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リーダーシップにおいてコミュニケーション能力を発揮する15のヒント
目次
リーダーシップを取る際、コミュニケーション能力を発揮できれば、周囲からの信頼や前向きな変化を生み出し、組織に成果をもたらせます。そのため、コミュニケーション能力は、リーダーシップにおける核心的な機能であり、良きリーダーであるためには不可欠な能力といえるでしょう。
効果的なコミュニケーションとリーダーシップは密接に関連しています。各リーダーは、自らのチーム、部署、組織、組織外、そしてグローバルにまで及ぶ数え切れない関係性のなかで、常に優秀なコミュニケーターとして振る舞わなければなりません。
そこで本記事では、リーダーシップにおいてコミュニケーション能力を発揮するための「15のヒント」を紹介します。これらは、世界を代表するリーダー育成のプロであるCCL社(Center for Creative Leadership)が、綿密なリサーチおよび支援実績を基に導き出したものですので、ぜひ参考にしてください。
リーダーシップにおいてコミュニケーションが重要な7つの理由
リーダーシップにおいてコミュニケーションが重要な理由について、主なものを7つ挙げます。
- 目標の共有と理解
効果的なコミュニケーションを通じて、リーダーはチームメンバーに組織の目標やビジョンを明確に伝えることができます。これにより、全員が同じ方向に向かって努力するための共通理解が生まれます。 - 信頼関係の構築
オープンで透明性のあるコミュニケーションは、リーダーとチームメンバーの間に信頼関係を築きます。信頼があれば、メンバーは安心して意見やアイデアを共有しやすくなります。 - 問題解決と意思決定の促進
効果的なコミュニケーションは、問題が発生した際に迅速に対処するために必要です。また、さまざまな意見を取り入れることで、より良い意思決定が可能になります。 - チームのモチベーション向上
リーダーがメンバーの声に耳を傾け、フィードバックを提供することで、メンバーのモチベーションが向上します。認められたり評価されたりすることで、メンバーはより一層努力する意欲が湧きます。 - 役割と責任の明確化
明確なコミュニケーションにより、各メンバーの役割と責任がはっきりと示されます。これにより、混乱を避け、業務の効率化が図られます。 - 変化への適応
組織が変化や新しいチャレンジに直面した際、効果的なコミュニケーションはメンバーがその変化に適応するのを助けます。リーダーが変化の理由や影響をしっかりと説明することで、抵抗を最小限に抑えることができます。 - 組織文化や価値観の浸透
リーダーがコミュニケーションを通じて組織文化や価値観をメンバーに伝えることで、組織全体の一体感が生まれます。これにより、メンバーが組織の一員としての誇りを持ちやすくなります。
リーダーが意識すべきコミュニケーションに関する前提3つ
15のヒントをお伝えする前に、以下のコミュニケーションに関する前提3つを理解しておきましょう。
1.自分らしくあること
自らの発言であることを重視しましょう。会社が言っていることをそのまま使ったり、自分ではない誰かのように聞こえるような発言を避けてください。
人は、本物のリーダーシップを求めています。雄弁さを重視するのではなく、本心であることを重視し、少なくとも自らを偽装しないでください。不誠実だと感じる人を自発的に追いかける人はいません。
2.アクセスしやすいこと
うまくコミュニケーションを取るためには、容易にアクセス可能である必要があります。
具体的には、リーダーは定期的にチームの前に現れ、積極的にコミュニケーションを取ることが重要です。これにより、リーダーの存在をメンバーに感じてもらい、リーダーがどのような人物であるかを理解してもらうことができます。リーダーとしての信頼性を高め、メンバーが安心してリーダーに相談できる環境を作り出します。
もちろんチーム内だけでなく、その他のステークホルダーとスムーズに交流する方法を確立しておくことも欠かせません。特に危機下でのコミュニケーションを取る場合は特に重要となります。
3.まずは「聞くこと」
