leadership-insight
リーダーシップインサイト
- ホーム
- リーダーシップインサイト
- 責任感を喚起するリーダーシップに重要なのは恐怖ではなく信頼|プロが紹介
責任感を喚起するリーダーシップに重要なのは恐怖ではなく信頼|プロが紹介
目次
部下に対して、自発性の欠如について指導したことはありますか?
プロジェクトやプロセス、課題について「自分ごと」にできていないことを指摘したことはありますか?なかでも問題を抱えた従業員の責任感を強化することは特に難しいと感じたことはないでしょうか?
ほとんどの企業が、従業員の「責任感」をいかに喚起すべきか課題を感じています。
そこで今回は、責任感の喚起について、5つの原則と恐怖ではなく信頼で責任感を喚起するための方法5つを紹介します。なお、ここで紹介する内容は、企業における人材育成のプロフェッショナルであるCCL(Center for Creative Leadership)が綿密なリサーチおよび支援実績を通じて明らかにしたものですので、ぜひ参考にしてください。
すべての企業が抱える「責任感」という重要課題
すべての企業に当てはまる課題として、「各従業員は責任感を自発的にもたなければならない」という点が挙げられます。簡単に表現すると「責任感は他者から押しつけられるものではなく、自分の意志でもたなければならない」ということです。
しかし、適切な環境さえ整えば、人は自然に自らの行動に責任を持つようになります。責任を持つリーダーを育てたいのであれば、CCLのガイドブック『説明責任:自己の責任を所有する』が示すように、人々が自らの決定に責任を持てる環境を整えることが必要です。
組織内の責任感を喚起するための5原則
組織内の責任感を喚起するための5つの原則は、以下の5つです。
サポートの提供
従業員には上級のリーダーシップ、直接の上司、そして所属するチームメンバーからのサポートが必要です。間違いや個々の違いを許容しながら、適切なアドバイスやアイデアを提供しましょう。
自由の提供
従業員に、作業の重要な側面を判断しながら進める権限を与えたり、自由に目標を設定・達成する自由を与えたりしましょう。裁量権の拡大に伴い、責任感の向上を促します。
情報の共有
各従業員に意思決定に必要なすべての情報にアクセスする権限を付与しましょう。「情報がないから取り組めない」といった状況を回避します。
リソースの提供
煩雑な手続き、厳しい制御、そしてリソース不足などが発生していると、オーナーシップ感と責任あるリーダーシップが損なわれます。従業員が責任感をもって取り組もうとする際、それを妨げないようにしなければなりません。
明確な伝達
ビジョンと目標、責任、どのような結果を期待しているのか、そして行動または不行動の結果を明確に伝えてください。ビジョンや求められる結果の正確な理解は、責任感の基礎・土台を形成します。
責任感の喚起には恐怖でなく信頼によるリーダーシップが重要
従業員には担当する仕事を「自分ごと化」して、当事者意識を高くもってほしいものです。
その実現のためにリーダーは、不必要な「恐怖」を取り除く必要があります。
恐怖があると、仕事上の心理的な安全性が欠け、人々は隠れてしまったり、控えてしまったり、最低限のことしかしなくなります。「仕事への関わり=自分が傷つくリスク」と認識し、積極性を失ってしまうのです。さらには、自己の正当性を保ちたいゆえに、合理的でない考え方や言動をとることもあります。
具体的には、以下のような二次的な感情・状況を引き起こしてしまいます。
- 攻撃性の向上・周囲への怒り
- マイクロマネジメント(自らの部下が担当する仕事への過干渉)
- 保身的な言動(言い訳が多くなる)
- エンゲージメントの欠如
- 被害者意識の発生
チームメンバーが意見の表明が安全でないと感じると、思慮深い懸念が共有されず、新たなアイデアも深掘りされません。
この恐怖に対抗するためには、より多くの心理的な安全性を作り出し、信頼を築くことが重要です。これはチームの成功にとって重要な要素です。信頼が失われると、再び信頼を築くには長い時間がかかります。
そのため、最善のアドバイスは、効果的に委任しつつ、「開放的にコミュニケーションをとる時」と「あえて情報を保持する時」を適切に使い分け、一貫して信頼を築いていくことです。
リーダーシップによって恐怖を無くし、責任感を喚起する方法5つ
各リーダーは、以下を行うことで恐怖文化を打破し、責任感を喚起できるでしょう。
会議での行動を観察する
会議などの場において、質問と主張のバランスはとれているでしょうか。特定の人物のみが主張し続けていたり、誰かが主張をすると途端に質問攻めにあったりしていないでしょうか。他者を理解するためには、アクティブリスニング(傾聴)の実践が鍵です。
褒めるべき言動に注目する
部下に対して、間違わないか・リスクのある行動をとっていないかばかりに注目するのではなく、良い行いにも注目しましょう。彼らが何かを間違った時だけを指摘するのではなく、褒められるべき言動を行った際にもしっかりとフィードバックします。
恐怖についてのフィードバックを得る
見解を率直に教えてくれる上司や部下からフィードバックを得ましょう。例えば、次のような質問をします。
- 人々は革新することを奨励されていますか、それとも単に従うことを強制されていますか?
- 異議は許容されていますか?
- 間違いが起こった時に現場ではどのような反応が起こりますか?
とりわけ3つ目は、現場で間違いやミスが生じた際に、それを「隠す・取り繕う・誤魔化す」「すぐに報告したがらない」「報告の仕方に必要以上の時間をかける」といった反応が起きている場合、「恐怖」が先行している可能性があります。
もしかすると、皆さん自身や他のリーダーが、恐怖を継続するような方法で反応してしまい、意図せずに革新を妨げているのかもしれません。
革新を歓迎・推奨する
より多くの革新を望むのであれば、部門内で革新的なマインドセットを育て、試行錯誤の余地を増やし、新たなアイデアを試せる環境を作ることに取り組んでください。そうした場を定期的に設けても良いですし、テーマを設定してアイデアを募集するといった企画も良いでしょう。
自らのミスを認める
自らのミスを認め、共有しましょう。自分自身の過ち、不適切な判断、エラー、そして学んだ教訓について率直に話すのです。本当に責任あるリーダーシップが示されるのは、自分の成功だけでなく、自分のミスも認める時です。
責任感を喚起するリーダーシップを発揮するために
責任感を喚起するリーダーシップを発揮するためには、各リーダーが自らがそれを体現し、一貫したメッセージを送り続けることが求められます。自らが模範となり、自分のチームや他部門の人々にも責任感に溢れたリーダーであることを示していきましょう。
弊社「株式会社インヴィニオ」では、20年以上積み重ねてきた確かな実績と、CCLを含む世界中のアライアンスパートナーから得た最先端のノウハウを用いて、学びを知識や能力のレベルに留まらせるのではなく「実力」へと昇華させることにコミットしています。
リーダーの「育成」だけでなく事業上の成果として表れるように、個人や組織が保有する「成果を生み出す能力」を引き上げ、引き出し、顕在化できるのが強みです。
「責任感」や「当事者意識の強化・自分ごと化」などに対して、「重要なのは理解しているが、いかに取り組むべきか分からない」とお悩みの場合、まずはこちらから気軽にお問い合わせください。