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柔軟なリーダーシップ診断|変化への対応力を身につける方法をプロが解説
目次
リーダーシップの重要性はほとんどの組織で認識されていますが、果たしてリーダーシップにおける「柔軟性」はどのくらいの企業が重視できているでしょうか。
変化の時代と称される現代。市場やテクノロジー、働き方などビジネスを取り巻くあらゆる環境が目まぐるしい変化を続けています。さらにコロナ過を経て世界中のリーダーたちは、かつてないほどの変化や複雑な状況への対応を迫られました。
こうした混沌とした状況が継続するなかで必須なのが「柔軟なリーダーシップ」です。避けられない変化に対して、上手く適応するための“しなやかさ”を持つことが求められるのです。
そこで今回は、柔軟なリーダーシップについて、世界のリーダーの答え、想定すべき従業員からの質問4つ、必要な4つの心構え、3種類の柔軟性について、重要ポイント5つを紹介します。
ここで紹介する内容は、世界を代表するビジネス人材育成のプロであるCCL(Center for Creative Leadership)の綿密なリサーチおよび支援実績により導き出されたものですので、ぜひ参考にしてください。
世界のリーダーが答えた「柔軟なリーダーシップ」とは
各国で成功を収めているエグゼクティブに「柔軟なリーダーシップ(変化への適応)とは何か」を尋ねると、以下の答えが返ってきました。
- 組織が直面する外部環境や圧力の変化に適応すること
- 状況の変化に応じて、自分のマネジメントスタイルを調整すること
- 変化をポジティブに受け止めること
- 必要に応じて計画を修正すること
- 変化の際には、他社や他者の困りごとを気にかけること
なお、反対に失敗の要因として多く回答があったのは「成長できない」「適応できない」でした。
その理由は、柔軟性に欠けるリーダーが、自分自身が適応することをやめてしまうだけではなく、他者が変化に対応することを制限してしまうケースがあるためです。
そのせいで新しい取り組みが中断したり、頓挫したりすることがあります。変化に抵抗することで、重要なプロジェクトやシステム全体の実行に影響が出て、進行が遅れるだけでなく、他のチームメンバーの不安やネガティブな感情を招く恐れもあります。
そして、従業員の熱意、協力、モラル、創造性が損なわれ、事業や組織の運営がますます困難になってしまうのです。
柔軟性のあるリーダーがキャリアを軌道に乗せ、脱線を防ぐ方法については、こちらをご覧ください。
リーダーの落とし穴:キャリアのディレイルメントを避けるために
柔軟なリーダーシップ診断
柔軟なリーダーシップについて、自社やあなた自身が発揮できているかを診断してみましょう。以下に「YES」と答えられるほど、柔軟性を発揮できていることになります。
- 変化をポジティブに受け止められますか?
- 変化をチャンスと捉えられますか?
- 必要に応じて計画を変更することはできますか?
- 新しい技術、語彙、作業ルールを素早く習得することができますか?
- 模範となって変化を導くことができますか?
- 他の人の懸念を考慮することができますか?
- 自分の長所と短所を正確に把握していますか?
- ミスを認め、そこから学び、前に進むことができますか?
- 楽観的な見方をしていますか?
もし、ほとんど当てはまらなかったとしても、落ちこむ必要はありません。行き詰まったり、変化に不安を感じたり、未知の領域でどう進めていいかわからなくなったりするのは、私たちの多くが経験することです。
以降の内容を踏まえて、柔軟なリーダーシップを実現させましょう。
柔軟なリーダーとして想定すべき4つの質問
柔軟なリーダーとして想定すべき4つの質問があります。
環境の変化に適応するためには、社内の変革も伴います。変革をリードする際には、すべての従業員が答えを求めている4つの基本的な質問を念頭に置いておきましょう。
- 何が起こっているのか?
- なぜそうなったのか?
- これが自分の仕事にどのような影響を与えるのか?
- 目標に向けた計画はどのようなものか?
