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新任マネージャーの仕事はつらい?克服すべき12の課題をプロが特定
「マネージャーの仕事はつらい」と考えている方も多いのではないでしょうか。特に新任のマネージャーはこれまでの立場や考え方などの違いで戸惑うことが少なくありません。
与えられた仕事を上手くこなすことを求められる一般社員から、自分自身の仕事に加えてメンバーをリードしなければならないリーダーへと移行するのは大変なことです。多くの新任マネージャーが、マネージャーとして取り組むべき課題を正しく認識できないまま、漠然とした不安を抱えているのが実情です。
そこで今回は、リーダー育成分野の権威であるCCL(Center for Creative Leadership)が綿密なリサーチをもとにして特定した「新任マネージャーが克服すべき12の課題」を紹介します。
紹介する内容・データは、CCLが実施したMLP(Maximizing Your Leadership Potential – リーダーシップのポテンシャルを最大限に引き出す)プログラムを受講した新任リーダー約300人に関する調査を基にしていますので、ぜひ参考にしてください。
新任マネージャーの仕事はつらい?数字から見える苦労
新任マネージャーの仕事がつらいと感じられる要因は、いくつかの数字で語られています。
- 新任マネージャーの20%が、部下から「仕事がうまくいっていないように見える」と評価されている
- 新任マネージャーの26%が、そもそも人をリードするための準備ができていなかったと感じている
- 新任マネージャーの60%が、最初にリーダーの役割についたときトレーニングを受けなかったと答えている
その結果、新任マネージャー自身は一生懸命にリーダーシップを取ろうとしているのにも関わらず、組織のマネージャーの50%が「機能していない」と評価されているのです。
こうした状況では「新任マネージャーの仕事はつらい」と考えてしまっても無理はありません。
新任マネージャーが克服すべき12の課題
新任マネージャーが克服すべき12の課題を紹介します。これらは、CCLが新任マネージャーが直面しがちな課題を調査して、優先して克服すべき12個を特定したものです。新任マネージャーとして「どのような課題を優先して克服すべきか」を理解しましょう。
1.人を管理することへの慣れと権限の示し方
新任マネージャーは、それまでの同僚関係から上司というポジションへの切り替えに苦労しがちです。さらに人間関係を良好に保ち、尊敬を集めるのは容易ではありません。新たに必要となるスキルとしては、他人に影響を与えること、管理すること、直属ではない社員とも調整して仕事を進めることなどが挙げられます。
2.マネージャーとしての能力と個人的な能力の向上
新任マネージャーは、生産性の高い社員であり続けながら、リーダーとしての能力も高めなければなりません。時間管理能力、ストレス管理能力、人間関係調整力、業界特有の専門知識などを高めていく必要があります。
3.チームを成果へと導く
マネージャーは、リーダーシップを発揮して、明確な期待値を示し、指示を与え、チームを指導しなければなりません。そのため、メンバーに指示を与えてチームの作業をモニタリングして組織化する能力、期限を守る能力、チームを構築してリードする能力、チーム内の人間関係を維持・強化する能力が求められます。
4.社内のステークホルダー(利害関係者)と社内政治のマネジメント
新任マネージャーは、部下や部署を代表して発言するなど、社内に対して主張する術を学ぶ必要があります。また、上層部の目に留まること、会社の構造や文化、政治を理解すること、自分やチームのために組織変更を行うことなども求められます。
とくに社内政治についてはネガティブなイメージを抱く方も少なくありませんが、社内政治に精通することで、自分自身だけでなく組織や他者に建設的な結果をもたらせます。社内政治については、ぜひこちらの記事をご覧ください。
社内政治とは?負けた!を楽しい!に変える6つのスキルと行動をプロが紹介
5.周囲のモチベーション向上
マネージャーは、直属の部下はもちろん、一緒に仕事をする場合は非直属の部下であってもモチベーションを高めることができなければなりません。新しいスキルとしては、与えられた仕事をやり遂げるように部下を奮い立たせる能力、期待以上の成果を出すように励ます能力、相手のモチベーションを把握・理解する能力、金銭的なインセンティブがなくてもモチベーションを高められる能力などがあります。
6.パフォーマンス管理とアカウンタビリティ(説明責任)
新任マネージャーは、パフォーマンスの悪い部下にフィードバックを与える時の気まずさを克服しなければなりません。また、部下の行動に責任を持たせることや、能力や知識、経験が不足した社員に対する効果的な対処などが新たなスキルとして必要です。
7.他者へのコーチング、育成、メンタリング
新任マネージャーは、部下の知識、スキル、能力を開発する立場にあります。ほとんどの新任マネージャーにとって、人材の育成は初めての経験でしょう。キャリア開発に関するメンタリングやコーチングのスキルを身に着ける必要があります。
8.コミュニケーション
マネージャーは、チームメンバー、上司、他部署の同僚など、組織内のあらゆるレベルの人と円滑なコミュニケーションを取らなければなりません。新任マネージャーは、話しかけやすい状態を維持すること、最良の結果を得るためのコミュニケーションスキルを学ぶこと、場面に応じて目的や期待を効果的に伝えることなどが求められます。コミュニケーションは、リーダーにとってとくに重視すべきスキルです。
9.適切な権限移譲
マネージャーは、自らが受け持つ仕事と部下に任せる仕事のバランスを見極めて調整する能力が必要です。具体的には、過干渉の回避や支援のタイミングの見極めによる部下の自律性強化、責任は持ちつつもプロジェクト遂行をメンバーに任せることが求められます。
他者に仕事を任せるために不可欠な、信頼関係の構築についてはこちらの記事もあわせてご覧ください。
職場・チームの信頼関係を捉え直す
10.対立のマネジメント
マネージャーは、メンバー間の対立を積極的かつ迅速に解決しなければなりません。そのためには、些細なすれ違いが大きな問題になる前に察知して対処する能力、発生した対立を緩和すること、チームメンバーからの反発や抵抗に対処することが求められます。
11.さまざまな従業員との協働
マネージャーになると、意見や性格、能力・スキルが異なる社員をリードして成果に導かなければなりません。相手の仕事観に応じた行動をとる能力や、広い心で多文化チームを率いる能力が求められます。
12.生産性の向上
マネージャーになると、求められる成果の大きさに対して予算やメンバーなどが不足していることに悩むケースも少なくありません。マネージャーは限られたリソースを最大限に活用して生産性を向上させることが求められるのです。
自社の将来を担える新任マネージャーを育成するには
今回紹介したような課題があるために、新任マネージャーはリーダーシップを求められる立場へと移行する際に、必要なアイデンティティの変化に悩むことがほとんどです。
その克服は決して簡単ではなく、組織として新任マネージャーを育成するためのサポートが欠かせません。新任マネージャーには、業界や組織に応じた仕事のスキルなど「社員としての領域」と、リーダーシップや人間関係のスキルなど「リーダーとしての領域」の両方のサポートが必要となります。
ただ、どちらの領域も社内リソースのみで育成するのは難しいのが実状ではないでしょうか。その場合は、専門家に任せるのがオススメです。
弊社「株式会社インヴィニオ」は、学びを知識や能力のレベルに留まらせるのではなく「実力」へと昇華させることにコミットしています。事業上の成果として表れるように、人や組織が保有する「成果を生み出す能力」を引き上げ、引き出し、顕在化させることを重視しています。
自社の将来を担える新任マネージャーを育成したいとお考えの場合は、まずはこちらからお気軽にご相談・お問い合わせください。
この記事を書いた人:インヴィニオ編集部