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ビジネスにおけるフィードバック|人材育成に効くSBIモデルを紹介
目次
人材育成に効果的なフィードバックを行えているでしょうか。
ビジネスの場面において、対象者の活動や言動に対する評価を伝えて改善を促す「フィードバック」は非常に重要です。なぜならフィードバックにより、人材に影響を与えて成長を促すことも、反対に成長を止めてしまうこともできるためです。
そこで本記事ではビジネスにおけるフィードバックについて、理解すべきポイント、定期的に行うメリット、有効なSBIモデル、会話のポイント、具体的な手順を紹介します。
なお本記事の内容は、世界を代表するリーダー育成のプロであるCCL社(Center for Creative Leadership)が、綿密なリサーチおよび支援実績を基に導き出したものですので、ぜひ参考にしてください。
ビジネスにおけるフィードバックで理解すべきポイント
ビジネスにおけるフィードバックで理解すべきポイントは、以下の2つです。
フィードバックは相手と一緒に行う
リーダーや人事が従業員と行うフィードバックは「対象者に向かって行う」ものではなく「対象者と一緒に行う」ものです。従業員のパフォーマンスや能力の向上などポジティブな結果につなげるためには、まずはこのことを理解しなければなりません。
フィードバックは定期的に実施する
ビジネスにおけるフィードバックは、日常的かつ定期的に行うことが重要です。フィードバックが一貫してうまく行われると、リーダーは信頼を確立・強化することができます。そして信頼関係が築ければ築けるほど、部下はフィードバックを受け入れ、行動しやすくなり、学習と成長のパターンが生まれます。
つまり、フィードバックは業績評価のタイミングでまとめて行うよりも、定期的に行う方がより効果的です。まずは社内の各リーダーにこの点を理解してもらう必要があります。
定期的なフィードバックのメリット
ビジネスにおいて、定期的にフィードバックを実施するメリットは、以下の4つです。
- モチベーションが高まり、高い状態を維持できる
- 周囲に悪影響を与える行動を抑制できる
- より効果的な言動を促せる
- 仕事と組織へのコミットメントが高まる
こうしたメリットを最大限に引き出すことができるのが、CCLが開発した「SBIモデル」です。以下で詳しく紹介します。
人材育成に効くフィードバック:SBIモデル
SBIモデルとは、状況(Situation)を明確に把握した上で、観察された行動(Behavior)が周囲に与えた影響(Impact)を説明するためのモデルです。リーダー育成分野の権威であるCCLが40年以上にわたって収集した膨大なデータに基づき開発したモデルであり、全世界で広く認知されています。
フィードバックを行う側の不安を軽減し、フィードバックを受ける側の防御的・否定的態度を和らげることが証明されています。また、ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックの両方に使用することも可能です。
なおSBIモデルには、もう一つの追加要素が存在します。それが、意図(Intent)です。フィードバックを伝える相手がとった行動の背後にある「意図」について質問することで、より効果的なフィードバックを実現します。
つまり、フィードバックを提供するためのSBI(Situation-Behavior-Impact:状況-行動-影響)からSBII(Situation-Behavior-Impact-Intent:状況-行動-影響-意図)への拡張です。
具体的には、以下の4ステップで実行します。
1.状況(Situation)を具体的に特定する
まず対象者が行動を起こした際の「状況」を説明してください。この際、混乱を避けるため、「先週」などの曖昧な表現は避けます。日付や時間、場所、何の機会かなどを明確にしましょう。
2.行動(Behavior)を共有する
次に実際に観察した行動を説明してください。ここで重要なポイントは「事実」にフォーカスする点です。主観(意見や判断)を入れないように注意しましょう。
3.影響(Impact)を伝える
「行動」を正確に説明した上で、当該の行動についてどう思ったか、どう感じたかを伝えます。
