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アクティブリスニングとは?コーチングに不可欠なスキルのトレーニング法

LEADERSHIP INSIGHT / CCL | 2021/06/10

アクティブリスニングとは、事実や相手の本心を明確にするためのコミュニケーション技法のひとつです。育成手法として普及しているコーチングにおいても欠かせません。

そこで今回は、アクティブリスニングについて、コーチングにおいても不可欠とされる背景、構成する6つのスキル、自己チェックリスト、トレーニング法を解説します。

いずれも人財育成分野の権威であるCCL(Center for Creative Leadership)による綿密なリサーチ結果に基づいた内容ですので、ぜひ参考にしてください。

アクティブリスニングとは

アクティブリスニングとは、相手の話をただ聞くのではなく、事実や相手の本心を明確にするためのコミュニケーション技法のひとつです。聞くという行為を通じて、相手に気づきや考える機会を与えて、課題解決などへ導きます。「傾聴姿勢」と呼ばれる場合もあります。

もともとは、アメリカの臨床心理学者であるカール・ロジャースが提唱した技法で、カウンセリングに用いられていました。昨今ではビジネスの現場にてコーチングを行う際などに活用されています。

アクティブリスニングはコーチングに不可欠

アクティブリスニングは、組織の育成手法で用いられるコーチングにおいても不可欠です。

部下育成および組織開発の有効なアプローチとして、コーチングが普及しています。

ただ一方では、コーチングに欠かせないはずのスキルセットが忘れ去られ、いつしか「相手に問いかける“だけ”」「相手に考えさせる“だけ”」という「コーチングの形骸化」が少なからず生じています。

アクティブリスニングを駆使し、フィードバックを提供することは決して容易ではありません。日々の業務に追われ、部下の指導に集中する時間とエネルギーが限られている管理職やリーダーも多いのではないでしょうか。さらにコロナ禍以降はリモートでマネジメントを行う機会が増え、対面との違いに苦労するケースも多くなっています。

だからこそ、限られたリソースで最大限の効果を発揮できるコーチングを実現する必要があるのです。報告や連絡、面談など部下との接点をコーチングの機会とすることは可能です。

秘訣は「アクティブリスニング」の実践です。アクティブリスニングにより、部下の本心や課題の本質を引き出し、本人が自らで気づきや解決策を得られるよう導きしましょう。

アクティブリスニングを構成する6つのスキル

アクティブリスニングのスキルセットは6つから構成されます。

  1. 注意を払う:Paying attention
  2. 急いで判断しない:Withholding judgment
  3. 映し出す:Reflecting
  4. 明確化する:Clarifying
  5. 要約する:Summarizing
  6. 共有する:Sharing

以下でコーチングを行う場面を想定しながら、それぞれを具体的に解説します。

1.注意を払う:Paying attention

アクティブリスニングにおいて、まず目指すべきは「相手が考えながら話すために快適な空気を創ること」です。

具体的には、問いかけに対して考えるための「持ち時間」を提供します。追加質問などで相手の思考を断ち切ったり、言語化するためにメモをしたり、考え終わる前にコーチが答えを提供したりしてはいけません。

相手が話す瞬間に集中し、聞き手として尊敬の念を持って行動します。

2.急いで判断しない(Withhold judgment)

アクティブリスニングには、聞き手がもつバイアス(先入観や偏見)に警戒する必要があります。聞き手、そして上司やリーダーとして、アクティブリスニングを実践する際は、新しいアイデアや新しい視点、新しい可能性を受け入れてください。

たとえ確信に近いアイディアや意見を持ったとしても、自分自身のアイディアを売り込んだり、相手を説得したりしてはいけません。自らの判断は一旦保留し、話し手の考えを批判をすることなく良い聞き手であり続けましょう。

3.映し出す(Reflect)

聞いた内容の重要なポイントを定期的に言い換え、聞き手であるあなたの理解と感情を映し出していきます。

相手の話した内容を言い換えて映し出し、共有することで聞き手と相手が同じ風景を見ていることを示すアクティブリスニングに不可欠なスキルです。

たとえば、相手が次のように言ったとします。 「Aさんの部下は、Aさんに対してはとても忠実で協力的です。彼らはAさんの為にどんな無理難題もやってのけてきました。しかし、私からの依頼に対しては、いくら締め切りを守るようにお願いしても全く言うことを聞いてくれないのです・・・」

これを言い換えると、「Aさんの部下の実行スキルは素晴らしいですが、自分から依頼した仕事の締め切りを守らないことは問題です」と表現できます。

もしも相手が「何をすれば良いのかわからない!」や「土壇場でチームを救済するのにうんざりだ!と嘆いていたら、相手が自身の気持ちにラベルを付けるのを手伝ってあげてください。「かなりイライラして、立ち往生しているように聞こえますね。」というだけでも相手と同じ土台に立ち、共感をつくり出すことができるのです。

4.明確化する(Clarify)

アクティブリスニングを行う際曖昧または不明確な問題については遠慮なく質問しましょう。

聞き手として、相手が言ったことについて疑問や混乱がある場合は、「念のため私の理解を確認させてもらえますか?あなたは・・・について話をしているのですか?」と言って明確化の第一ステップを踏み出します。

