leadership-insight
リーダーシップインサイト
- ホーム
- リーダーシップインサイト
- 感謝の習慣でビジネスを成功に導く|リーダーが職場で実践すべき方法
感謝の習慣でビジネスを成功に導く|リーダーが職場で実践すべき方法
目次
感謝の習慣を持つことは、ビジネスにおいても想像以上の良い影響をもたらしてくれます。例えば、ウェルビーイング、エンゲージメント、モチベーション、生産性など、多くの企業が課題とする要素の改善を期待できます。
そこで本記事では「感謝の習慣」について、得られるメリットや重要性を紹介した上で、感謝を表すためにリーダーが行うべき3つのこと、職場で感謝を促す3つの方法、そして組織内に「感謝の習慣」を定着させる重要ポイント4つを紹介します。
なお本記事の内容は、世界を代表するリーダー育成のプロであるCCL社(Center for Creative Leadership)が、綿密なリサーチおよび支援実績を基に導き出したものですので、ぜひ参考にしてください。
感謝を通じて得られるメリット
感謝とは、「価値あるものを受け取った後に感じるポジティブな感情」と定義することができます。そして、感謝の気持ちを持つ人は、より幸せを感じることが科学的に明らかになっています。
感謝を通じて得られるメリットは、以下の通りです。
- ウェルビーイングの向上
- 自尊心の安定化と向上
- うつ病や不安感の低減
- より良い睡眠の実現
ある研究では、人生全体における満足度のうち約20%は、感謝の気持ちをどれほど持てるかに起因するとさえいわれています。研究者によると、感謝の気持ちがここまで影響力をもつのは、「他者のことを考える複雑な社会的感情」であるためです。誰かが自分を助けてくれたとしても、立ち止まって相手の立場に立って状況を考えなければ、感謝することはできないのです。
こうした背景を踏まえれば、感謝という行為が社会的結合に関連するホルモンであるオキシトシンとも関連しているのは、不思議なことではありません。
感謝の習慣を実践することで、これらのメリットを享受する準備ができているのなら、ぜひ「7日間の感謝チャレンジ」に挑戦してみてください。
7日間の感謝のチャレンジは下記よりダウンロードください。
リーダーとして感謝を表明する1週間の挑戦
感謝のギャップ|職場で感謝の気持ちを伝える難しさ
しかし、職場で感謝の気持ちを十分に伝えることは、容易ではありません。
ある調査によると、約半数の人が家族に定期的にお礼を言う一方で、「職場で定期的にお礼を言う人は約15%しかいない」ことがわかりました。
また同調査によると、「35%の人が上司からお礼を言われたことがない」と答えています。
このように、職場における感謝の表現が他の文脈に比べて希薄であることを、「感謝のギャップ 」と考えることができます。
なぜ、職場で感謝することにこれ程のギャップが生じるのでしょうか。ウォートン・ビジネス・スクールのアダム・グラント教授は、「人々は仕事で助けが必要と認めたがらず、誰かへの感謝は自分一人では成し遂げられなかったと認める行為になるためだ」と指摘しています。
ただ一方で別の研究調査によると、80%の従業員が「感謝される上司のためならもっと働きたい」と答えています。
また別調査における募金センターの事例では、ディレクターが従業員の仕事ぶりに感謝したところ、職員がかける募金を募る電話の件数が50%も増えたといいます。さらに、意図的に感謝の気持ちを実践している社員は、病欠が少ないという調査結果も出ています。
これらの統計は、リーダーシップにおける感謝の気持ちが重要であることを示唆しており、職場での感謝を奨励する組織は、より熱心で生産的、そして健康な従業員という利益を得られる可能性が高いのです。
リーダーシップにおける感謝の重要性
人材の流動性が高まり、多くの人がより良い職場を求める昨今。組織には、職場で真の共感を示し、効果的なコミュニケーションを図り、職場の心理的安全を作り出せるリーダーがこれまで以上に求められています。
リーダーが感謝の気持ちを忘れて信頼度を築けていなければ、「ビジョンの共有・従業員の動機づけ・協力の促進・優秀な従業員の定着」のいずれも行えません。
一方で、職場で感謝を示すことに長けているリーダーは、組織文化を向上させることができます。より具体的には、リーダーが職場でより多くの感謝を表現することで、各従業員における下記要素の向上につながるのです。
- エンゲージメント
- 定着率
- モチベーション
- 労働生産性
- 満足度
- 心身の健康度合い
- ウェルビーイング
変革は一人ではできないからこそ、職場で感謝の気持ちを表すことが大切です。リーダーは部下のニーズを敏感に察知する必要があり、感情的な知性はリーダーシップの有効性と密接に関連しています。
感謝は複雑な社会的感情であるため、職場の帰属意識(Belonging)を高め、より大きなビジョンを追求するために人々を引きつけます。
例えば、先に紹介した募金センターの事例では、自己申告のデータから「より多くの電話をかけたのは、自信がついたからでも効果的になったからでもない」ということがわかりました。むしろ、上司のリーダーシップに感謝し、他者から評価されているという社会的な価値観が高まったことが、電話をかける回数が増えた理由だったのです。
感謝を表すためにリーダーが行うべき3つのこと
感謝を表すためにリーダーが行うべきことを、3つ紹介します。
1.感謝の気持ちを伝えるメモを送る。
研究によると、人生に良い影響を与えてくれた人に感謝の手紙を書くことは、感謝の気持ちを高めるために有効な方法です。
