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社内政治とは?負けた!を楽しい!に変える6つのスキルと行動をプロが紹介

LEADERSHIP INSIGHT / CCL | 2021/07/16

社内政治とは、組織内で特定の社員が目的達成のために自らの影響力を行使することです。

一般的には社内政治に対して、ネガティブなイメージを持つ人も少なくありません。ただ一方で、リーダー育成分野の権威であるCCL(Center for Creative Leadership)のリサーチによれば社内政治に精通した人は、そうでない人に比べて希望通りのキャリアを描きやすく、昇進しやすく、キャリアを狂わせるような出来事に遭遇する可能性が低いことも分かっています。

そこで今回は、社内政治について、精通するために必要な6つのスキルと具体的な行動、ダイバーシティの観点からみた女性における社内政治力について解説します。

いずれも本分野においてプロフェッショナルであるCCLが40年にわたる綿密なリサーチに基づき解明した内容のため、ぜひ参考にしてください。

社内政治とは

社内政治とは、組織内で特定の社員が目的達成のために自らの影響力を行使することです。目的は組織のためで合ったり、自己利益のためであったりします。

一般的にネガティブなイメージを持たれがちなのは、後者の自己利益のために用いられるケースが目立つためでしょう。

社内政治力とは

社内政治力とは「組織、チーム、および個人の目標を達成するために、利害関係者の関係性を最大化および活用する能力」です。

社内政治は悪ではなく「必然として活用すべきもの」

社内政治は、まるでそのものが悪のように扱われ、多くの社員が大企業病を嘆き、物事を前に進めるために必要となる政治的な動きを避けてしまう傾向にあります。

しかし、どのような組織であれ、社内政治が発生するのは「必然」であり、避けて通れないこともまた現実なのです。社内政治力を持ち、組織内の政治事情に精通していることは一般的にはネガティブなイメージを持たれがちですが、本質的には悪いことではありません。

社内政治力の欠如を克服するための最初のステップは、社内政治を仕事において自然かつ中立的な要素として受け入れることです。社内政治そのものは良いものでも悪いものでもないのです。

事実として、リーダーにとって社内政治力は必要不可欠であり、大切なのはその力を適切に使用することです。社内政治力を適切に使用することで、自分自身だけでなく組織や他者に前向きかつ建設的な結果をもたらせます。

社内政治力を身につけて駆使することで、組織の課題にうまく対処し、チームのパフォーマンスと生産性を向上させましょう。

社内政治力を構成する6つのスキル

社内政治力は、以下の6つのスキル(一部は姿勢)で構成されています。これらは、社内政治に精通したリーダーに共通する特徴から明らかとされたものです。

  • 変化に敏感に気づく能力
  • 対人影響力
  • ネットワーキング能力
  • 話す前に熟考する姿勢
  • 上位者を動かせる(または影響力を行使できる)能力
  • 誠実さを示す能力(誠実に見えるように自らを管理している)

次の項目では、更に具体的な行動にまで落とし込んで解説します。

社内政治に精通するための6つの行動

社内政治に精通するために取るべき6つの行動について解説します。

予算編成、戦略立案、部門間の調整などをスムーズに進めるためには、社内政治に精通している必要があり、特に組織や部門を超えて影響力を行使することに熟達している必要があります。

以下6つの行動を心がけることで、社内政治に精通し、高いパフォーマンスにつなげることが可能です。

1. 知覚を研ぎ澄ます

社内政治の動きに敏感なリーダーやマネージャーは、言語情報だけのコミュニケーションのみならず、非言語情報をキャッチしており、他者の動機を感じ取ることに努めています。

自らが置かれている状況下で自身の立ち位置や他者の状況をより広く、注意深く知覚することで、自己認識を向上させ、他者の行動やその動機を正確に解釈することができます。

2. 影響力の行使を訓練する

高い社内政治力を持つ人は、他者と積極的にコミュニケーションを取り、良好な関係を築き、味方になってもらうための労力を割くことで強い対人関係を築きます。

こうした行動を意識的に取ることで、判断力も高まり、いつどのような状況で自分自身の意見を主張することが適切かを判断することができるようになります。その結果、より協力的な関係が生まれるのです。大切なのは、社内政治というゲームにおいてもルールを守り、公正にプレイすることです。

3. 効果的なネットワークを構築する

優秀なリーダーは、周囲から効果的なサポートを得るためにネットワークの構築を怠りません。

常にネットワーク構築に注意を払い「どうすれば困難な課題であってもサポートが得られるのか」「交渉をスムーズに進めるためには誰とつながっておくべきなのか」「余分な争いを避けるには誰に最初に話を持って行くべきなのか」など、有益な関係性を常に構築・維持しています。

