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リーダーシップの3Cとは?変革を成功させるリーダーの条件
目次
変化の激しい現代において「変革」を成功に導くことは、ほとんどの組織が直面する重大な課題の1つです。
急速に変化する世界では「変化すること」がもはや義務となっているともいえます。世の中の変化を受け入れ、これまでとは異なる価値、異なる仕事の進め方をしない限り、私たちの会社が持続できる可能性は極めて低くなります。
しかし、チェンジ・マネジメントに関する多くの調査では、組織の変革が成功するよりも失敗することの方が多いことが何度も示されています。
変革の成功には効果的なリーダーシップが不可欠であることは明白です。では「変革を成功に導いたリーダーシップ」と「失敗に終わったリーダーシップ」の違いは、具体的に何でしょうか?
この疑問に答えるためにリーダー育成分野の権威かつ専門機関であるCCL(Center for Creative Leadership)が「275人の上級管理職」を対象として、彼らが主導した変革への取り組みの成功要因と失敗要因について調査を実施しました。
調査の目標は「変革を成功に導くリーダーシップ」の特徴を明らかにして、その能力を定義し、変革を失敗に陥れる間違ったリーダーシップを是正することです。
なお調査した幹部はすべて、CCLが主催するLeadership at the Peakプログラムの参加者であり、15年以上の管理職経験、500人以上のマネジメントの責任、および経営陣のメンバーとしての意思決定権限を持つ人々です。
今回は、この調査によって明らかとなった「変革を成功させるリーダーシップの3C」「変革をもたらす3つの重要プロセス」「変革を成功させたリーダーが取った3つの行動」を紹介します。世界最先端の調査結果ですので、ぜひ参考にしてください。
変革を成功させるリーダーシップの3Cとは?
変革を成功させるリーダーシップの「3C」とは、COMMUNICATE(コミュニケーション)、COLLABORATE(コラボレーション)、COMMIT(コミット)を示します。CCLが本調査を通じて明らかにした「リーダーが変革への取り組みを成功させるために欠かせない3要素」です。
1. COMMUNICATE:コミュニケーション
失敗したリーダーは、変革の背後にある「何を?(What)」に焦点を合わせたコミュニケーションを図る傾向がありました。対して成功したリーダーは「何をやるのか(What)」そして「なぜ、それをやるのか(Why)」を伝えていました。
変革の目的を説明し、それを組織の文化や共有されている価値観に結び付けたり、変革を行うことのメリットを説明したリーダーは、変革に対するより強い賛同(buy-in)と緊急性(sense of urgency)を生み出したのです。
2. COLLABORATE:コラボレーション
変革は一人では実行できません。必要な人々を集めて影響力を行使し、変革を計画・実行することが重要です。成功したリーダーは組織の境界を越えて働き、従業員に自分が居心地の良い領域から抜け出すように促し、無意味な組織間の争いや責任の押し付け合いを拒否しました。また、早い段階で意思決定に従業員を巻き込み、変革への取り組みを強化します。一方で変革に失敗したリーダーは、変革プロセスの早い段階から従業員を関与させることをしません。
3. COMMIT:コミット
成功したリーダーは、自分自身のうちに強い信念をもち、行動に表して実践していました。変革には困難が伴いますが、成功したリーダーは信念を元にした復元力があり、粘り強く、自分の慣れ親しんだ習慣から一歩踏み出す意志をもっています。反対に失敗したリーダーは、課題にうまく適応できず、否定的な態度を表明し、なかなか結果が出ないことに焦るだけという傾向がみられました。
変革をもたらす3つの重要プロセス
変革は自然発生するものではありません。最初から最後までプロセスを導くリーダーが必要なのです。プロセスをリードするためには以下のポイントをおさえておくことが重要です。
開始(Initiate)
変革の必要性を理解した後、成功するリーダーは、成すべき変革とは何かを明確にし、訴えかけることから始めます。そのためには、ビジネスを取り巻く環境変化に対する冷静な評価、変革を行う目的の理解、変革を通じて成し遂げる結果の明確化(ビジョンの明確化)、共通の目標の設定が必要です。
