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最も効果的なフィードバックの方法|「言いづらい」を乗り越える、伝え方のコツ

目次
フィードバックは、相手の成長を促すための強力なツールです。しかし、伝え方を間違えると、逆効果になることも。この記事では、最も効果的なフィードバックの方法と、避けるべきポイントを紹介します。
また、フィードバックの際に気をつけたい10のポイントも紹介。例えば、「行動に焦点を当てる」「誇張表現を避ける」「皮肉や曖昧な言葉を使わない」など、すぐに実践できるヒントが満載です。さらに、ネガティブなフィードバックの伝え方や、相手のタイプに応じたカスタマイズ方法も解説。心理的安全性を保ちながら、率直に伝えることで、信頼関係を損なわずに改善を促すことができます。
フィードバックに悩んでいる方、チームの成長を支援したい方には、とても参考になる内容です。あなたの伝え方が、相手の可能性を引き出す鍵になるかもしれません。
フィードバックの重要性
フィードバックは、ある意味「必要悪」とも言えるものです。自分が間違っていることを聞くのが好きな人は多くありませんし、その言葉はしばしば耳に痛く、わかりづらいものです。そして、フィードバックを与える側にとっても、それは決して簡単なことではありません。しかし、リーダーやコーチとして建設的なフィードバックを提供することは、部下や同僚の成長を支援するために欠かせないスキルです。だからこそ、人を指導するために必要なことをしっかり理解しておきましょう。
あなたのスタイルや会社の制度がどのようなものであっても、パフォーマンスレビュー(評価面談)が、あなたや部下にとって満足のいくものではない可能性は高いでしょう。しかし、効果的なフィードバックの方法を学び、よくあるフィードバックの失敗を避けることで、意味のない(あるいは悲惨な)レビューと、建設的なコーチングの会話との違いを生み出すことができます。
フィードバックは、成功するパフォーマンスレビューにおいて最も重要な要素のひとつです。なぜなら、それは従業員を会話に巻き込み、重要な課題にスポットライトを当てるからです。実際、私たちは、効果的なフィードバックを与えることこそが、人材育成を改善する鍵だと考えています。効果的なフィードバックを学び、よくある失敗を避けることで、単なる評価面談を意味のあるコーチングの場に変えることができます。
4つのフィードバックのタイプを理解し、どれから始めるのが最も効果的かがわかれば、フィードバックを与えることがより簡単に感じられ、レビューの質も向上するでしょう。
効果的なフィードバックとは?
効果的なフィードバックは、成長を促すものです。受け手に対して、ある状況で自分が何をしたのか、そしてその行動が他者にどのような影響を与えたのかを、具体的かつ率直で建設的な情報として伝えます。効果的なフィードバックを与えることは、相手が自分の行動がパフォーマンスにどう影響しているかを理解し、改善に取り組むための第一歩です。
あなたにとって最も効果的だと思えるのはどれですか?
ほとんどすべてのフィードバックは、以下の4つのタイプのいずれかに分類できます:
- 指示型(Directive)
- 条件型(Contingency)
- 属性型(Attribution)
- 影響型(Impact)
- 指示型フィードバックは、たとえ丁寧な言い方であっても、相手に「何をすべきか」を伝えるものです。例:「チームに優先順位をもっと明確に伝えることをおすすめします。」
- 条件型フィードバックは、将来的な結果を示します。例:「会議で人の話を遮り続けると、協力してもらえなくなりますよ。」
- 属性型フィードバックは、相手やその行動を特定の性質やラベルで表現します。例:「あなたは良いコミュニケーターですね」「あなたは規律がないですね」
- 影響型フィードバックは、相手の行動が他者や組織にどのような影響を与えたかを伝えるものです。これは、相手が知らなかったことや考えたことのない視点を提供するため、評価面談において非常に重要です。行動がうまくいっている理由、あるいはうまくいっていない理由を明らかにします。例:「チームメンバーは混乱していて、私はフラストレーションを感じました。」
4つのタイプすべてを適切なタイミングと目的で使いこなすスキルがあれば、フィードバックの質は向上します。そして、練習を重ねることでさらに上達します。
なぜ影響型フィードバックが最も効果的なのか
フィードバックに対して相手がどう感じるか、どう反応するかをコントロールすることはできません。同じ状況でも、人によって受け取り方は異なります。相手にフィードバックを「好きになってもらう」ことはできませんが、効果的な伝え方を学ぶことで、受け入れられる可能性を高めることはできます。
フィードバックが権威的でない場合、受け手はより受け入れやすくなります。もしフィードバックを与える人が、権力を振りかざしていたり、命令的・支配的・傲慢・自己中心的だと受け取られると、メッセージは伝わりません。受け手は防御的になったり、反論したり、あるいは表面的には受け入れても、後で反発的な行動を取る可能性があります。
4つのタイプの中でも、影響型フィードバックは最初に使うのに最も効果的です。なぜなら、行動の結果について伝えるものであり、詳細を掘り下げたり、動機を推測したり、責任を追及したりしないからです。私たちが広く推奨している「SBIモデル」を使えば、フィードバックを双方向の対話にすることができます。
影響型フィードバックは命令ではありません。何をすべきかを指示したり、結果を提示したり、評価したりするものではなく、情報を提供し、相手に力を与え、メッセージを受け入れる可能性を高めます。
影響型フィードバックは、会話を始めるのに最適な方法であり、必要に応じてより指示的なフィードバックへとつなげる土台にもなります。相手が自分の行動の影響を理解すれば、より具体的な改善提案にも耳を傾けやすくなります。
フィードバックの「して良いこと・してはいけないこと」10選
- 行動について話し、判断しない
✔️ 行動に焦点を当て、支援的なフィードバックを
❌ 個人を評価しない。防御的になり、反発を招く可能性あり - 明確に伝える
✔️ 正直で具体的なフィードバックを
❌ 抽象的で曖昧な決まり文句は避ける - 自分の視点で話す
✔️ 自分の観察に基づいて伝える
❌ 第三者の名前を出すと混乱を招く - ネガティブなフィードバックの価値を認める
✔️ ネガティブなフィードバックは成長の機会
❌ ポジティブな言葉で挟む「サンドイッチ方式」は逆効果 - 言葉を慎重に選ぶ
✔️ 事前に考え、必要なら練習する
❌ 「いつも」「絶対に」などの誇張表現は避ける - 行動に集中する
✔️ 観察した行動を具体的に伝える
❌ 動機や心理状態を推測しない - 要点を絞る
✔️ 例やポイントは少数に
❌ 長々と話したり、似た例を重ねすぎない - 思いやりを持って伝える
✔️ 共感を示すことで受け入れられやすくなる
❌ 脅しのような言い方は逆効果 - 皮肉や不適切なユーモアは避ける
✔️ チームや文化に合ったトーンで
❌ 皮肉や不適切な笑いは避ける - 断定的に伝える
✔️ 明確に伝えることで効果的な会話に
❌ 質問形式は曖昧で、皮肉に聞こえることもある
ネガティブなフィードバックの場合は?
