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管理職になったら必須|できる上司になるための6つのシフト
目次
管理職になったら、いわゆる「できる上司」を目指したいと考える方は多いのではないでしょうか。ただ一方で、「具体的にこれまでとは何を変えればよいのか」「ダメな上司にならないためにどんな意識をもつべきか」などを悩むケースも少なくありません。
そこで今回は「できる上司」になるために、管理職になったら必須となる「6つのシフト(移行・切り替え)」について解説します。
本内容はリーダー育成分野の権威かつ専門機関であるCCL(Center for Creative Leadership)が40年にわたる綿密なリサーチに基づき解明したポイントのため、ぜひ参考にしてください。
管理職になったら持つべき視点
直近で昇進し、初めて管理職になった方という方もいるかも知れません。「管理職に就く」というのは、単なるタスクの変更だけではなく、自己認識、アイデンティティの根本的な変化を意味します。
できる管理職・できる上司になるためには、「自分で仕事の成果を出すこと」から「周囲を動機づけ、行動させることで仕事の成果を出すこと」へと移行しなければなりません。そのために、より高いレベルでの自己認識、新たに求められるスキルの理解と獲得、管理職としての成功の再定義が必要です。
一般的に「なりたて管理職」が最初につまづく原因は、成功・成果の定義をする際に「自分のパフォーマンス」に焦点を当ててしまうことにあります。管理職・マネージャーとして成功するには他者(部下など)の成功を含める必要があるのです。以下はそのために持つべき主な視点は以下の通りです。
- 自分が率いるグループまたはチームはどのように業務を遂行するか?
- 自分のグループ・チームにいる個々人はそれぞれ十分な能力があるだろうか?
- チームメンバーは協力しあっているか?
- チームメンバーのコミットメントのレベルはどうか?
- 個々人が行動を起こす動機や仕事・プライベートのニーズは、仕事と組織に所属することで満たされるだろうか?
これまで培ってきた「自らの」スキル・能力・知識・経験だけでは、上記の問いかけに対して十分にこたえられません。実際、自らの経験に固執してしまうがために、成果を出すのに苦労している管理職を見たことがあるのではないでしょうか。
そこで、リーダー育成分野の権威かつ専門機関であるCCLがリサーチを通じて明らかにした「管理職になったら必須となる6つのシフト」を活用することで「できる上司」になるためのヒントを掴んでください。
管理職になったら必須となる6つのシフト
管理職になったら必須となる6つのシフトを具体的に紹介します。
1.マインドセット(MINDSET)をシフトする
部下のマネジメントおよびリードを求められる管理職は、個人としての成果ではなく、チームとして成果を出すというマインドセットのシフトが必要です。
そのためのポイントは、各直属の部下を最大限に活用することです。そして可変性(Versatility)があなたにとっての武器となります。
「可変性」とは、目標を達成するためにさまざまな解決策を選択できることを意味します。可変性を発揮するためには、自らの傾向に目を向けたり、他者の心理や行動を読み取る努力をしながら、直面する課題に柔軟に対処する術を身につけることが必要です。
個人のパフォーマンスに重点が置かれなくなったとしても、自分自身の好みや考え方の傾向を理解しておく必要があります。自分がどのように他者をリードするかは、自らの傾向によって大きく左右されるためです。
たとえば、あなた自身が厳しい締め切りのプレッシャーのもと「最後の最後で難局を切り抜けたことで成長した」という成功体験を持っているとします。「最後は何とかなる」という折れない信念は称賛に値しますが、このアプローチが他者にも当てはまるとは限りません。この点を踏まえず自らの経験則に偏ったマネジメントを行えば、不十分な計画の許容に繋がり、締め切り間近に突如としてマイクロマネジメントをせざるを得なくなり、他のチームメンバーから力を借りなくてはならない状況に陥るのです。
管理職として成果や成功を得るには、新しいことを積極的に学び、柔軟に取り入れる姿勢がこれまで以上に必要となります。CCLの調査では、最も成功した「なりたて管理職」は、これまでとは異なる環境・状況にあっても新たなことを学習することが楽しく、刺激的で、魅力的であると感じていることが明らかとなっています。
2.人間関係(RELATOINSHIP)をシフトする
以前の上司や先輩、同期(その一部は親しい友人でさえあるかもしれません)が、部下になることも少なくありません。さらにチームを率いて部下をやる気にさせ、行動させて成果をあげる役割を求められます。
かつての関係・役割から管理職・上司へのシフトは難しい場合があります。あなたが管理職になって指導的立場になると、あなたへの見方が多少なりとも変わってくるためです。
ただし、これまでの関係からチームにおける管理職とメンバーのとの関係にシフトできなければ、リーダーシップを上手く発揮できません。
人間関係のスムーズなシフトを実現するためには、以下の点を留意しましょう。
- 管理職となったあなたから当人に対して「明確かつ具体的な期待」を示す
