Leadership Insight

問題社員の対処法

LEADERSHIP INSIGHT / CCL | 2021/09/16

なんだかイラついている同僚、いきなりキレる上司、グータラな部下等、どこの職場でも問題社員はいるものです。しかも、そのような問題社員が増えているように見えるにも関わらず、多くのリーダー、マネージャーは問題社員の対処法に困っているように見え、時には全く対処することができず、周囲のモチベーションを下げてしまう事態を招いていることもあります。

問題社員は、チームだけでなく、その社員の上司のキャリアにも悪影響を与える可能性があることが、私たちの調査で分かっていますし、逆に問題社員に一貫して立ち向かうリーダーは、チーム全体のパフォーマンスを向上させる傾向があり、また、昇進する可能性も高くなります。

問題社員に対処する受容性

どこにでもいる問題社員による悪影響には下記のようなものがあります。

  • 信頼の低下
  • イノベーションの減少
  • アウトプットの減少
  • 意思決定の混乱
  • チームの評判へのダメージ

これらを放置しておけば、パフォーマンスが下がるだけではなく、リーダーとしての皆さんの評価を下げ、さらにはその問題社員がいるがために、退職してしまう他の社員も出てくるでしょう。

問題社員の特徴的な行動

問題社員がもたらす影響はご理解いただけたかと思いますが、それではそのような社員にどう対処すればよいのでしょうか? この問いに答えるために私達は200人以上のグローバルリーダーを調査し、問題社員の行動の特徴を明らかにしました。私たちの調査結果(ホワイトペーパー)で述べたように、問題社員は次の5つの行動をとるところに特徴があります。

1. POOR JOB PERFORMANCE: 仕事のパフォーマンスが悪い。 期待に満たないパフォーマンスしか上げられない問題社員がいうると、他の社員が常にその分を補わなければならず、チームに多大な負担をかけてしまいます。

2. UNCOOPERATIVE ON TEAMS: 他の人と協働できない。 同僚や顧客との良好な関係を築くことができない社員というのは組織にとっては負債になってしまいます。

3. UNRESPONSIVE TO FEEDBACK: コーチングやフィードバックを受け止めない。コーチングやフィードバックを受け止めない(もしくは聞いているフリはするがまったく改善しない)従業員は、どれだけ繰り返しコーチングやフィードバックを提供しても行動が変わることはありません。

4. RESISTNANT TO CHANGE: 変化に対して抵抗する。 変化の時代におけるリーダーは、変化に抵抗する従業員、または変化を完全に拒否する可能性がある従業員に対処する必要があります。

5. UNACCOUNTABLE FOR ACTOINS: 責任を取らない。 責任を取らないだけではなく、自分の行動に責任を持とうとせず、他人のせいにしてしまうことも、問題社員の特徴です。

問題社員への対処法:10のベストプラクティス

私達の数十年にわたる調査と経験に基づけば、SBIモデル™(Situation-Behavior-Impact)を使用したフィードバックが効果的です。

一貫したフィードバック (褒めることも含む) を提供することで、すべての従業員の行動とパフォーマンスが向上するのが理想的です。SBI は肯定的な行動を強化するために使用できますが、さらに従業員とコーチングスタイル会話をする方法を学ぶことでより効果を高めることができます。

フィードバックやコーチングの早い段階でより質の高い効果的なコミュニケーションをとることができなかったがためにその後のコミュニケーションの難易度が一気に上がってしまうことが良くあります。コーチングスキルとコーチング文化を育むことで、問題が発生してから対処するのではなく、問題を先取りして解決することができるようになります。

問題社員に対処するときの落とし穴にはまらないために次の10のベストプラクティスを覚えておいてください。

  1.  問題が発生したときにタイムリーに対処します。
  2.  従業員の言い分にもオープンに耳を傾けます。
  3.  一回一回の対処は短く、そして問題社員にリアクションさせます。
  4.  問題社員といえども、皆さん自身が心から気にしていること、共感を示します。
  5.  ネガティブなフィードバックをすることを恐れて、ポジティブなフィードバックの間に挟んで伝えてはいけません。
  6.  必要な時にポジティブフィードバックを与えます。
  7.  ポジティブとネガティブフィードバックの比率が3:1になることを目安にします。
  8.  何を言うのか、どのように言うかを予めシミュレーションしておきます。
  9.  誰かを「正す」ことを目指すのではなく、問題社員が自ら自分の行動を意識すること・気づくことを目的とします。
  10.  フィードバックのための好ましい環境を選びます。

それでもうまくいかない場合はどうなるでしょうか?

問題社員フィードバックを繰り返し提供しても効果がない場合は、他のオプションを検討しましょう。場合によっては、問題社員に新たなキャリアを探すよう提案することで、周囲の人々を助けることができますが、これには注意して取り組むことが重要です。(人事やコンプライアンス、法務と協働しましょう。)

時には問題社員について皆さんの上司に報告し、対処を求めなくてはならないケースが出てくるかもしれません。その際でも事前の準備として問題行動それらの行動による(負の)影響、および皆さんがどのようなフィードバックを提供したのかを書面で記録していることを確認してください。これら事実を記録した書面により、問題社員からの反発を減らすことができ、訴訟リスクなどの悪影響を減らすことができます。訴訟などは起きないに越したことはありません。しかし、訴訟が起きることを過度に恐れるがために、問題社員に対処しないリーダーやマネージャーがいることも事実であり、それはリーダー、マネージャーにとって、そして組織にとって更なる負のインパクトをもたらすのです。

10のベストプラクティスを思い出し、行動を起こし、問題社員に対処することで皆さん自身そして皆さんの組織にとって最善の利益をもたらして頂ければと思います。