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組織文化を変革するための5大原則をプロが解説|相互依存型リーダーシップが鍵
VUCAの時代や変化の時代と表されるように、市場やテクノロジー、働き方、価値観などあらゆるものの変化が激しく、予測困難な現代。こうした状況下において、組織が変化に順応し、持続的な成果をあげるためには、組織パフォーマンスの基礎をなす「組織文化」の変革が欠かせません。
そこで本記事では、組織文化の変革について、5大原則、4つのフェーズ、そして鍵を握る相互依存型リーダーシップ(interdependent leadership)について紹介します。なお、本記事にて紹介する内容は、人材およびリーダー育成のプロであるCCLが、綿密なリサーチおよび支援実績を基に導き出したものですので、ぜひ参考にしてください。
組織文化を変革するための5大原則
組織文化を変革するための5大原則を紹介します。
もちろん、組織文化の変革は一朝一夕にできるものでもなく、決して簡単なものでもありません。しかし、CCLによる10年以上にわたる研究と経験を通じて導きだされた不変の法則は以下の通りです。
原則1. 社員を管理するのでなく、自発性を引き出して導くリーダーが必要
社員は、組織文化の変革において「管理(managed)」されるだけの存在ではありません。チェンジ・マネジメントではなく、チェンジ・リーダーシップが必要なのです。そして、真に組織文化の変革へ導くには、リーダーというガイド役が必要です。このガイド役は、信頼できるパートナーであり、変革への舵取りを助け、全員を学習プロセスに参加させることを助ける役割を果たします。
これには組織内において、真実を語ること、間違いを明らかにすること、すべての答えを持ち合わせない場合を認めること、当惑や不快な感情さえも共有することが含まれます。成功するためには、変革をもたらす手腕のあるリーダーになることが必要です。
原則2. 経営層が変革プロセスを率先垂範しなければならない
経営層は、積極的な関与と模範を示して、変革プロセスを導かなければなりません。各部門のリーダーを変革プロセスへ巻き込む前に、新たな行動様式を自分のものとし、その模範を示す必要があるのです。
原則3. 相互依存型リーダーシップに移行する
組織の垣根や市場構造を超えて増大する複雑性に対処するには、組織は時間をかけて相互依存型リーダーシップへの移行が欠かせません。
相互依存型リーダーシップとは、リーダーとメンバーが互いに依存し合い、協力して目標を達成することを重視するアプローチです。このリーダーシップスタイルでは、リーダーは単独で全ての決定を下すのではなく、メンバーや周囲と連携し、共同で意思決定を行い、共有のビジョンや目標に向かって進んでいきます。
原則4. 「信念」を持った「実践」を繰り返すことで変革する
最良の信念が最良の実践を引き出し、最良の実践が最良の信念を引き出します。無限ループのように、信念と実践は相互依存の関係にあります。組織文化の変革を成功させるためには、両者を高め合う環境が必要です。
多くの場合、自社が掲げる理念やミッションに信念が宿っているはずです。今一度、組織としての命題を思い返して信念を固めるところからスタートしましょう。
原則5. 組織文化の変革は学習ではなく業務である
各リーダーは、一致団結するための新たな方法を考え出し、それを試すことにより、新しい信念を獲得する必要があります。組織文化に対する取り組みは、組織が技術的なシステムやプロセスに焦点を当てるのと同じくらい重要です。組織文化を育てることは「仕事・業務」であり、少なくとも別個の「学習・トレーニング」 ではありません。
組織文化の変革における4つのフェーズ
組織文化の変革における4つのフェーズについて解説します。
組織文化の変革を導き、管理するためにCCLが開発した手法は、より大きな心を育て、複雑な環境下においても創造性が発揮される集団行動を可能にすることに焦点を置いています。先述した5つの原則を補強する下記4つのフェーズを用いて変革を進めます。