ネットワーク活用に熟練したリーダーはネットワークにいる他者の力を引き出し、自らおよびチームのタスクを実行します。ただし、一方的に支援を得るだけではありません。彼らは自らもネットワークに対して価値をもたらすことも忘れないのです。

4. 話す前に熟考する

社内政治に精通したリーダーが衝動に駆られた発言をすることはありません。自らの考えやアイディアに他者への影響力をもたせるために、コミュニケーションのタイミング、場の設定、巻き込むべき人々など、様々な観点からコミュニケーションプロセスを熟考し、適切な方法を選択します。

5. 職位を超えて影響力を行使する

部下に対してだけではなく、必要に応じて、上司やさらにその上司にまで巧みにコミュニケーションできる必要があります。

一方でCCLの調査によると、上位者へのコミュニケーションに長けている人は、上司のニーズに応えることに多くのエネルギーを注ぎ込み、ときに自分のチームに対してのコミュニケーションが疎かになる傾向が見られるため、ここではバランスが重要です。

6. 誠実であり続ける

社内政治に精通する人は、高い水準の行動規範、信憑性、正直さ、および誠実さを大切にし、オープンなコミュニケーションを通じて信頼関係を創り上げます。あなたが誠実であり続けることで、周囲もあなたに対して誠実であり続けなければという意識が働くのです。

社内政治におけるダイバーシティ

社内政治においても、ダイバーシティを考える必要があります。

ここまで社内政治に精通することの重要性と精通するための重要スキルを見てきましたが、社内政治に精通する事は女性にとって難しい側面がみられます。

CCLが主催する女性のリーダーシップ育成プログラムでは、社内政治に関する話題と影響力の開発に特に焦点を当てた内容を取り入れています。そして何年にもわたって、女性リーダーが社内政治に関するトピックに苦労していることが確認されています。

彼女たちにとっては社内政治力がリーダーシップの重要な要素であるという考え方が不快に聞こえるのです。一部の女性リーダーにとっては社内政治は、本質的ではないと感じてしまうことがあるのです。

別の研究では社内政治についての考え方について性別による違いも明らかになっています。女性にとって組織は「より政治的な仕組み」であると認識しており政治的な動きをするのは苦痛に感じる一方で、男性は社内政治を当然のこととみなして、政治的な動きをすることにそれほど苦労をしないという傾向も確認されています。また不公平なことに、誠実でないとみなされた女性は男性よりも厳しく罰せられる傾向もありました。

1994年にリサ・マイニエロという研究者が、目には見えないが明らかに存在するキャリアのガラス天井を打ち破った女性幹部を対象にした調査を実施しました。

調査のなかでインタビューに答えた女性の多くが非政治的であり、組織内では政治的なことを避けていると回答しました。しかし、実際には社内政治に非常によく精通していたのです。

こうした研究成果を元にマイニエロは、女性のキャリアアップには政治的なスキルが不可欠であると結論づけています。なぜなら「女性は男性よりも意識して社内の内部情報にアクセスし、いわゆるガラス天井を破るのにネットワーク構築が必要なため」と述べています。

今日、ジェンダーダイバーシティは大きな進歩を遂げているともいえますが、それでも昇進の機会、メンターやスポンサーへのアクセス、リスクを取るためにサポートが不十分な状況に陥りがちです。だからこそ、男女関係なく社内政治に精通し、必要な政治的スキルを開発することがこれまで以上に重要になっているのです。

社内政治をネガティブなものと捉えて避けるのではなく、まずは「組織内には必ず社内政治が存在し、それが自然なことである」と考えることが重要です。

そして、より成果に導けるリーダーになるために健全な社内政治力の向上を心がけましょう。意図的に リーダーシップブランドの構築に取り組み、自分らしさを失うことなく、誠実な方法で他者をリードする能力を磨いていくのです。

リーダーシップブランドの構築への取り組みについての詳細は、こちらをご覧ください。
リーダーシップブランドとは?重要性と強化のための6ステップ

社内政治力を健全に発揮できるリーダーを育成するためには

社内政治力の発揮は、組織としての成果を高めるためにも欠かせない要素です。ただ、社内政治の捉え方や成果への活かし方、持つべきマインドなどを自社内のみで習得させるのは容易ではありません。

弊社「株式会社インヴィニオ」は、学びを知識や能力のレベルに留まらせるのではなく「実力」へと昇華させることにコミットしています。事業上の成果として表れるように、人や組織が保有する「成果を生み出す能力」を引き上げ、引き出し、顕在化させることを重視しています。

今回ご紹介したような知見や、各企業様が求める成果を上げるために有効な人財開発、組織開発のノウハウを、世界中の教育機関やコンサルティング会社とアライアンスを組んで導入しています。

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この記事を書いた人:インヴィニオ編集部