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キャリア形成に失敗する人の特徴|解雇・降格・停滞を避ける方法も紹介
目次
「キャリア形成に失敗したくない」と思うのは、とくに組織に属する立場であれば当然のことでしょう。
ただ、優れた実績を持つリーダーがある日突然、組織内でのキャリアを台無しにしてしまうのを目の当たりにしたことは無いでしょうか?企業の成長や業績の急回復に貢献して高い名声を誇っていたにも関わらず、突如として組織を追いやられたり、降格したりといったケースは決して少なくありません。
高い業績を挙げているリーダーのなかには、自分の欠点には目を向けずに、ひたすらに目標のみを達成し続けている人が意外と多く存在します。あるいは、いちプレイヤーとしては有能だったが、マネージャーになったとたんにリーダーシップ能力の不足を痛感する人もいます。
キャリア形成に失敗する要因はいくつかありますが、結局のところ原因は同じです。彼らの「マイナス」面が「プラス」面を上回り始め、組織が以前のように彼らを有望な人材として見なくなるからです。そしてある時突然、彼らは自分のキャリアが軌道に乗っていないことに気づくのです。
また、当事者は原因に気づけていない(あるいは対処しようとしない)という状況も起こりがちです。彼らが経験しているのはキャリアからの「ディレイルメント(脱線)」と呼ばれる状況です。
そこで今回は、誰もが避けたい「キャリア形成の失敗」について、失敗してしまう人の特徴、失敗を防ぐための方法についてを紹介します。なお、本記事にて紹介する内容は、世界を代表するビジネス人材育成のプロであるCCL(Center for Creative Leadership)が、綿密なリサーチおよび支援実績を基に導き出したものですので、ぜひ参考にしてください。
キャリア形成に失敗する「ディレイルメント」とは
キャリア形成に失敗することを「ディレイルメント(derailment)」と表します。キャリア形成のレール(rail:線路)を外れるという意味です。より具体的には、ディレイルメントとは、一定の役職についたにも関わらず、解雇されたり、降格されたり、キャリアの停滞に陥ったりすることを指します。
キャリア形成に失敗する人の特徴5つ
キャリア形成に失敗する人の特徴を理解していれば、有望な人材のディレイルメントの予測および予防が可能になります。
CCLは1983年以来、ディレイルメントについて徹底的に研究してきました。キャリアが順調に推移しているリーダーと、ディレイルメントしたリーダーを比較することで、下記の通りキャリア形成に失敗する人の特徴5つを明らかにしました。
- 変化に適応するのが困難である(最もよく見られる特徴)
- チームを作り、リードすることが困難である
- ビジネスの成果を出せない
- 広い意味での戦略性に欠けている
- 対人関係の問題を抱えている
CCLの著書『Compass:リーダーシップ開発とコーチングのためのガイド』においても、上記5要素の重要性は指摘されています。
キャリア形成の失敗を防ぐ方法5つ
キャリア形成の失敗を防ぐ5つの方法を紹介します。解雇・降格・停滞のリスクを避けるだけでなく、業務における成果向上にもつながります。
1.変化に適応する
どのようなビジネスにおいても「変化」は避けられない昨今。組織は、変化を受け入れて順応できる柔軟なリーダーを高く評価しています。
「柔軟なリーダシップ」についてはこちらをご覧ください。
柔軟なリーダーシップ診断|変化への対応力を身につける方法をプロが解説
一方で変化に抵抗するリーダーは、自分のやり方に固執し、市場全体の動向に気づけません。変化に抗うリーダーが第一線から外れたり組織を去ったりすれば、他のメンバーが変化に対応しやすくなるのです。
また、成功するリーダーは、環境や組織の変化に柔軟に対応し、自らの成長と向上に責任を持つことができるのです。もちろん、他の人と同じようにミスもしますが、ミスから学ぶ能力があるかどうかで、キャリア形成に成功するリーダーと失敗するリーダーの違いが生まれます。