失敗したリーダーは、変革を通じて実現する目的について共通の理解を得るための努力が不十分なケースが大半でした。
略化(Strategize)
成功したリーダーは、優先順位、タイムライン、実行すべきタスク、とるべき具体的な行動、必要となる経営資源などの多角的要素を統合して「変革を前に進める戦略」と「明確な行動計画」を作成しました。彼らは「何が変わるか」だけでなく「何が変わらないか」をも特定します。
失敗したリーダーは、答えるべき重要な問いが何であるのかや、懸念事項を十分に明らかにすることができず、成功を定義することができなかったと話します。
実行(Execute)
戦略を実行に移すことは、リーダーに求められる最重要事項です。調査では、変革に成功したリーダーは、キーパーソンをキーポジションに配置する(場合によっては排除する)ことに焦点を当てていました。また大規模な変革であっても、目標までの過程をいくつものプロセスとステップに分解し、変革の初期段階で小さな成果をだし、変革の勢いが衰えないように細心の注意を払います。その他、変革の進捗状況を測定するための指標とモニタリングのための仕組みを創り上げていました。
一方で失敗したリーダーは、マイクロマネジメントを開始し、全体像を忘れてしまう傾向がありました。
変革を成功させたリーダーが取った3つの行動
変革プロセスの公式は広く知られているかもしれませんが、多くのリーダーが変革において最も重要な「人間的側面」を無視しています。
変革を成功させたリーダーは、多くの人々を関与させることに努力を注ぎ、どれだけスピードが要求される変革のイニシアチブであっても、人々が適応するための時間を軽視することはなく、共通して以下3つの行動に注力していました。
サポートする(Support)
変革が成功したケースでは、リーダーが各従業員がもつ「成功への障壁」を取り除くいたことが特徴でした。これらには、傷ついた自我や喪失感などの個人的な障壁だけでなく、変革計画を実行するために必要な時間やリソースなど業務を遂行する上での障壁も含まれます。失敗したリーダーは結果のみに焦点を合わせていたため、従業員は必要なサポートを受けられませんでした。
揺り動かす(Sway)
影響力とは人々をルールに従わせるだけではなく、変革を推進するために必要なコミットメントを人々から獲得することです。変革に成功したリーダーは、重要な利害関係者を特定し、彼らが拍手をしながら自分の意見に賛成するために必要な要素・プロセスを明確にしました。自分の職位に関わらず取締役会メンバー、経営幹部、クライアントなどの主要な利害関係者に働きかけて変革のビジョンを彼らに伝え、揺り動かし続けます。
一方で失敗したリーダーは、特定の利害関係者に影響を与えようとするよりも、特定の利害関係者を避けていたのです。
学ぶ(Learn)
変革に成功したリーダーは、すべての問いに正解があるとは考えていませんでした。彼らは答えを探すよりも、たくさんの質問をし、公式および非公式のフィードバックを集めました。インプットとフィードバックにより、変革の途中でも常に軌道修正を行えるのです。
失敗したリーダーは、変革が始まった後は自分の計画や行動について問い直すことをせず、またフィードバックを積極的に求めることもしないために、軌道修正が遅れたり全く行われなかったりという事態に陥ります。
変革を成功させるリーダーを育てるには?
ここまで、変革を成功に導いたリーダーに共通した各要素を見てきました。この3つの他にも、変革につきものであるプレッシャー、不確実性、挫折に対処するための復元力(Resilience)なども必要です。
こうした変革に求められる各要素を理解・習得し実行にまで移せるリーダーを、社内リソースのみで育成するのは決して容易ではありません。
弊社「株式会社インヴィニオ」は、知識や能力のレベルに留まらせるのではなく「実力」へと昇華させることにコミットしています。事業上の成果として表れるように、人や組織が保有する「成果を生み出す能力」を引き上げ、引き出し、顕在化させます。
企業を維持・発展させるために不可欠な変革を成功に導くリーダーの育成に関して、お困りごと・ご相談などございましたら、こちらからお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人:インヴィニオ編集部