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コミュニケーションを取りづらい上司や部下とのタフな会話術5ステップ
目次
コミュニケーションを取りづらい上司や部下はいませんか?
話を聞いてくれない上司等、扱いが難しい年上の部下、職場にはコミュニケーションをとるのが難しい相手が存在します。冷静に会話をしようとしても、相手がいきなり苛立ち出し、あなたに不満をぶちまけてきたというケースも少なくありません。ネガティブなフィードバックを行う場面ではこのような現象はとくに避けがたいでしょう。
こうした状況に臆せず目的を果たす『タフな会話術』はリーダーが持つべき必須スキルであり、変革の局面に限らず日常業務の中でも必要とされます。
コミュニケーションを取りづらい上司や部下との緊張が走る場面はケースバイケースにみえますが、実はありがちな間違いを理解し、5つのステップを理解すればタフな会話術として習得可能です。
そこで今回は、コミュニケーションを取りづらい上司や部下とのタフな会話術を紹介します。タフな会話術の5ステップをマスターし、コミュニケーションで発生するストレスを極限まで抑えましょう。
なお本内容は、リーダー育成分野の権威かつ専門機関であるCCL(Center for Creative Leadership)が40年にわたる綿密なリサーチに基づいた内容のため、ぜひ参考にしてください。
会話でしがちな3つの大きな誤り
70万部を超すベストセラーとなった『ハーバード流交渉術』の開発者が記した 『話す技術・聞く技術―交渉で最高の成果を引き出す「3つの会話」』によると、私たちは会話で3つの大きな誤りを犯しがちです。
- 相手に説明すべき状況について既に全てを知っていると思い込んでしまう
- 自分の感情を抑え込んだり、反対に後で後悔するような方法で感情をあらわにしてしまう
- 自分が何者かを無視し、自分の存在・アイデンティティと解決すべき問題が無関係であるかのように行動してしまう
ここで学ぶべきポイントは、自分自身は「物事(解決すべき状況)を理解し、説明する立場にいる」という考え方から、「何が起こっているのかを聞き、より正確に学ぶ必要がある」という考え方にシフトすることです。聞くこと(ヒアリング・傾聴)は本当に重要なのです。
コミュニケーションを取りづらい上司や部下とのタフな会話術5ステップ
コミュニケーションを取りづらい上司や部下とのタフな会話術は5つのステップで構成されます。前項目の3つの誤りを踏まえた上で、以下5ステップでタフな会話術を実践しましょう。
1.事前に3つのことを自問自答する
緊迫した議論を開始する前に、あるいは議論の対立を鎮めようとする前に、以下を自問自答してください。
事実を整理し、何が起こったかを理解できているか?
事実をベースに今起こっていることを冷静に確認しましょう。
- 自分自身がどのような観点で物事を見ているか、はっきりと認識しているか
- 相手に伝えようとしているストーリーに隠れた前提条件はないか
- (自分だけが知っている情報、過去の経験、暗黙のルールなど)反対に相手がどのように物事を見ているのかをどこまで知っているか
- 相手はどのような意図を持っていたのか
- 今回話し合おうとする状況はあなたにどのようなインパクトをもたらしているのか(ポジティブかネガティブか)
自分自身の感情の動きを把握できているか?
自分の感情を客観的に探り「私は、この状況に対してどんな感情をもって向き合っているのだろうか?」と自問しましょう。
自分のアイデンティティをはっきりと認識できているか?