このような質問をされる前に、先に答えを考えておくと効果的です。さらに詳しい内容については、「別記事:変化に対応するための方法」をご参照ください。
またCCLのガイドブック「 適応力:変化に効果的に対応する 」にあるように、組織、業界、職業における変化を乗り切るためには、まず自分自身が変革のプロセスをリードしなければなりません。
例えば、「潜在的なネガティブな感情のなかで、自分の気持ちを落ち着かせる方法を見つけること」「変化が自分に与える影響を理解すること」「自分の行動が他者に与える影響を理解すること」などです。
柔軟なリーダーに求められる4つの心構え
リーダーシップの柔軟性を評価した後は、自分の考え方が社内メンバーが変化を受け入れる際の模範になるかを見直すことが重要です。
従業員はどう対応すべきか迷った時、リーダーからヒントを得ます。だからこそ、変化をどのように受け入れ、組織に取り込み、リードするかについて、リーダーには次のような心構えが必須です。
- ビジョンを持つ
未来を想像しながら今日の結果を重視する。現状に立ち向かい、計算されたリスクを取り、予測できないことを予測する。 - インスピレーションを与える
ビジョンとそのメリットを伝える。情熱を持って、意図した変化のモデルとなり、変化する未来に従業員を先導する。 - 熱意を持つ
ポジティブでブレない態度を取り、周りの人に障壁を乗り越えるための活力を与える。粘り強く、周りの人を巻き込んで協力する。 - 賢明である
ビジネス感覚に優れ、組織、人材、プロセスに関する知識が豊富であること。問題解決者として問題を予測し、対処する。
リーダーシップに欠かせない3つの柔軟性
リーダーシップに欠かせない3つの柔軟性を紹介します。リーダーシップに求められる柔軟性は「認知的柔軟性」「感情的柔軟性」「気性的柔軟性」に分類できます。
1.認知的柔軟性(Cognitive Flexibility)
認知的柔軟性とは、軽快で多様な思考、新しいアプローチを開発することへの興味、新しいつながりを見つけて活用する能力、そして組織を超えてうまくやっていくことのできる性質を指します。このような柔軟性を持つリーダーは、経験から学び、古いアプローチがうまくいかない場合はすぐにそれを認識できる能力を持っています。
認知的柔軟性を持つリーダーは、計画、意思決定、日々の仕事の管理に、さまざまな思考戦略やメンタルフレームワークを取り入れることができます。また、複数のシナリオを同時に思い浮かべることができ、方向転換して変化を起こすタイミングを見極めることも可能です。
2.感情的柔軟性(Emotional Flexibility)
感情的柔軟性とは、自分や他人の感情に応じてアプローチを変えることができる能力を指します。
感情的柔軟性を持つリーダーは、自分や他人の感情に対処するためにさまざまなアプローチをとることができます。例えば、悲しんだり、不平を言ったり、不安になったり、抵抗したりするなど、移行時に起こりうる感情の変化に対応できるのです。
一方で、感情の柔軟性がないリーダーは、他者の懸念や感情を無視し、議論を封じてしまいがちです。そうではなく、変化ややるべきことを前進させることが求められます。
3.気性的柔軟性(Dispositional Flexibility)
気性的柔軟性とは、楽観的であると同時に現実的な志向も持ち合わせていることを指します。
気性的柔軟性のあるリーダーは、現実的かつ開放的な考え方を持ち、それに基づく楽観的立場をとって行動します。
このようなリーダーは、悪い状況を認めると同時に、より良い未来をイメージすることができます。盲目的にポジティブになったり、悲観的に敗北感を感じたりはしません。曖昧さについても許容することができます。
また、気性的柔軟性のあるリーダーは、変化を脅威や危険としてではなく、チャンスとして捉えます。
認知的、感情的、気性的な柔軟性を高める行動を学び、実践することで、より適応力が高まり、ひいては他者の適応力を高められるようになるでしょう。
柔軟なリーダーシップのための重要ポイント5つ
柔軟なリーダーシップのための重要ポイントを紹介します。リーダーは、自らが変化に適応するだけでなく、組織において変化の舵取りもしなければなりません。変化に上手く対応してチームを前進させるために、下記5つの重要ポイントを意識しましょう。
- 好奇心旺盛であること
たくさんの質問をしましょう。判断や決定をする前に、不思議に思い、探求し、考えるようにしましょう。 - 1つの計画や戦略に固執しすぎない
いわゆるプランBやCを用意しておきましょう。 - サポート体制を作る
一人で頑張らないでください。メンター、友人、コーチ、信頼できる仲間、仕事の同僚、家族など、変化の時にあなたのサポーターとなってくれる人を見つけてください。従業員にも同じことを勧めましょう。 - 変化に対する自分の反応を理解しておく
変化に対する自分の感情や考えを明確にしておくことで、他者に率直な意見を言えるようになります。 - 新しい環境や状況に身を置く
変化に直面したときはもちろんですが、定期的にアクティビティに参加したり、新しい人に会ったり、新しいことに積極的に挑戦しましょう。
柔軟なリーダーシップが発揮される組織になるために
柔軟性をもつリーダーは、CCLが適応力のあるリーダーシップに関する調査研究で述べているように、問題を解決するための新しい革新的な方法を模索し、新しいスキルを身につけ、混乱を脅威ではなく挑戦とみなします。
これらは全て不確実な時代で勝ち抜くために欠かせない能力です。なおかつ、各リーダーが受け身にならず、自発的に身につけてこそ真価を発揮します。ただ、自社のみでリーダー育成を実施できるのかをを不安に思う方もいるのではないでしょうか。
弊社「株式会社インヴィニオ」は人材育成のプロとして、学びを知識や能力のレベルに留まらせるのではなく「実力」へと昇華させることにコミットします。事業の成果として表れるように、人や組織が保有する「成果を生み出す能力」を引き上げ、引き出し、顕在化させることを重視しています。
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