手紙でなくメールやテキストでもかまいません。その人がいることへの感謝、その人がしてくれたことへの感謝などを伝えるためのシンプルなメッセージを書いて送るだけでいいのです。
2.感謝日記をつける|週一回のリストアップでも良い
感謝する人々や物事を日記に書くことで、感謝の気持ちを高めることができます。日記を書くのが苦手でも問題ありません。毎日ではなく週に1回だけ短いリストを作るだけでも効果的だという研究結果があります。
ポストイットに3つの感謝の気持ちを書き留めるだけです。よく見えるところに貼って、毎週更新してください。
3.振り返りの時間を取る。
大小さまざまな感謝の気持ちを振り返ることで、職場や家庭での感謝の気持ちを高めることができます。
例えば、支えてくれる上司や部下、その他関係者、利用できるサービスやサポート、他人が自分のために払ってくれた犠牲や貢献、自らの仕事や働けること、などです。短い「感謝の散歩」をすることは、内省のための時間を取るのに最適な方法です。
職場で「感謝」を促す3つの方法
職場で感謝を促す方法を、3つ紹介します。
1.サンクスカードを提供する。
キャンベルスープのCEOだったダグ・コナントは、在職中に3万通もの手書きのお礼状を従業員に書きました。この習慣は、彼が感謝の文化を作り上げ、苦境にあった会社を立て直したことにつながるといわれています。1日1通でもまずは書いてみることをおすすめします。
またスターバックスに倣って、社員が使える感謝状を無制限で提供することで、感謝を送り合う文化を醸成できるでしょう。
2.感謝の気持ちを表すためのスペースを作る。
従業員が賞賛、称賛、感謝の言葉を共有できるような物理的または仮想的なスペースを設けましょう。共有スペースの壁やホワイトボードでもいいですし、誰もがアクセスできる共有オンラインプラットフォーム上でも構いません。
時間的な面でも、感謝のための機会を確保しましょう。職場で感謝の気持ちを育むには、チームミーティングの最初に短い感謝の言葉を述べるのが効果的です。
また、全員に感謝の気持ちを1つずつ話してもらうと、アイスブレイクになります。定期的に開催される部署や組織全体の会議の中で、謝辞を述べる時間を確保することも検討しましょう。リーダーが率先して感謝の気持ちを公に示すことは、職場文化に感謝の気持ちを導入し、従業員が感謝の気持ちとモチベーションを維持するために有効です。
3.うまくいかない時にこそ感謝を数える
物事がうまくいっているときに、感謝の気持ちを持つのは簡単です。しかし、困難な状況にある時こそ、感謝の気持ちはより大きな影響を与えます。
困難に遭遇した際には、明るい兆しを見つけることができるかを確認してみましょう。
その経験から何を学びましたか。どんな成長の機会を得ましたか。
苦難でさえも、教訓を与えてくれるのです。困難や変化の時でも、心から感謝できるようになることが、レジリエンスを高めてストレスのスパイラルに陥らないための方法なのです。
組織内に「感謝の文化」を定着させる重要ポイント4つ
組織内に「感謝の文化」を定着させるための重要ポイントを、4つ紹介します。
1.業績ではなく、人に感謝すること。
職場における感謝の取り組みが、単なる表彰制度に感じられるようなケースが散見されます。このような感覚を避けるためには、社会的な価値に焦点を当て、人々がどのような変化をもたらしたかを考えることです。収益への影響だけでなく、人々の意欲、熱意、コミットメント、努力に感謝するのです。
2.感謝を伝える場面と手段をカスタマイズする。
職場で感謝を実践するには、特定の人がどのように感謝されるのが好きかを考え、それに合わせて感謝の気持ちを伝える必要があります。大々的に行われる四半期会議で、非常にシャイな人に感謝の言葉を伝えると、その本人には認識というより罰のように感じられるかもしれません。
また、全社的なプロジェクトの期限を守るために何カ月も努力を重ねた社員に対して、チームミーティングで「ありがとう、よくやった!」と伝えるだけでは、物足りないかもしれません。
相手にとって「どのような感謝が一番嬉しいか」を考え、思いやりのあるアプローチをしましょう。
3.感謝の気持ちを具体的に伝える。
「昨日はありがとうございました」よりも「5分前にミーティングに来て、発表準備を手伝ってくれてありがとう」と伝える方が、より効果的です。
効果的なフィードバックを行うには、具体的な状況や文脈を挙げることから始め、「SBIモデル」を使用することをお勧めします。
4.本心でない感謝はしない。
もし本当に感謝していることが思い浮かばないのであれば、無理に感謝するのはやめましょう。ほとんどの人は、感謝の表現が心からのものでないことを見分けられます。職場で不誠実な感謝の表現をすることは、何も表現しないよりも悪いことです。
感謝の習慣で革新的かつ安定的な組織へ
誰もが心からの感謝を捧げたり受け取ったりすることで、ポジティブなメリットを享受できることは確かです。そのため、CCL社も(Better) Leadership Projectを通じて、リーダーが自分自身や他人を気遣うなかで感謝の気持ちを強調し、より革新的かつ将来性に溢れた組織へと導くことを目指しています。
まずは、リーダーが率先して感謝の気持ちを具体的に伝えつつ、感謝の習慣を奨励することを始めましょう。
弊社「株式会社インヴィニオ」は、20年以上積み重ねてきた実績と、CCLを含む世界中のアライアンスパートナーから得た最先端のノウハウを用いて、学びを知識や能力のレベルに留まらせるのではなく「実力」や「業績」へと昇華させることにコミットしています。
「感謝の習慣を醸成して、革新的かつ安定的な組織を実現したい」とお考えの場合は、ぜひこちらから気軽にお問い合わせください。