自分らしさ・個性・あなたの大切にしている信念などアイデンティティをはっきり認識しましょう。自らに「軸」がなければ、コミュニケーションを取りづらい上司や部下のペースにすぐに巻き込まれてしまいます。
- 直面している状況はどのようにあなたのアイデンティティを脅かしているか
- そもそも自分自身のアイデンティティをどのように認識しているか
- これから展開しようとするタフな会話において、私は上司としてストーリーを語る、私は競争が好きだ、私は忠実な人間である、私は人々を育てるのが得意な人間だ等など、根底にあるものをしっかりと認識できているか
2.目的を確認し、一歩踏み出すかどうかを決める
行動を起こす前に本当にその問題を提起する必要があるのかを確認してください。何の目的の為に一歩踏み出すのでしょうか。
それを判断するために、次のことを自らに問いかけてください。
- わざわざタフな会話をすることで何を達成したいのか
- 自分の主張を通したいのか、相手を変えたいのか
- 相手と共に学び、情報を共有し、問題を解決するために自分自身が変わらなくてはならないところはないか
- その問題を提起せずに(一時的にでも)放置しておくことは可能か
以上を確認した上で、やはりコミュニケーションを取りづらい上司や部下とのタフな会話が必要と判断したら次のステップを実行しましょう。
3.第三者の視点で語り始める
タフな会話を行う際には、自分自身の見解や話から始めないようにすることが大切です。あえて、あたかも第三者の中立的な立場の人が見ていて、会話をリードしているかのようにアプローチするのです。
状況の見方、問題に対する認識の違いをストーリーの違いとして説明します。両者の視点を議論の正当な一部として含め、視点の違いから生じる認識の違いを二人のストーリーの違いとして表現します。最終的には目的を共有し「一緒に状況を解決したい」と考えていることを相手に伝えましょう。
4.あなたと相手が共有できるストーリーを紡ぐ
傾聴しながら「何が起こったと考えているのか」について相手の視点を理解します。議論のポイントや争点の背後にある感情を確認しましょう。
相手の主張を理解していることを示すために、相手の発言を言い換えながら確認します。あなたと相手が、どのような経緯を辿って今の場所にたどり着いたのかを解明してみてください。
傾聴の姿勢を保ちつつも、自分自身の視点・過去の経験・意図・感情を共有します。そして、事実から認識へ、不平不満から協業へ、非難から共感へと、常に隠れた前提条件を再構築して建設的な方向へと導いていくのです。
傾聴については、こちらの記事もご覧ください。
アクティブリスニングとは?コーチングに不可欠なスキルのトレーニング法
5.問題を解決する
最後に双方の最も重要な関心事や利益を満たす選択肢を創り出します。常に一方通行の関係は長続きしないことを念頭に置いてください。今後もコミュニケーションを絶やさないようにするにはどうしたらいいか、話し合いましょう。
コミュニケーションを取りづらい上司や部下はなぜ発生・存在するのか
コミュニケーションを取りづらい上司や部下が、そもそも発生・存在しない組織づくりが一番の解決方法です。ではなぜ発生・存在するのでしょうか。
コミュニケーションを取りづらい上司や部下は「脅威」や「批判」を強く感じると生まれやすくなります。
人が脅威を感じたり、過度に批判されたりすると感じるのを避けるためには、ポジティブで励みになるコミュニケーションとネガティブなフィードバックを含むコミュニケーションの比率がおおよそ4対1の割合であることが必要です。
ポジティブなフィードバックやエンパワーメントのための会話を増やすことで、エンゲージメントが強化され、職場での心理的安全性が高まり、脅威や批判を感じる反応が引き起こされるのを防ぐことができます。
心理的安全性については、こちらの記事もご覧ください。
職場の心理的安全性とは?
コミュニケーションを取りづらい上司や部下がいない組織にするためには
コミュニケーションを取りづらい上司や部下がおらず、「タフな会話」が不要な組織の実現は誰もが望むことです。
本来は必要のない「タフな会話」をしなくてはならない状況は、質の高い会話・コミュニケーションが取れていないために起こります。
組織の全員が互いを理解するために傾聴し、適切な質問をし、挑戦と支援のためのフィードバックを与え、説明責任と具体的なネクストステップを確立することで、より建設的な会話を行うことができます。これは、より良い会話を通じて、より良い組織文化を構築するための重要な要素です。
適切なトレーニングと実践により、あらゆるレベルのリーダーが、会話やフィードバックの質を向上させ、職場全体に波及効果をもたらすことができます。
弊社「株式会社インヴィニオ」は、学びを知識や能力のレベルに留まらせるのではなく「実力」へと昇華させることにコミットしています。事業上の成果として表れるように、人や組織が保有する「成果を生み出す能力」を引き上げ、引き出し、顕在化させることを重視しています。
今回ご紹介したような最先端の知見や、各企業様が求める成果を上げるために有効な人財開発、組織開発のノウハウを、世界中の教育機関やコンサルティング会社とアライアンスを組んで導入しています。
組織内のコミュニケーションに関してお困りごと・ご相談などございましたら、ぜひこちらから何でもお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人:インヴィニオ編集部