行動がプラスの影響を与えている場合「幸せに感じた」や「誇りに思う」、「感銘を受けた」などの言葉は、相手の行動が良い影響をもたらしたことを強調します。
マイナスの影響を与えている場合、「問題と思っている」や「少し心配している」などの言い回しを用いるとフィードバックを行いやすいでしょう。
4.意図(Intent)を確認する
当該の行動の裏にある意図を確認します。これにより、相手が意図(Intent)していたことと実際の結果・影響(Impact)の間にあるギャップに注意を向けさせることができます。例えば、「本当はどうしたかったのか」「どうしたいつもりだったのか」といった問いで表せるでしょう。
人材育成につながるフィードバックを行うために重要な4タイプの会話
人材育成につながるフィードバックを行うためには、対象者のタイプにあわせた会話が必要です。
まずは、対象者が以下のいずれに該当するかを定義しましょう。これにより、フィードバックの焦点をどこに置くべきかがわかるようになります。
- トップタレント:常に高い成果を上げている人材
- ソリッドパフォーマー:安定的なパフォーマンスを維持している人材
- ポテンシャルパフォーマー:これから成果を挙げる可能性が高い人材
- アンダーパフォーマー:残念ながら期待に満たない人材
その上で、以下のように各タイプにあわせた会話を展開します。
トップタレントとの会話
未来への投資を重視します。期待を上回る成果を上げるトップタレントは、組織における将来のリーダーとして注目されています。この高いポテンシャルを持つ人材と将来のキャリアプランまでを見据えた会話を展開しましょう。
ソリッドパフォーマーとの会話
価値を維持または構築することに重点を置きます。ソリッドパフォーマーは、すでに組織から一定の評価を得ている貢献者ですが、より大きな責任や役割を担うことも視野に入れた会話をしましょう。
ポテンシャルパフォーマーとの会話
今は短期的な成功に集中します。ポテンシャルパフォーマーは、現時点で大きな成果を挙げることは困難ですが、今の業務に注力しつつ着実な成果をあげられるよう促せば、トップタレントやソリッドパフォーマーへと進化を遂げることができるでしょう。
アンダーパフォーマーとの会話
パフォーマンスの向上に焦点を当てます。アンダーパフォーマーの場合は、将来の選択肢や新しい仕事、新たな責任ではなく、「今、ここ」に焦点を当てなければなりません。
人材育成につながるフィードバック手順
人材育成につながるフィードバック手順を紹介します。
フィードバックは、部下の「組織に対するコミットメント」や「仕事に対するエンゲージメント」を高める最適な機会です。そのため、下記6ステップのように構造的に進めましょう。
1.目的を明確にする
- フィードバックの目的は何か
- 各人が達成したいことは何か
2.問題点を探る
- 強み、改善点、開発ニーズ、パフォーマンスを評価する
- モチベーションとキャリア志向を確認する
3.選択肢を特定する
- どのように改善していくかを検討する
- 必要に応じて学習機会を検討する
4.期待値を設定する
- 改善を進めた場合を想定する
- まず何を目指すかを決める
- 障害となるものはないか
5.モチベーションを上げる
- どのようなサポートが必要か
- 目標が意味あるものになっているか
6.計画を明確にする
- 目標達成をどのように確認するのか
- どのように成果を追跡するのか
効果的なフィードバックを通じて安定した成果を実現するために
業績目標を達成するために各リーダーに課される要求は容赦なく、優先順位や課題は頻繁に変化します。だからこそ、人材開発プロセスを改善する鍵は、各リーダーがメンバーそれぞれに対して有意義なフィードバックを行えるようにすることといえます。
そして、そのために有効なツールが本記事で紹介した「SBIモデル」なのです。
弊社「株式会社インヴィニオ」は、20年以上積み重ねてきた実績と、CCLを含む世界中のアライアンスパートナーから得た最先端のノウハウを用いて、学びを知識や能力のレベルに留まらせるのではなく「実力」へと昇華させることにコミットしています。
「効果的なフィードバックを行える人材を育成して、組織全体のパフォーマンスや成果を高めたい」とお考えの場合は、ぜひこちらから気軽にお問い合わせください。