キャリア形成に失敗するリーダーの多くは、適応できない(あるいは適応したくない)ことがその原因となっています。過去の成功体験から変化する必要はないと考えるため、変化が失敗につながることを恐れ、躊躇してしまうのです。
しかし、適応力を高めることは、キャリアを軌道に乗せるためには不可欠です。リーダーが変化に抵抗することは、自分だけでなく、直属の部下にも悪影響を与え、彼らの出世を妨げる可能性もあるのです。
■キャリア形成の失敗を防ぐポイント
- 変化を受け入れて、そこから学びを得る
- コントロールできるリスクを多く取り、適応力を鍛える(あえて慣れない状況や役割を受け入れるなど)
- 失敗しても立ち直る努力を怠らず、困難から教訓を見出す
- 変化、不確実性、挫折に直面しても、楽観的で回復力のある姿勢を保つ
- 変化にうまく適応して乗り越えている他者から学びを得る
2.より良いチームを作る
チームワークの管理は複雑です。リーダーは、共通の目標を追求するために、グループのメンバーを選び、育て、関与させ、モチベーションを持たせなければなりません。とはいえ、簡単なことではありません。リーダーは、自分自身の結果だけでなく、メンバーの結果にも責任があるのです。
チーム作りが苦手なリーダーは、約束した結果を出すことができません。これでは、チームのメンバーは過小評価されていると感じ、機能不全に陥り、最終的にはチームから離脱してしまうリスクもあります。さらに、こうしたリーダーは、人を管理するのが下手だという評価を受け、より上位のチームを率いることができなくなってしまいます。
■キャリア形成の失敗を防ぐポイント
- 協力的なチームを構築し、リードする能力を身につける
- ワークグループをリードしたり、チームワークを必要とする大規模プロジェクトを管理する機会を得る
- 意識的に人材育成に取り組み、組織のために優秀な人材を発掘し、維持する
- 部下の育成に力を入れる
3.結果を出す
結果を出すリーダーは、組織の業績向上に欠かせません。重要な目標を断固として達成する能力は、他者からの評価ひいてはキャリア形成に大きく影響します。
ただ一方で、リーダーが目標達成などの約束を守らなかったり、過度に野心的であったりすれば、最善の努力も水の泡となってしまいます。
結果を出せないために信頼関係が崩れてしまうことがあります。約束したことを実現できずにディレイルメント(キャリア形成に失敗)するタイプのリーダーは、気づかないうちに現在の能力に不相応なことをしようとしているかもしれません。
人当たりが良く、上司や同僚、直属の部下から慕われている人でも、ビジネス目標に向けて結果を出せなければ、キャリアの階段を踏み外してしまう恐れがあるのです。
■キャリア形成の失敗を防ぐポイント
- 容易に結果にたどり着こうとするのではなく、結果を導き出せるようする
- 他グループや他者の間の調整役を買って出る
- 将来のビジョンを伝える能力、チームメンバーのエンゲージメントを高める能力、組織に有益な変化をもたらす能力を高める
- 過剰な約束をして、十分な成果を上げていないと思われないように、うまく目標を管理できる能力を身につける
4.戦略的思考を養う
戦略的思考とは「流れを読む」ことです。つまり、日々どのような期待と要求がリーダーである自らにかけられているのかを理解し、その仕事やチームを取り巻く戦略的な背景を理解することを意味します。
自らのキャリアを軌道に乗せられる人は、自分の部署のニーズを超えて、全体像を理解することができるため、組織全体の現実とその構成要素がどのように機能しているかを認識し、受け入れることができるのです。
もし組織内の役割の曖昧さや政治、ジレンマ、トレードオフなどの理解や消化に苦労してるのであれば、限られたリソースや厳しいタイムラインで仕事を完了しなくてはならない際に、目標達成が困難になるでしょう。
