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EDI(公平性・ダイバーシティ・インクルージョン)とは?組織文化変革の最先端
目次
EDI(公平性・ダイバーシティ・インクルージョン)をご存知でしょうか。ダイバーシティやインクルージョンは聞いたことがあっても、公平性を含む3つが並んだ「EDI」は知らない人も多いでしょう。
アメリカにおけるリーダー育成分野の権威であるCCL(Center for Creative Leadership)が、組織文化におけるEDIの重要性を説いています。既に日本でも注目されているダイバーシティとインクルージョンをさらに推進するにあたっては、公平性まで含めたEDIを理解しておく必要があります。
そこで今回は、EDI(公平性・ダイバーシティ・インクルージョン)について、重要とされる背景、発揮に向けた3つの段階、推進するためのフレームワーク、浸透・持続するためのトレーニングなどについて紹介します。組織文化の変革に関する最先端の取り組みを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
EDI(公平性・ダイバーシティ・インクルージョン)とは
EDI(公平性・ダイバーシティ・インクルージョン)とは、公平性(Equity)、ダイバーシティ(Diversity)、インクルージョン(Inclusion)の頭文字をとった言葉です。
公平性(Equity):公平性とは、すべての個人やグループがその可能性を最大限に発揮するために必要な資源や機会を、状況に応じて公平に利用できること
ダイバーシティ(Diversity):特徴、価値観、信念、経験、背景、行動などの違いを認め、賞賛すること
インクルージョン(Inclusion):ダイバーシティで認めたそれぞれの違いを個性や強みとして発揮し、組織が一丸となって活動すること
EDI(公平性・ダイバーシティ・インクルージョン)が重要とされる背景
EDI(公平性・ダイバーシティ・インクルージョン)が重要とされる背景には、新たな世代を受け入れる、もしくは惹きつけるためには欠かせない要素であることが挙げられます。
2025年には、世界の労働人口の75%がミレニアル世代(2000年代に成人・社会人となる世代)で構成されるといわれています。これは、今後数年間でミレニアル世代が続々とリーダーシップの役割に就いていくことを意味します。各組織における価値観は、間違いなく変化していくでしょう。
また、エマージング・リーダーに関する調査から、将来の機会に向けて人材を惹きつけ、維持するためには、企業は意図的かつ戦略的に、リーダーシップへの「公平」なアクセスを優先し、「ダイバーシティ」や「インクルージョン」を促進する組織文化を創っていく必要があることが明らかとなっています。
EDI(公平性・ダイバーシティ・インクルージョン)に根ざした職場文化の変革を成功させ、持続可能なものにするためには、リーダーは一歩下がって、現在の文化を動かしているシステム、プロセス、価値観をあらためて評価する必要があります。
さらにシニアリーダーは、EDIを職場文化の変革プロセスに組み込むための新たな制度を構築し、調整する役割を担わなければなりません。シニアリーダーの支えがなければ、組織文化をスムーズに変えていくことは難しいでしょう。
EDI(公平性・ダイバーシティ・インクルージョン)が発揮される組織文化への3段階
EDI(公平性・ダイバーシティ・インクルージョン)が発揮される組織文化への変革を成し遂げるためには、取り組みを複数の段階、複数のレベルで評価する必要があります。
最新の調査では、組織がEDIの取り組みでまだ成果を上げていないことが示唆されています。グラスドア社の従業員エンゲージメント調査によると、黒人従業員の満足度は白人従業員に比べて8%低く、その差は2019年以降、さらに拡大しています。この数字は、組織の公平性、ダイバーシティ、インクルージョンへの取り組みが、個人やチームレベルで社内の現状と一致していない可能性を示しています。
参考:Black at Work: A First Look at Glassdoor Ratings by Race/Ethnicity – Glassdoor
さらに、新型コロナウイルスの流行により、職場の女性が不均衡に影響を受けていることが指摘されています。その結果、職場における女性の進歩が後退し、長期的なジェンダーの公平性や女性と家族の幸福に悪影響を及ぼしているのです。
