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組織文化を変革する:相互依存型のリーダーシップを達成するための5大原則

目次
組織文化の変革を実現するためには、リーダーの思考を相互依存型リーダーシップへ変容させることから始まる
複雑かつ相互依存的な現代世界では、垣根を越えたコラボレーションの必要性がますます高まることでしょう。しかし、ほとんどの組織では、コラボレーションは自然に行われているものではありません。真の意味でコラボレーションを実現するためには、行動の変容と同時に、思考の変容も必要です。
変革の成功確率は10%未満であるという格言があるように、一般的なチェンジ・マネジメントの手法では、働き方を変革させるという目的を達成できません。必要とされているのは、組織文化を変革するためのプロセスであり、それによりリーダーシップ戦略とビジネス戦略を結びつけることです。組織文化の変革とはすなわち、思考の変容であり、相互依存型リーダーシップ(interdependent leadership)の確立です。
われわれは、5つの原則、4つのフェーズ、3種類のリーダーシップ・カルチャーに基づいた、相互依存型リーダーシップに向けての、組織文化を変革させるアプローチを推奨しています。それぞれを順番に見ていきましょう。
組織文化変革を成功に導くとはどういうことか?
知っておくべき5つの原則
組織文化の変革とは、わかりやすいものでもなく、一朝一夕にできるものでもなく、また簡単なものでもありません。しかし、10年以上にわたる研究と経験を通じて、組織文化の変革を導くこと、あるいはそれを管理することについて知っておくべきことは以下のとおりです。
1. 組織文化の変革は、誘導型の“パブリック・ラーニング”のプロセスである
社員は、変革に向けて「管理(managed)」されうるだけの存在ではありません。チェンジ・マネジメントではなく、チェンジ・リーダーシップが必要です。そして、真に組織文化の変革へ導くには、ガイド役が必要です。このガイド役は、信頼できるパートナーであり、変革への舵取りを助け、全員を学習プロセスに参加させることを助ける役割を果たします。
パブリック・ラーニングには、真実を語ること、間違いを明らかにすること、すべての答えを持ち合わせない場合を認めること、そして、当惑や不快な感情さえをも共有することが含まれます。これは、私たちの想像力、感情、そして人間の精神におけるインサイドアウト型の体験です。成功するためには、変革をもたらす手腕のあるリーダーになることが必要です。
2. エグゼクティブが変革プロセスを率先垂範しなければならない
エグゼクティブは、積極的な関与と模範を示して、変革プロセスを導かなければなりません。上級幹部は、多くの鍵となるリーダーを変革プロセスへ巻き込む前に、新たな行動様式を自分のものとし、その模範を示さなければなりません。
3. 垂直展開の能力を開発する
組織の垣根や市場システムを超えて増大する複雑性に対処するには、組織は、時間をかけて相互依存型リーダーシップの文化に移行できるほどの成熟さが必要です。われわれはこれを、リーダーシップ・カルチャーを変える垂直展開のフレームワークと呼んでいます。これにより、社員は複雑な状況に直面しながらも、高度な知識を駆使できる人物へと成長していくことができます。
4. リーダーシップ・カルチャーは、信念と実践を前進させることで変革する
最良の信念が最良の実践を引き出し、最良の実践が最良の信念を引き出します。無限ループのように、信念と実践は相互依存の関係にあります。成功のためには、両者が高め合う環境が必要です。
5. 組織変革の道のりは「変革しながら学ぶ」プロセスであり、業務と一体化したものである
リーダーたちは、一致協力するための新たな方法を考え出し、それを試すことにより、新しい信念を獲得する必要があります。組織文化に関する実務は、組織が技術的なシステムやプロセスに焦点を当てるのと同じくらい重要です。組織文化を育てることは「仕事」であり、別個の「トレーニング」 ではありません。
これら5つの原則に基づき、われわれがこれまでに、エグゼクティブ、リーダーシップチームおよび組織全体が「より大きな心を育てる」、言い換えれば、協力的でかつ相互依存的な学習が可能となる組織文化を作り、変革をし、成功を収めてきたことを見てきました。