こうしたリーダーは、組織の仕組みや文化に精通している他者に、リソースの奪い合いで出し抜かれてしまうかもしれません。リーダーが組織内で上位になればなるほど、インフォーマルな組織(組織図を超えた複雑な相関図)に対応する能力は、フォーマルな方針、慣行、規則に従うことと同じくらい重要なのです。
■キャリアを軌道に乗せ、ディレイルメントを防ぐためには
- 自らの専門分野や組織の領域以外の経験を積み、より広い視野を構築する
- 影響力と遂行力をもち、尊敬されているリーダーのアプローチを見習う
5.対人関係のスキルを磨く
知性、考察力、洞察力があれば、キャリア形成を行いやすいでしょう。ただし、同時に生産的な人間関係を構築し、維持できる感覚がなければ、有望なキャリアは軌道を外れてしまいかねません。
「対人関係に問題があること」は「キャリア形成に失敗するリーダー」の主たる特徴です。他者とうまくうやっていく能力があるか否かで、明暗がはっきりと分かれるのです。
キャリア形成に失敗する人は、他の人を巻き込むことができない(あるいは巻き込みたくない)ことから、チームプレイが下手だと思われることがよくあります。キャリアを軌道に乗せるためには、リーダーは自分の強みを活かしつつ、自分の弱みは同僚のスキルや経験に補ってもらいながらバランスをとる必要があります。
これこそが、優れた経営者やリーダーが育むべき協調的な職場なのです。信頼と相互理解に基づいた強力な対人関係が築けてこそ、安定したキャリアを形成できるのです。
一方で、リーダーが対人関係に悩んでいると、小さな誤解が大きな衝突へと発展してしまうことがあります。対人関係の悪化は、不信感の温床となり、リーダーへの信頼が損なわれる原因となります。このような問題が続くと、組織はそのようなリーダーを第一線から外すか、最悪の場合は辞職を促す可能性すらあるでしょう。
キャリアを軌道に乗せるために対人関係のスキルを磨く必要があるかは、どうすればわかるのでしょうか?
CCLの調査により、強力な対人関係を築けないリーダーは、上司、同僚、直属の部下から次のように思われていることが明らかにされています。
- 鈍感である
- 過剰に競争心を持っている
- 孤立している
- 上からものを言う
- 過剰に批判的である
- 過剰に要求する
- 怒りっぽい
- 傲慢である
- 感情的である
- 人を操ろうとする
- よそよそしい
もし、組織内にこのようなリーダーがいるのであれば、キャリアを軌道に乗せられるように、手を差し伸べてあげてください。
■キャリア形成の失敗を防ぐポイント
- 現在の人間関係を強化し、新しい人間関係を構築する能力を養う
- 部門を越えて協力したり、異なるグループと一緒に仕事をする機会を設け、他者を尊重する風土を育てる
- 人の話をただ聞くだけではなく積極的に理解しようとする姿勢(傾聴)や、話をじっくり聞いてから返事をするスキルを身につける
「積極的に理解しようとする姿勢(傾聴)」についてはこちらをご覧ください。
アクティブリスニングとは?コーチングに不可欠なスキルのトレーニング法
誰もが安定的にキャリアを築く組織になるために
キャリアを軌道に乗せるためには、リーダーは健全な自己認識を持つ必要があります。そのためには、チームメンバーがあなたの行動を正直に評価できるようにしましょう。
もちろん、自分自身を見つめ直す姿勢も欠かせません。紹介したポイントのいずれかに弱点があることに気づいたら、軌道修正できるように今すぐ行動を起こして自己開発に取り組みましょう。
そして組織の誰もが安定的にキャリアを築けるようになれば、変化の激しい現代においても組織としての成果や発展も堅実なものとできるのです。
弊社「株式会社インヴィニオ」は人材育成のプロとして、学びを知識や能力のレベルに留まらせるのではなく「実力」へと昇華させることにコミットします。事業の成果として表れるように、人や組織が保有する「成果を生み出す能力」を引き上げ、引き出し、顕在化させることを重視しています。
「安定したキャリア形成を実現したい」「キャリア形成に不安を感じる社員を減らしたい」とお考えの方は、まずはこちらから気軽にお問い合わせください。