フェーズ1.ディスカバリー・ラーニング(発見学習): やる気を定める
フェーズ1は、「相互依存型リーダーシップがすでに存在するか否か」といった現在の組織文化レベルを評価し、ビジネス戦略上で求められる能力を見極めることから始まります。
つまり、自組織が強力なリーダーシップ戦略の策定方法を知っているかどうか、ということです。
フェーズ2.プレイヤーの準備:理解を深める
フェーズ2では下記の項目について検討します。
- 新たな組織文化を業務と一体化させることの長期的な意味は何でしょうか。
- 経営層や幹部層が変革プロセスへ関与するために必要な能力には何があるでしょうか。
経営層や幹部層の能力開発においては、専門知識と経験を有する機関や外部パートナーとの連携を検討しましょう。
フェーズ3.ゲームボード・プランニング:変革プロセスの枠組みを作る
フェーズ3では下記の項目について検討します。
- 組織文化の変革を導き、管理するとはどのようなものなのでしょうか。
- 相互依存型リーダーシップは、事業戦略やリーダーシップ戦略、学習プロセス、組織の業務目標にどのように反映されるでしょうか。
- 必要な信念や行動とはどのようなものでしょうか。
経営層や幹部層の変革プロセスに対する理解が深まるにつれ、変革の課題を整理し、各部門や部署のリーダーを巻き込むことが容易になります。
フェーズ4.ゲームを行う:能力を高める
そしてフェーズ4では、シニアリーダーは変革作業の内容を内面化し、進むべき道を見定めたら、新しい社風を組織内のより隅々までに展開し始めます。
ここまでのフェーズにおいて経営層や幹部層の組織文化を変えたのと同じ信念と実践を、組織の他の場所でも教えこみ、実践する必要があるのです。
最も成熟した組織では相互依存型リーダーシップが根付いている
依存型から独立型、そして相互依存型のリーダーシップ・カルチャーへ成長する組織は、複雑な状況に直面しても、創造的な行動をとりやすくなります。これらのリーダーシップ・カルチャーの違いは以下の通りです。。
- 依存型:意見の一致または慣習に基づくリーダーシップ・カルチャーやマインドセットの一形態
- 独立型:英雄的な個人による功績に基づくリーダーシップ・カルチャーやマインドセットの一形態
- 相互依存的:独立したリーダーやグループの協働に基づくリーダーシップ・カルチャーやマインドセットの一形態
皆さんの組織のリーダーシップ・カルチャーと成熟度レベルを特定する方法、組織文化の変革を導き管理する準備ができているかどうかを判断する方法については、こちらの記事をご覧ください。
組織文化よりも具体的なリーダーシップカルチャー|あなたの企業はどのタイプ? – 株式会社インヴィニオ (invenio.jp)
組織文化の変革を実現するために
従来の段階的なチェンジ・マネジメント方法論の多くは、社員を管理されるべき「物」とみなしています。しかし社員は「物」ではありません。彼らは、さまざまな精神と創作力、信念が合わさった存在です。そして組織文化の変革を実現するためには、社員のプロセス参画が必要となります。
そのために、まずは経営層や幹部層のチームが変革に打ち込む姿勢を持ち足並みを揃えることが欠かせません。そして組織全体内のより多くのリーダーを巻き込み、全社的な変革を成し遂げられるのです。
最終目標は、組織内のすべての人を変革プロセスに参加させた上で、信頼、当事者意識、そして相互依存の形態を生み出すことです。
また弊社「株式会社インヴィニオ」は、組織能力開発・人財開発の専門企業として20年以上にわたり支援実績を積み重ねてきました。CCLをはじめ世界中のアライアンスパートナーから最先端のノウハウを得ており、知識習得や能力アップのレベルに留まらせるのではなく「成果を生み出すための実力」へと昇華させることにコミットしています。
「組織文化を変革・強化したいが何から始めてよいか分からない」「世の中の変化に順応できる組織にしたい」という場合は、まずはこちらから気軽にお問い合わせください。