組織文化の変革における4つのフェーズ(4つの「ステップ」ではない)
組織文化の変革を導き、管理するためにわれわれが考え出した手法は、より大きな心を育て、複雑な状況に直面しながらも創造性が発揮される集団行動を可能にすることに焦点を置いています。上記5つの原則をベースとして、われわれでは、4つの広範で互いが重なり合う、原則を補強するフェーズを用いて変革を進めています。
ディスカバリー・ラーニング(発見学習): やる気を定める
組織文化の変革プロセスに入ることが実現できるとすれば、どのような場合でしょうか?それは、ファシリテーターである、われわれの組織リーダーシップの専門家と、変革を起こす主体であり組織のリーダーである、クライアントとの間で行う相互学習をする場合です。
このフェーズは、「相互依存型リーダーシップがすでに存在するのか否か」という現在のリーダーシップ・カルチャーのレベルを評価し、ビジネス戦略から求められる能力を見極めることから始まります。つまり、あなたの組織が強力なリーダーシップ戦略の策定方法を知っているかどうか、ということです。
プレイヤーの準備:理解を深める
新たな組織文化を業務と一体化させることの長期的な意味は何でしょうか?シニアリーダーシップチームが変革プロセスへ関与するために必要な能力には何があるでしょうか?これには、パブリック・ラーニングに参加する決意が必要です。シニアリーダーシップチームの開発において、専門知識と経験を有する人物との連携を検討しましょう。
ゲームボード・プランニング:変革プロセスの枠組みを作る
組織文化の変革を導き、管理することはどのようなものなのでしょうか?相互依存型リーダーシップは、事業戦略やリーダーシップ戦略、学習プロセス、組織の業務目標にどのように反映されるのでしょうか?必要な信念や行動とはどのようなものでしょうか?シニアリーダーの変革プロセスに対する理解が深まるにつれ、変革の課題を整理し、他のリーダーを巻き込むことが容易になります。
ゲームを行う:能力を高める
シニアリーダーは、変革作業の内容を内面化し、進むべき道を見定めたら、新しい社風を組織内のより隅々までに展開し始めます。組織の上部においてリーダーシップ・カルチャーを変えたのと同じ信念と実践を、組織の他の場所でも教えこみ、実践する必要があるのです。
この4つのフェーズは、単純なものではありません。従来の段階的なチェンジ・マネジメント方法論の多くは、社員を管理されるべき「物」とみなしています。しかし社員は「物」ではありません。彼らは、さまざまな精神と創作力、信念が合わさった存在です。学習を通じて変化するには、社員の参加が必要となります。
それゆえ、この業務は誰もが満足できるものとは限りません。しかし、シニアリーダーのチームがしっかり打ち込む姿勢を持ち、しっかりと足並みが揃っていれば、彼らは自分たちの協調学習(collaborative learning)に熟達するようになります。そして、シニアリーダーのチームは、組織全体内のより多くのリーダーを巻き込み、全社的な変革のためのクリティカルマスに向けて発展させることができるようになるのです。
われわれの最終目標は、組織内のすべての人を学習プロセスに参加させ、信頼、当事者意識、そして相互依存の形態を生み出すことです。
最も成熟している組織では、相互依存型リーダーシップ・カルチャーが根付いている
依存型から独立型、そして相互依存型のリーダーシップ・カルチャーへ成長する組織は、複雑な状況に直面であっても、創造的な行動をとりやすくなります。これらのリーダーシップ・カルチャーはどのような違いがあるのでしょうか。そして、相互依存型のリーダーシップ・カルチャーとはどのような意味なのでしょうか。
- 依存型:意見の一致または慣習に基づくリーダーシップ・カルチャーやマインドセットの一形態
- 独立型:英雄的な個人による功績に基づくリーダーシップ・カルチャーやマインドセットの一形態
- 相互依存的:独立したリーダーやグループの協働に基づくリーダーシップ・カルチャーやマインドセットの一形態
あなたの組織のリーダーシップ・カルチャーと成熟度レベルを特定する方法、および、あなたの組織文化の変革を導き管理する準備ができているかどうかを判断する方法について詳しくはこちらをご覧ください。