- 評価には個人的感情を介さず、あくまで「成果」に基づいた評価を下す
- 例外をつくらず部下との質の高い関係を構築する
- 各メンバーの役割と責任を明確にし、進捗状況を把握しながらチームの結束を維持・強化する
3.態度(ATTITUDE)をシフトする
生産性の高いリーダーは、これまで自分が遂行してきたタスクを管理職として、部下やメンバーに委任・権限移譲することで、チームとしての活動を推進する必要があります。加えて権限移譲をすることでメンバーへの信頼を示しましょう。
仮にこうしたシフトを行わなければ、チームメンバーが停滞し、生産性が低下し、組織が苦しむことになります。
また、管理職である以上は、メンバーや部下の育成(つまりコーチングやメンタリング)も欠かせません。チームメンバーの目標を設定し、成長を促すためのフィードバックを行いましょう。
4.視野・視座(PERSPECTIVE)をシフトする
新たに管理職になると直面するのがいわゆる「社内政治」です。組織とは人の集団であり、どのような規模でも社内政治は存在します。社内の政治的側面を無視または軽視すると思わぬ罠が待ち受けていることがあるため注意が必要です。
いずれにしても避けがたい社内政治を毛嫌いする前に「リーダーシップを効果的に発揮するために役立つ要素」として考えてみてください。 社内政治に精通しておくことは決して悪い面ばかりではなく、時には生産性を高めることにもつながります。意識すべき主なポイントは以下の通りです。
- 組織内の利害関係者を把握し、その利害関係者の関心事・ニーズに関する情報を収集しておく
- 利害関係者の動きをよく観察し、自分自身が取るべき行動を戦略的に決定する
- 社内ネットワークの構築により新しい情報を入手し、チーム(および利害関係者)の目標に対するサポート行う
社内政治に関しては、ぜひこちらの記事もご覧ください。
社内政治とは?負けた!を楽しい!に変える6つのスキルと行動をプロが紹介
5.焦点(FOCUS)をシフトする
管理職になったリーダーが果たすべき責任は常に「正しい」行動をとることです。
新米リーダーであってもベテランリーダーであっても、その双方が自らの行動と意思決定が大きなインパクトをもたらす可能性があることを深く理解しなければなりません。リーダーは根底に誠実さと人格を保ち、迷いが生じた場合にはそれらに基づいた判断・行動が求められるのです。
リーダー(管理職)であるあなたの言葉や行動がチーム、組織、そして関係するすべての人にどのように影響するかを考えてください。自らの内側に誠実さを常に維持および発揮し続けることは大変な努力と時間が必要ですが、以下の原則を守ることで実現できるでしょう。
- 慎重に決めること:重要な決定を下すときは「母親(またはあなたが信頼を寄せる人物)はこの決定をどう思うだろうか?」と自問自答する
- 正直であること:できること・できないこと、いつまでに実行できるかを正直に示す
- 枠にとらわれないこと:これまでの人間関係・時間的なプレッシャー・金銭的な報酬などを優先しない。自らの判断と行動がどのような結果をもたらすのかを、これまでの枠にとらわれず冷静に考える
誠実さを重視した「正しい」判断と行動は、チームとの信頼関係構築や、尊重されるリーダー(いわゆるできる上司)としての認知形成につながります。
6.スキルセット(SKILLSET)をシフトする
なりたて管理職が躓きやすいポイントに「これまでのスキルセットへの依存」があります。これまでのスキルセットは、いちメンバーとしての業務を遂行するためのスキルであり、管理職としてのスキルとは異なります。そのため、他者をリードするためのスキルセットへのシフトと強化に取り組む必要があるのです。
具体的にはまず以下を意識しましょう。
- 自分ではなく相手を中心としたコミュニケーションを心がける
- 自ら何でもするのではなく、他者に任せたり、意思決定のサポートを得たりする
- 効果的にチームを編成しリードする
- メンバーにやりがいのあるタスクを割り当て継続的なフィードバックを行うことでスキルを向上させる
できる上司・できるリーダーを育てるためには
CCLの調査において、実用性やテクニックに関するスキルに偏っている人材は、管理職の立場ではリーダーシップを上手く発揮できていないことが明らかにされています。
自分の長所と短所をうまくコントロールできるようになるだけでなく、周囲の視点や価値観を理解しようとすることで、長期的な成功につながります。そのためには、効果的なコミュニケーションの促進、非難ではなく解決策の提示、建設的なフィードバックの提供が欠かせません。
今回紹介した「管理職になったら必須となる6つのシフト」を実践して「できる上司」を目指しましょう。
ただ一方では、社内リソースのみでの実現が難しい場合があるのも事実です。
弊社「株式会社インヴィニオ」は、単なる人材育成に留まらず、学びを「実力」へと昇華させることにコミットしています。事業上の成果として表れるように、人や組織が保有する「成果を生み出す能力」を引き上げ、引き出し、顕在化させることを重視します。
人材育成に関してお困りごと・ご相談などございましたら、ぜひこちらから何でもお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人:インヴィニオ編集部