聞くことは、信頼、尊重、開放性、整合性を促進します。良いコミュニケーターは良いリスナーであり、相手の視点を明確に理解し、相手の意見や本音を引き出すことができます。
とりわけ、アクティブリスニングは、他者をコーチングする際の重要な部分です。相手に彼らの懸念点について話す機会を与えてください。人々が本当に考えていること・感じていることの扉を開くための質問をしてください。発言やその裏の真意に、敬意を持ちつつ注意を払ってください。
リーダーシップにおいてコミュニケーション能力を発揮する15のヒント
リーダーシップにおいてコミュニケーション能力を発揮するための「15のヒント」を、以下で具体的に紹介します。
1.絶えずコミュニケーションをとる
情報、考え、アイディアを明確かつ頻繁に、さまざまなメディアで伝えます。アクセスをオープンにしておき、チームや従業員、その他ステークホルダーとのコミュニケーションをスムーズに行える状態に保ちます。近づきがたい印象を無くし、積極的に話す時間を取りましょう。
2.明確なコミュニケーションルールを設定する
組織内で明確なコミュニケーションルールを設定・共有しましょう。その上で、社内メールのやり取り、グループディスカッション、直属の部下との1on1面談など、コミュニケーションが発生するあらゆる場面で適用されるようにします。
3.簡潔かつ直接的な表現で伝える
意見や主張は、簡潔かつ直接的な表現で伝えることを心がけましょう。複雑さの背後に隠れたり、たくさんの情報が積み重なったりしないように注意してください。直接的な表現は、オンラインでのコミュニケーションにおいて、より重要です。
4.物語を通じて示す
「物語」は、ビジョンや目的、目標に命を吹き込みます。「なぜ、こうしたビジョンを目指しに至ったのか」「この目的の背景には、どのような想いがあるのか」など、「物語」を伝えることで、信頼を築き、心をつかみ、深く印象付けるための手段として機能します。人は、物語に惹かれる傾向にあるのです。
5.準備をする
コミュニケーションを試みる際、相手が反対の意志を示す可能性も考えられます。そのケースに備えて事前にシミュレーションを行い、どのような反論や異議があり得るかを予想し、どのように返答するか等を準備しておきましょう。
6.相手を理解する
相手の置かれている環境や立場が違えば、異なる懸念を持つかもしれません。ある人に対しては上手くいったアプローチは、また別の人に対しては悪手かもしれません。
それぞれの目的・目標、役割、責任、抱えている課題、背景などを考慮し、対象ごとにコミュニケーションのとり方をカスタマイズしましょう。たとえば、非常に合理的な人は、感情的なアピールよりも論理的なアピールによって簡単に説得されるかもしれません。
7.ジェスチャーで意図を補強する
目のコンタクト、うなずき、身振り手振りなどのジェスチャーは、メンバーを鼓舞し、皆さんとのコミュニケーションをより快適にします。小さなジェスチャーが、徐々に皆さんとの関係を改善し、組織文化をも変化させるでしょう。
8.場に応じて調整する
場を観察して、理解している様子または混乱している様子など非言語的なサインを探し、メッセージや伝え方をそれに応じて調整します。
例えば、聴衆が後ろにもたれ、腕を組み、退屈または混乱した表情をしている場合、伝え方を調整する必要があるかもしれません。その場合には、進行を一時停止して皆に質問を投げかけ、理解を確認する機会を与えると良いでしょう。
自身のコミュニケーションが聴衆にどのように受け取られているかを常に意識し、彼らが送るサインに基づいた調整を心がけましょう。
9.良い質問をする
優れたリーダーの質問は、複雑な状況を切り抜け、物事の核心を突きます。また、問いかけを通じて、相手の成長につながる重要な気づきを与えることもできるため、良い質問は有効なコーチングを行うための鍵となります。
10.聞いた上で意見を募る
組織の全階層からの意見を求め、耳を傾けましょう。各メンバーに彼ら自身に価値があることを伝え、心理的な安全性を作り出して、各々が意見を言いやすい環境を整えましょう。
また話を聞く際には、「聞く80%:話す20%」を心がけます。相手に対する興味と尊重を示すことで、信頼を築き、効果的なリーダーシップのための重要な感情的なつながりの構築につなげるのです。
11.フィードバックを真剣に受けとる