従業員の成長を支援するための調査からの考察
多くの人は、ポジティブなフィードバックを与えることも受け取ることも好みます。気分が良くなりますし、何がうまくいっているかを知ることは有益です。しかし、ネガティブなフィードバックも同じくらい重要であり、うまくいっていない部分を改善するために役立ちます。そして、うまく伝えられれば、ポジティブ・ネガティブ両方のフィードバックは人を動機づける力を持ちます。
実際、過去の調査では、従業員の多くがポジティブなフィードバック(現在77%)を減らし、ネガティブなフィードバック(現在23%)をもっと受け取りたい(35%)と回答しています。
慎重に考え、計画を立てれば、ネガティブなフィードバックは非常に価値あるツールになります。前述のヒントに加えて、以下のベストプラクティスも参考にしてください。
- フィードバック全体のバランスは「ポジティブ75%、ネガティブ25%」を目指しましょう。ネガティブなフィードバックを伝えるときは、遠回しにせず、率直に伝えることが大切です。ポジティブな言葉で和らげようとしても、受け手はその意図を見抜いています。
- 重要な出来事の直後に、できるだけ早くネガティブなフィードバックを伝えましょう。そうすることで、従業員はその出来事を正確に思い出し、同じ行動を繰り返さないようにできます。
- 良好なフィードバック環境を整えましょう。チームや組織全体で「真実」「勇気」「コーチング文化」「心理的安全性」を重視することで、従業員がフィードバックを受け入れ、求め、活用しやすくなります。
ポジティブとネガティブのバランスを取るのは難しく感じるかもしれませんが、正しい技術と十分な練習があれば、スムーズに行えるようになります。
抵抗を避けるためのフィードバックのカスタマイズ方法
最後に、人は自分の行動やパフォーマンスに関する情報に対して、さまざまな反応を示すのが自然です。フィードバックに同意させることはできませんが、伝え方を工夫することで、理解と受け入れの可能性を高めることができます。特にネガティブなフィードバックを伝える際には、以下の点を意識することで抵抗を減らすことができます。
1.状況を考慮する
初めてのプレゼンに不安を感じている新人にフィードバックをするのと、自信があり、より目立ちたいと考えているベテラン社員にフィードバックをするのとでは、伝え方が異なります。
2.情報処理のスタイルを意識する
すぐに理解する人もいれば、時間をかけてじっくり考える人もいます。決断や行動に焦点を当てたい人もいれば、自分で解決策を考えたい人もいます。相手に合わせた伝え方を選びましょう。
3.健康・家庭・個人的な問題を考慮する
フィードバックへの抵抗や予期せぬ反応は、職場外のストレスや問題に起因していることがあります。困難な状況を知っている場合は、タイミングや内容を調整することも検討しましょう。ただし、相手の事情を決めつけず、予期せぬ反応にも対応できるよう準備しておくことが大切です。
4.相手の強みと弱みを踏まえて伝える
たとえば、雑な報告書を見て「やる気がない」と判断するかもしれませんが、実は新しい計算方法が理解できず、恥ずかしくて言い出せないだけかもしれません。報告書についてフィードバックをしつつ、相手が自分の理由や解決策を話せるように促しましょう。相手の反応を理解するために、積極的に耳を傾けることが重要です。
そして何より、相手を分析したり、評価したりする必要はありません。ただ会話をするだけでよいのです。リーダーがよく陥りがちなフィードバックの失敗を避けるようにしましょう。
弊社「株式会社インヴィニオ」では、20年以上積み重ねてきた確かな実績と、CCLを含む世界中のアライアンスパートナーから得た最先端のノウハウを用いて、学びを知識や能力のレベルに留まらせるのではなく「実力」へと昇華させることにコミットしています。
リーダーの「育成」だけでなく事業上の成果として表れるように、個人や組織が保有する「成果を生み出す能力」を引き上げ、引き出し、顕在化できるのが強みです。
今回紹介した効果的なフィードバックの方法についてより詳しく知りたい方、自社リーダーのフィードバックのやり方の改善を推進したいが何から手を付けるべきか分からない方は、ぜひこちらから気軽にお問い合わせください。