより破綻企業から業界トップへ返り咲いた企業「ドリームズ」。ドリームズは1986年に設立、現在183店舗以上を展開する、ベッドメーカーです。
ただ2013年に経営破綻し、サン・ヨーロピアン・パートナーズ(サン)に買収されました。同年の暮に、マイク・ローグ氏が新たなCEOに任命され、会社を利益ある成長へと導くことを命じられました。
その後3年間で、ドリームズは破綻企業から見事に利益を回復し、企業としての健全性を復活させ、顧客の信頼を取り戻しました。
経営破綻した小売業に新たな息吹を吹き込むという課題に直面したとき、一体何から始めればよいのでしょうか。
特に、買収元の企業が事業の可能性を信じ、財務結果を伴う迅速な改革を期待する場面では、なおさら難しい課題です。
ドリームズは、この成功を達成するために多面的なアプローチを採用しました。新経営陣は妥協を許さず、顧客第一主義を徹底。さらに店舗での顧客体験の向上、製品の改良、革新的なマーケティング・キャンペーン、ロゴの改訂、新しい配送車両の導入などにより、ブランドを一新しました。
しかし、こうした変革も必要不可欠であるものの、根底の組織文化を変えることこそビジネスに変革をもたらすことを知っていました。集中的な推進により、エンゲージメントが高くハイ・パフォーマンスな組織文化を構築し、「他のすべての変革を実現する土台」を築くことが必要だったのです。
こうして、破綻から財務的成功への道のりは、組織全体をデータに基づいて調査することから本格的に始まりました。
以下で示すように、ドリームズのサクセスストーリーは、従業員を巻き込み、明確で整合のとれた組織文化の構築からもたらされました。
エンゲージメントを高めた具体策
熱心に取り組むドリームズチームが継続的なコミュニケーションを繰り返した結果、
「コミュニケーションの欠如」「各事業の部門間で一貫性がなく、社員の多くが疎外感から孤立し、重要視されていないと感じていること」が明らかになりました。
ドリームズの経営陣は、会社が今後 3 年間にどこへ向かう予定であるか、そしてこの道のりに対する貢献の価値を示すため、明確な戦略、使命、ビジョンを備えた組織文化を作り出す必要があったのです。
しかしこれは、本社、店舗、工場、または顧客に注文を届ける途中のどこで勤務していようとも、すべての従業員が平等に関与していると感じた場合にのみ達成できることは明らかでした。そこで「耳を傾け、理解し、行動する」という戦略に焦点を当て、エンゲージメントが高くハイ・パフォーマンスな組織文化を創造するため、以下のような具体策を講じます。
従業員が自由に意見できる場の創設
全従業員が簡単にアクセスし、日々の業務内容や変更点を随時受け取れるようにするだけでなく、全従業員にアプローチするためのいくつかの取り組みが実施されました。
ここでの重要な発見は、従業員同士で情報を交換したとき、コミュニケーションそのものから得るものの方が大きいことが認識されたことです。
そこで、全従業員を対象とした定期的な説明会、四半期ごとの意見交換会、本社での週次ブリーフィング、店舗スタッフを対象とした年次会議が導入されました。
これらのイベントでは、経営陣がビジネスの全領域についての最新情報を得ることができます。さらに重要なのは「現場」にいる従業員が、ビジネスの各領域に影響を及ぼす問題について率直に話すことが奨励され、必要に応じて是正措置を講じることができるようになった点です。
表彰など「ありがとう」を伝える文化
説明会や意見交換会に加えて、ドリームズはさまざまな表彰や、簡単なジェスチャーで「ありがとう」を伝える文化を採用しています。
経営陣は工場の従業員に昼食を提供し、ドリームズの呼びかけを超えた行動をした人には、ABCD(Above and Beyond the Call of Dreams)賞を与えます。このようなサポートは、顔が見えずアクセスできない取締役会というイメージを払拭し、従業員が大切にされていることを実証しました。
さらに、ドリームズ は「The Fostering Network」という慈善団体を選び、多くの従業員がボランティア活動に参加し、楽しいイベントを通じてこの団体への資金集めを行っています。同社の協力により、これまでに 180 人の子供たちがその恩恵を受けています。
ドリームズは、事業の経済的成功を共有することが重要であると認識しており、再建戦略の成功により、過去3年連続で賞与が支給されています。
従業員と家族への割引ファンド
全従業員とその家族にスタッフ割引ファンドを提供しています。このファンドは非常に好評で、これまでに260万ポンドが利用されてきました。
育成プログラムの実施
最初のエンゲージメントサーベイは、従業員が「評価されている」と感じる必要があることを示していました。
そこでドリームズは、才能ある人材を発掘・育成するため、事業の全分野にわたって体系的な研修などの育成プログラムを実施し、その取り組みを強化しました。具体的には、以下のような継続的な育成プログラムが実施されています。
- 全新入社員を対象とした包括的な導入研修
- 管理職リーダーシップ研修
- 上級管理職リーダーシップ研修
- 動画を利用した配送ドライバー研修
また、店舗ベースの研修「Passionate About Winning(勝利への情熱)」という、店舗スタッフが自分の長所と短所を把握し、互いにサポートし合うことで、業績を向上させるためのプログラムもあります。
エンゲージメントの測定
調査によると、高い業績をあげている企業では ROE(株主資本利益率)が大幅に増加しています。ドリームズでは「デニソン組織文化診断」を毎年実施しており、以下に示す結果がそれを物語っています。
デニソン組織文化診断は、経営陣がベースラインを確立し、進捗状況を測定することを可能にしただけでなく、変革を推進するためのツールも与えました。
デニソン組織文化診断を用いることで、ドリームズはエンゲージメントを測定・追跡することができ、事業の運営方法について率直な対話まで実現したのです。
また、診断結果の明確性と整合性によって、より高い業績を達成することを目的とした全社的な活動につなげました。
マイクと彼のチームは、組織文化診断のスコアが向上し、ドリームズがリテール・ウィーク・アワードにて「スペシャリティ・リテーラー」に選ばれたことを振り返るたび、この診断結果に目を通し、”ここから魔法が始まった”と感じていることでしょう。
エンゲージメント向上策を講じる場合の注意点
エンゲージメントを向上させるためには、まずは自社の現状を把握する必要があります。ただし、エンゲージメントだけでなくその他の要素も含めた「組織文化全体」を測定することが重要です。
なぜなら、エンゲージメントのみを測定するだけではその高低が分かるまでに留まってしまい、「影響を及ぼしている要素を正確に特定できない」「エンゲージメントの改善はできても業績に結びつかない」といった事態に陥りかねないためです。
そこで推奨したいのが、本事例でも用いられていた「デニソン組織文化診断」です。25年にわたって50か国以上・8,000社以上もの業績および組織パフォーマンスの向上を支援してきたデニソンコンサルティングが開発した診断ツールです。
「回答は参加者ごとに15分〜30分程度で簡単に行える」上に「実践および実績に直結する調査結果を得られる」というメリットにより、組織文化診断の世界標準となっています。
また弊社インヴィニオは、デニソンコンサルティングの日本パートナーとして国内企業向けに「デニソン組織文化診断」を提供・実施しています。実績に裏づけられた組織文化診断を用いることで、把握や分析のレベルに留まらせるのではなく「実績向上」にコミットします。
「エンゲージメントを単に向上させるのではなく、実績向上に結び付けたい」といった場合は、以下からお気軽にお問い合わせください。