チームや従業員から正直なフィードバックを求めることは、コミュニケーションの正しい流れを促進し、全体的な信頼を築くのに役立ちます。彼らのフィードバックを真剣に受け取ると、リーダーとして成長し、スキルセットを向上できるでしょう。しかし、フィードバックを求めたにもかかわらず、それを取り入れない場合、かえって信頼を失いかねません。
12.言葉と行動を一致させる
もし発言と行動に矛盾が見られると、信頼は一気に失われます。行動を起こす際には、整合性にも焦点を当て、発言の場以外でも行動で示しましょう。
13.困難な会話を避けない
対立の間に立たされるような状況は、どんな職場でも起こり得ます。対立を無視するのは楽ですが、優れたリーダーは問題が発生したときに懸念を取り上げる能力を有しています。
中立的な視点からアプローチし、結論を出す前に両方の意見を探るよう努力することが求められます。それぞれの側の懸念を解消できる選択肢を考案して、問題解決を図りましょう。
14.関係者を参画させる
戦略や計画、施策を実行する際に、関係者を参画させます。「自分ごと化」と表現することもできるでしょう。コミュニケーションを通じて、他社を上手く参画させることは組織としての目標を達成するための鍵となります。
15.両極端な評価を得ないように注意する
時折、あまりにも攻撃的過ぎるか、あまりにもリラックスし過ぎているかの両極端な評価を得ているリーダーも散見されます。ただリーダーとして、あまりにも一方向に傾きすぎる評判はマネジメントを行う上で、必ずどこかで支障をきたします。そのため、極端な評価を得ないように注意しましょう。
劣悪なリーダーシップコミュニケーションが組織にもたらすコスト
万が一コミュニケーションが停滞、もしくは乱雑になるとどうなるでしょうか?
リーダーは、恐れから十分にコミュニケーションをとらないか、間違ったタイミングで考えを口にするか、あまりに正直になってしまうかもしれません。
これらの問題は、高いストレス状況下で特に顕著になります。例えば、期待や締め切りが守られないとき、貴重な機会が失われたとき、またはイノベーションが欠如しているときなどです。
そして、こうした劣悪なコミュニケーションの結果として生じるコストは多岐にわたります。具体的には、従業員の離職率の増加、士気の低下、意思決定の遅延や誤り、そして信頼関係の崩壊などが挙げられます。これらのコストは、企業にとって大きな負担となります。
こうした劣悪なコミュニケーションを引き起こさないためにも、先に紹介した15のヒントを意識することが大切です。
自らのコミュニケーション能力を測るための簡易チェックリスト
以下は、自らのコミュニケーション能力を測るための簡易チェックリストです。各項目について、5点満点で自分自身を評価してみてください。
- 言葉と行動が一貫しており、明確になっている
- 組織の価値観と一致する方法で行動している
- 別の同僚やチームメンバーとの問題がある場合、その個人に直接アプローチして状況を議論している
- 他者のための良い聞き役になっている
- 多数派の意見とは異なる場合でも、自分の意見や視点を自由に言える
- 「はい」と答えるだけの人にならないように意識している
- 組織のビジョンと共通の目標に焦点を当て続けている
- 自分の行動とその結果に対する責任を受け入れている
- 尊重される対話と生産的な討論を促進し、対立を生産的に解決するために努力している
5点に近い項目が多いほど良いコミュニケーションを実践できている証拠です。一方で、1点や2点の項目は改善に取り組むべき課題項目として捉えましょう。
リーダーのコミュニケーション能力を磨くことで組織の成果を最大化させる
リーダーシップにおいてコミュニケーション能力を発揮するための「15のヒント」を紹介しました。ぜひ、それぞれを実践することで、信頼性や一体感で満ちたチームおよび組織をつくり上げ、業績向上へとつなげていきましょう。
弊社「株式会社インヴィニオ」は、20年以上積み重ねてきた実績と、CCLを含む世界中のアライアンスパートナーから得た最先端のノウハウを用いて、学びを知識や能力のレベルに留まらせるのではなく「実力」や「業績」へと昇華させることにコミットしています。
「各リーダーのコミュニケーションの質を高めて、組織の成果向上を実現したい」とお考えの場合は、ぜひこちらから気軽にお問い合わせください。