Leadership Insight

職場・チームの信頼関係を捉え直す

LEADERSHIP INSIGHT / CCL | 2021/10/05

信頼関係の構築と維持を通じた効果的な成果の実現

誰もが一緒に働くチームの中の誰かに対して不満を持つという経験したことがあるでしょう。そのような状況では、チームの誰かに仕事を任せたくても「ちゃんとやってくれるだろうか」、「仕事を頼んでしまうことで、嫌がられたり、後々の人間関係に傷がつかないだろうか」などといった気持ちが芽生えて戸惑ってしまったことは無いでしょうか?

普段一緒に仕事をしているチームの仲間はよく働く良い人かもしれませんが、自分の仕事を任せることができるかどうか?という問題となるとまた別の話になります。皆さんならその人に重要なプロジェクトを任せることができるでしょうか?

「この人に仕事を任せたくない、任せるには不十分だ」という気持ちの根本的な原因は、信頼の欠如です。

相手が個人であれ、チーム全体であれ、リーダーシップを効果的に発揮するためには、信頼を築き、それを維持する方法を知ることが重要です。職場で、チーム内で信頼関係を築くにはどうしたらよいでしょうか?

信頼関係の3つの領域とは

私たちCCL(Center for Creative Leadership)のパートナーである ミシェル・レイナ博士とデニス・レイナ博士は、何十年にもわたって職場での信頼関係を研究し、次の3つの重要な要素を中心に信頼関係が構築されたり崩壊したりすることを発見しました。

  • 仲間を信頼する
  • コミュニケーションをとる
  • 能力を認める

1.仲間を信頼する(Trust of Character)

仲間を信頼することで、チームワークの基調と方向性が整います。職場でこのような信頼感を持つことは、お互いが相手のために行動するという意思を表すもので、チームの関係を構築するための出発点となります。チーム内に仲間を信頼する気持ちがあれば、各メンバーが期待通りに行動してくれるという信頼が持てる状態になるのです。

チームのメンバーがお互いを人として思いやり、仲間の最善の利益とは何かを常に念頭に置いて行動する-これこそチームが効果的に機能するために必要な信頼の基礎となります。チームの各メンバーは、有言実行を通して信頼関係を築き、チーム内で互いに信頼する関係を生み出せるようになるでしょう。

2. コミュニケーションをとる(Trust of Communication)

しっかりとコミュニケーションをとることで、コラボレーションが促進され、メンバー同士が安心して直接話ができるようになります。これは、単に情報を共有するというだけでなく、問題や懸念を解決し、さらに学習し成長しようという精神で、互いにフィードバックを提供することにもつながります。

さらに、コミュニケーションを促進すれば、チームは透明性を持つことができ、オープンで正直な意思疎通ができるようになります。そうすることでメンバーは安心して自分の間違いを認められるようになり、さらに相手の考え方を知ることができます。コミュニケーションは、チームが成功するために必要なコラボレーションの環境を作る要素なのです。

3. 能力を認める(Trust of Capability)

能力を認めることは、チームの一人ひとりが組織に貢献し、自分の知識を活用して変化をもたらそうとする第一歩となります。メンバー同士が互いのスキルや能力を活用し、意見を求め、意思決定に関与し、新しいスキルを教え合うことで、チーム内にこのような信頼関係が構築されることでしょう。また、能力を認めることで、イノベーションの文化が生まれ、チームや組織の競争力を高めることができます。

信頼構築に必要なこれら3つの要素は、職場で信頼関係を築き、維持するためにどのような行動が必要かをチームが理解するための一助となります。

信頼関係について話し合う

問題のさまざまな側面を理解すれば、チームメンバーや同僚と率直に話し合いやすくなります。生産的な方法で会話を始めるためのフレーズをいくつか紹介します。

  • 「気になることがあるので、話したいのですが」
  • 「プロジェクトでのあなたの仕事について話してもいいですか」
  • 「プロジェクトの進捗状況を一緒に確認してもらえませんか」

従業員の問題行動に対しては、その従業員を真摯にサポートする姿勢を見せることが重要です。次に、その従業員と、より経験豊富なスタッフとペアを組ませたりなど、問題をどう解決するかについて話し合います。最後に、説明責任を果たせるような形で、効果的に仕事を任せる方法を確立します。

信頼関係について正直に、そしてオープンに話し合うことで、チームのパフォーマンスについてより深く、生産的な話し合いができるようになり、リーダーと従業員の間に強い絆が生まれるでしょう。

これらは職場で、そしてチームで信頼を築くためには欠かせないステップです。