Leadership Insight

短期学習能力を高めるための4つのヒント

LEADERSHIP INSIGHT / CCL | 2021/12/20

変化の時代には、リーダーにはこれまで以上にスピードが求められます。新しいビジネス戦略への適応、異文化への対応、バーチャルチームへの対応、新しい仕事への挑戦など、これら全てにおいて、リーダーには柔軟性と俊敏性が求められます。

そして、職場が変わり、ビジネスモデルが変化し、テクノロジーや産業がシフトしていく中で、キャリアを通じて学び続ける意欲と能力が、これまで以上に重要になっています。

何をしたらいいかわからないときは、何をすべきでしょうか?

高いパフォーマンスを発揮し、長期的な可能性を高めるためには、未知のものに素早く対応することが必要です。

私たちは皆、不確実性の高い状況や未経験の状況に適応し、成功する方法を学ぶ必要があります。また、短期学習能力:経験の教訓を引き出すにあるように、何をすべきかわからないときには、短期学習能力が鍵となります。

何十年にもわたる私達CCLの調査・研究によると、経験から学ぶ能力もまた、リーダーとしての成功を予測する重要な要素です。(自分が長期的なキャリアを望めるアジャイル・ラーナーであるかどうかを測る方法については、こちらをご覧ください。)

短期学習能力とは、学ぶ方法を知ること、つまり、何をしたらいいかわからないときに何をすべきかを知ることです。経験から学び、それを新しい方法で応用し、新しい状況や機会で実践することです。

短期学習能力を高めるのに、早すぎる(あるいは遅すぎる)ということはありません。

つまり、自分のパフォーマンス、そして長期的な可能性を高めたいのであれば、短期学習能力を高めることが可能です。

短期学習能力を強化するには

短期学習能力が高まると、経験を最大限に生かすことができます。物事を理解するための習慣を身につければ、新しい困難な状況を乗り切る方法が改善され、組織への貢献度も高まります。

経験から学び、時代の変化に対応するために、短期学習能力を身につける4つのヒントをご紹介します。

1.追及する

新しい、さまざまな経験を積むようにしましょう。記憶に残る経験は、皆さんのリーダーシップやマネジメントの方法に影響を与えるので、より多くのあらゆる経験を求めてください。自分のスキルや視野を広げるような状況に身を置き、新しい道を探りましょう。

  • 慣れないことへの挑戦を受け入れる。何事もただやり過ごすだけにならないようにしましょう。新しい学習機会があるにも関わらず、自分の居心地のよい環境に留まっていると、苦労や挫折を避けられたとしても、成長したりパフォーマンスを向上したりすることはできません。結局、現状に安住してしまい、新しい経験の力を得られなくなってしまいます。
  • ときには恐怖を感じるような新しい挑戦をする。意義はあるが、失敗しても個人的に重大な影響が出るほど重要ではないようなことを見つけてください。重要なのは、自分がやっていることを他の人に話し、助けやサポートを求めることです。新しいことにチャレンジすることで、新しいスキルや視点を身につけることができ、それが将来的に自分のレパートリーの重要な一部になるかもしれません。
  • 最初に見つけた解決策にとらわれない。私たちは往々にして、最初に思いついた解決策を選択しがちであり、それが長期的に見て本当に最適な道であるかどうかをじっくり検討することはありません。新しいアプローチを試すことで、時間やエネルギーを節約できる方法を発見したり、他の方法では考えられなかったような新しい学びを得たりすることができます。明らかなことや簡単なことだけでなく、別の視点も取り入れてみましょう。また、別の角度から問題を理解する方法を見つけましょう。皆さんがデータを重視する人であれば、ストーリーを探したり、実際に行動を起こして洞察を得たりするのも良いでしょう。自分が直面している問題については、一見信頼できそうな解決策があったとしても、新しい解決策を考え出すことにチャレンジしてください。
  • 新しいアイデアを追求することを習慣にする。伝統にとらわれすぎないほうがより良いでしょう。課題に直面したら、以下の2つを自問自答してみましょう。
    なぜ新しいことや今までと違うことへの挑戦を躊躇っているのか?
    このように躊躇しなければ、この状況にどうやって対処すべきか?