参考:How COVID-19 Sent Women’s Workforce Progress Backward – Center for American Progress
組織文化の改革を実現するためには、3段階のアプローチを行うことをお勧めします。
- フェーズ1:理想の状態とのギャップや検討が必要な点を特定し、変革のための明確な計画を立てる。
- フェーズ2:メンバーとのつながりや調和を大切にしたリーダーシップを発揮することで、新しい考え方や行動の導入を促進する。
- フェーズ3:ビジネス戦略を支えるために設計された「強力かつ持続可能な組織文化」に移行し、進捗を評価する。
個人、チーム、組織におけるリーダーシップが文化を推進し、その文化は戦略、合併、事業変革までも左右します。上記3段階のアプローチを活用すれば、個人、チーム、組織全体でのEDIに対する根本的な考え方、行動、態度を検証し、評価することが可能です。
EDI(公平性・ダイバーシティ・インクルージョン)を推進するフレームワーク
EDI(公平性・ダイバーシティ・インクルージョン)を推進するフレームワークとして、REAL™フレームワークを紹介します。
組織文化変革は、組織全体で取り組んでこそ初めて持続可能なものとなります。
CCLが調査研究を基に独自に開発したREAL™フレームワークは、企業やコミュニティ、学校が、それぞれの組織のあり方や状況におけるEDIの構造を理解し、望ましい方向へ進めるために取るべき具体的な行動を特定するためのものです。
「REAL™フレームワーク」をモデル図に表すと以下の通りです。
関連する機会を明らかにする:
最初のステップはEDIについて、社内外の現状を正しく認識するステップです。リーダーが好奇心持ち、オープンな心で取り組めば、地域、国、グローバルな視点から事実やデータ、歴史を検証し、自社における個人、チーム、組織全体のEDIの状況を把握することができます。
公平性を育む:
次のステップは、公平性を重視することを指します。公平性とは、すべての個人やグループがその可能性を最大限に発揮するために必要な資源や機会を、状況に応じて公平に利用できることを意味します。ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを持続可能なものにするためには、まず公平性に焦点を当てることが必要です。
ダイバーシティを活性化する:
このステップは、違いを認め、賞賛することを指します。そして組織や大きなコミュニティの中で、特徴、価値観、信念、経験、背景、行動などの違いを越えて結集することを意味します。
インクルージョンを実践してリードする:
最後にして重要な4つ目のステップは、活性化されたダイバーシティを最大限に生かして組織をリードすることを指します。インクルージョンの実践をリードするためには、すべての従業員、顧客、戦略的パートナーの賛同と協力が欠かせません。そのためには、積極的・意図的・継続的な取り組みが求められるのです。
REALフレームワークについての更なる詳細は、こちらをご覧ください。
DEI(ダイバーシティ、公平性、インクルージョン)を“REAL”にする5つの方法
また、組織の文化を構築するには、リーダーを次の3層に分けて考えなければなりません。
- 自分自身をリードする:組織目標の達成に向けて個人としてどのように貢献できるのかを管理する立場の人(一般社員)
- チームをリードする:チームの結果に責任を持ち、チームメンバーを通して仕事を成し遂げる立場の人(チームリーダー)
- 組織をリードする:複数の部門のビジネスの成果に責任を持つ組織のトップレベルの人(部門長・役員)
リードする対象が自分自身、チーム、または組織全体かどうかにかかわらず、すべての個人が、自分の領域においてEDIに関連する職場文化を変える責任があるのです。REALフレームワークはEDIを理解するためだけでなく、個人、チーム、組織に対して、リーダーシップの在り方を示しています。
EDI(公平性・ダイバーシティ・インクルージョン)を浸透・持続させるトレーニング
EDI(公平性・ダイバーシティ・インクルージョン)を浸透・持続させるための課題は、非常に複雑な場合があります。CCLは、この複雑さを段階的に分析し、組織のあらゆるレベルで応用できるような学習モジュールを設計しました。