2.理解力を磨く

リスクが高く、複雑で、曖昧で、展開の早い今日の状況では、時間の余裕はないものです。即座に行動を起こさなければなりません。つまり、自分が直面している新しい課題を理解するために、積極的なアプローチをとる必要があるのです。好奇心を持って、積極的にトライしてみましょう。「なぜ?」「どうやって?」「なぜダメなのか?」を常に問うようにしてみましょう。

3.経験と教訓を自分自身のものにする

このプロセスは、得られた洞察や教訓を消化して、後から思い出して応用できるようにするために必要です。学んだことを消化できなければ、次のステップに進むための重要な手がかりを見過ごしてしまう可能性があります。必要であれば、周りの人に頼ってみてはいかがでしょうか。アジャイルラーナーであれば、自分の学習やパフォーマンスには他者の存在が不可欠であると認識しているはずです。新しい経験や学びの機会を提供してくれる人とのつながりや関係を築き、境界線を越えて協力し合うことができます。

  • フィードバックを求め、批判を受け入れる。オープンで正直なフィードバックをしてくれる信頼できる人を見つけましょう。明確な質問をすることで、自分がプロセスに対してオープンであることを示しましょう。何が起こったのか、何を学んだのかをじっくりと考えることも重要です。フィードバックは、誰かがあなたに与えてくれた贈り物だと考えてください。気に入らないかもしれないし、不快かもしれませんが、それにも価値があるものです。相手がフィードバックを与えようとしている動機が何であれ、フィードバックには常に何かを学ぶ機会があるのです。
  • 守りに入らない。自分の行動を説明したり、言い訳をしたりしたくなる気持ちを堪えましょう。自己防衛のモードに入り、今あるものを守ろうとすると、可能性に対して自分を閉ざしてしまいます。弁護しないためには、常に相手に感謝するようにしましょう。また、フィードバックを注意深く検討することで、時間の経過とともにパターン(変化)が見えてきます。
  • 一人で、あるいは他の人と一緒に振り返る。学びは、単に起こったことを振り返るだけではなく、なぜそのようになったのかを考える時間をとることで得られます。振り返りを行うことで、直感的な理解が深まり、今後の参考にすることができます。目まぐるしい日常から一呼吸置いて、プロジェクトや交流、新しい経験から何を学んでいるのかを考えてみましょう。今、何がうまくいっていて、何がうまくいっていないのかを話し合ったり、すでに起こったことを報告したりしましょう。行動を起こした後にレビューを行い、皆さんや関係する人と共に以下のようなことを振り返ってみましょう。
    何が起こったのか?
    なぜそのようになったのか?
    将来成功するためには、何を止める/始める/続けるべきか?
    その経験によって、知識、スキルレベル、態度、行動、価値観などにどのような変化があったか?

4.適応して実践する

これまでの経験から、皆さんはさまざまなことを学んできたはずです。そのうちに、その教訓を応用し、新しい困難な状況を乗り切ることができるようになります。

  • 直感を大切にする。原理原則や経験則に集中しましょう。短期学習能力が高い人は、感覚と柔軟性に基づいて行動していると言います。新しいことに直面したとき、その状況と自分が過去に行ったこととの類似点を探してみてください。その類似点に基づき、新しい課題に対処するようにしましょう。
  • 考えすぎない。プレッシャーがかかると、「早く終わらせたい」という気持ちになりがちです。皮肉なことに、意識的にアイデアや解決策を探していると、他人の知恵や自分自身の経験に疎くなってしまいます。インスピレーションは無意識のうちに得られることが多く、それを受け入れることで新しいアイデアが生まれ、パフォーマンスが向上します。柔軟性のあるリーダーになり、新しい領域に踏み込む際には、躊躇せずにトライしましょう。

当社の研究によると、短期学習能力が非常に高い人は、他の人よりも圧倒的に高いレベルのスキルとコミットメントでこれらの4つの行動を行い、何度も優れた結果を出しています。(「優れたリーダーは優れた学習者である」とよく言われるのはこのためです)。

最終的には、継続的に学び、適応していく能力が、激動の時代を生き抜き、将来的に成功を収めることができるかどうかを決定します。

短期学習能力を高めるためのヒントに従えば、経験を最大限に生かすことができます。学習の機会を追求し、理解力を高め、自分自身に取り込み、応用することで、より多くのことを行い、より多くのことを学び、より満足のいくキャリアを築くことができるでしょう。