- まずは、公平性、ダイバーシティ、インクルージョンとは何かという基礎知識を身につけ、「REAL(本物の)リーダー」がそれぞれの影響力の範囲内で積極的に公平性、ダイバーシティ、インクルージョンを推進する行動や言動とは何かを学ぶ、入門レベルのワークショップを開催しています。
- その上で、REALのフレームワークの各構成要素を理解するための一連のトレーニングモジュールを、あらゆるレベルのリーダー向けに提供しています。CCLのモジュールでは、各モデルの構成要素を深く掘り下げ、本物のリーダーとしての重要なスキルを学び、実践する機会を提供しています。
- さらに、リーダーが自分自身、チーム、または組織全体など、それぞれの対象範囲をリードする際に身につけたスキルを応用できるようにするため、実践モジュールを作成しました。
以下がその内容の具体例です。
- 「自分自身をリードする際の機会の発見」というモジュールでは、参加者は、自分を取り巻く環境の中で(個人的または職業的に)EDIに関連する状況を共有し、新たな視点や気づきを得ます。一般社員の立場にある人は、それぞれ異なる背景や関心事、感謝の気持ちなどを基礎とする質問を共に投げかけることで、EDIを推進するために自らはどのような行動を取ることができるか、またどのような結果が導かれるのかについて、多くのことを発見可能です。
- 「チームをリードする際のダイバーシティの活性化」を目的としたモジュールでは、チームリーダーがフォーマットに沿って潜在的な障害や課題を特定し、チーム内の3つのシステムレベルで多様性を活性化するための具体的なアクションを作成します。
- 「組織をリードする際のインクルージョンの実践」を目的としたモジュールでは、部門長や役員クラスが、戦略、人材エンゲージメント、職場環境という3つの分野における組織のインクルージョンのための取り組みを評価します。この3つの分野におけるインクルージョンの取り組みの成功度を評価することで、今後何を目指すかを明確にします。その後、参加者はグループ単位で、インクルージョンの推進要因である「つながり」、「勇気/脆弱性」、「リソース/投資」に基づいた戦略プランを作成します。
EDI(公平性・ダイバーシティ・インクルージョン)の実現のために
昨今、とくに「ダイバーシティ」に取り組む企業は数多く存在します。ただ残念ながら、望ましい結果や持続可能な職場文化の改革に結びついていない企業も少なくありません。
あらためて「ダイバーシティ」について考え、話し合うための新たな方法が必要とされています。そのためには、リーダーが、職場で「公平性」と「インクルージョン」を実現するための新しいスキルを備えることが必要です。
また多くの組織は、ダイバーシティとインクルージョンの取り組みが、ありがちな間違いに陥ることがないように、堅実かつ持続可能であり、広く適用できる方法を必要としています。
CCLが独自に開発したREALフレームワークとトレーニングモジュールは、あらゆるレベルの個人が、組織内のそれぞれの範囲における「EDIの構造」を理解できるようにするとともに、各リーダーが望ましい結果を導き出すための具体的な行動を特定することで、企業全体の公平性、ダイバーシティ、インクルージョンをさらに向上できるように支援しています。
つまり、EDI(公平性・ダイバーシティ・インクルージョン)の実践・実現による組織文化の変革のためには、リーダー育成が欠かせないのです。
しかし、CCLがもつ世界で最先端のリーダー育成の知識やノウハウを提供できるサービスは、日本国内には少ないのが実状です。
そこで弊社「株式会社インヴィニオ」では、20年以上積み重ねてきた確かな実績と、CCLを含む世界中のアライアンスパートナーから得た最先端のノウハウを用いて、学びを知識や能力のレベルに留まらせるのではなく「実力」へと昇華させることにコミットしています。
リーダーの「育成」だけでなく、事業上の成果として表れるように、人や組織が保有する「成果を生み出す能力」を引き上げ、引き出し、顕在化させることを重視しています。
自社の未来を左右するEDI(公平性・ダイバーシティ・インクルージョン)を正しく推進できるリーダー育成を行いたいとお考えの場合は、ぜひこちらからお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人:インヴィニオ編集