アクティブリスニングは、相手の正当化を助けたり、相手が言いたいこと・伝えたいことを推測したりするためのものではありません。明確化に向けた質問を投げかけることで相手の内省を促したり、問題解決に向けた建設的な思考に導いたりするのです。

具体例としては、
「・・・についてどう思いますか?」
「・・・について教えてもらえますか?」
「もっと詳しく解説(説明)していただけますか?」
などです。

アクティブリスニングを行う場合、単純に聞くことよりも「尋ねること」に重点がおかれます。相手に内省を促し、協調的な気持ちを維持させるのに役立ちます。

上記の例に対しては、
「あなたが試した具体的なことは何ですか?」
「締め切りを守れない背景について、詳細に確認しましたか?」
「Aさんはパフォーマンスの問題があることを認識してますか?」
「何が起こっているのかの全体像を掴んでいると言い切れますか?」
と尋ねてみると良いでしょう。

5.要約する(Summarize)

会話の要所で、重要なポイントを要約することで、相手の視点を確認・把握することができます。

また、両者が相互の責任とフォローアップについて明確にするのにも役立ちます。アクティブリスニングの実践を通じて理解したことを要約して相手に伝え、相手にも同じことをしてもらいます。

4の例で提起された内容を要約すると、次のようになります。

「私の理解を確認するために要約してみます。Aさんはマネージャーに昇進し、Aさんの部下は彼を慕っています。しかし、あなたの依頼については締め切りが守られず、今も仕事の遅れが発生しているのは事実です。あなたはAさんが部下にきちんと説明責任を負わせていないと考えています。これまでに考えられる全てのことを試しましたが、明らかな改善の兆しは見られません。これであっていますか?」

重要なポイントを再確認することで、両者が相互の責任とフォローアップについて明確にすることができるのです。

6.共有する(Share)

アクティブリスニングとは、まず「相手を理解すること」であり、次に「聞き手として理解されること」です。

相手の視点をより明確に理解するにつれて、自分の考え、感情、提案を紹介し始めることができます。同じような経験について話したり、自分なりのアイデアを共有したりすることもあるでしょう。

このように相手と自分の置かれている状況が話し合われ、共有されるとあなたと相手が共に「何に取組もうとしているのか」、「どのような問題を解決しようとしているのか」がよく分かります。アクティブリスニングを通じて、丁寧にピースを積み上げてきましたが、この「共有」のステージから会話はに移ることができます。

「まだ試していないことは何か?」
「私たちが実はまだ知らない情報は何だろうか?」
「状況を丁寧に共有した後には、どのような新しいアプローチを取ることができるか?」

コーチとして引き続き質問・提案を行いますが、解決策を指示しないように注意しましょう。
自ら解決策を考えて選択することで自信と熱意を得られるのです。

アクティブリスニングのチェックリスト

アクティブリスニングを構成する6つのスキルについて解説しました。ここでは、あなた自身がアクティブリスニングを実践できているかどうか、チェックしてみましょう。

多くの人が「傾聴姿勢」の重要性を理解し、自分自身もアクティブリスニングを行えていると信じています。

しかし、真のアクティブリスニングスキルの開発は簡単なものではありません。批判をうまく受け入れ、感情に対処し、相手が何を考えているかを理解するためには、先に示した6つのスキルを実践し、経験を積みながら身につける必要があります。

自分自身が最善を尽くしているつもりでも、実際には“まったく聞いていない”というサインを無意識に相手に送っている可能性もあります。自分自身の「アクティブリスニング」の実践レベルをチェックしてみましょう。

・相手の話に集中するのに苦労することがある
・相手の話を聞くよりも、次に自分が何を言うべきか考えがちである
・相手が自分自身のアイデアや行動について質問されるのを嫌がったり、面倒がったりすることがある
・相手が完全に説明しきる前に、自分がさっさとアドバイスを与え、解決策を提案することがある
・相手が自ら考え、選択するように促すよりも、自分自身のアイディアを先に出す場合が多い
・相手よりも自分自身が話す時間の方が長い場合が多い

これらの質問の全てに「いいえ」と答えるのは容易ではありません。誰もが一つは「はい」と答えてしまう質問が並んでいます。それくらいアクティブリスニングスキルに注意し、スキルを高めていくことは難しいものなのです。

アクティブリスニングのトレーニング法

そこでコーチングの場に限らず様々な対話の場面において、以下を意識することでアクティブリスニングのトレーニングを行えます。

  1. 相手の話を聞く際は、気を散らすものを無くします。スマートフォンなどのデバイスは音が出ないようにし、話し手に集中できる環境を創ります。話し手の声の調子やボディーランゲージも注視してください。
  2. 自分が言いたいことではなく、「相手が伝えようとしていること」に注意を向けましょう。
  3. 沈黙は悪いことではなく、全ての発言にコメントする必要はありません。丁寧に相づちを打ちつつ、もし対話が中断してしまっても、自分の考えをまとめる時間と認識しましょう。
  4. 相手が自分自身でアイディアや解決策を見出すことをサポートします。「聞く80%:話す20%」を意識するだけでも相手が考える機会を与えることができます。
  5. 「今話してくれたことを私が正しく理解できたかどうか、少し確認させてください。」のように、聞き取れた要点をまとめて伝え、自分の理解が正確かどうかを尋ねます 。ミスコミュニケーションを無くすのに有効な方法です。

相手に対する配慮を忘れずアクティブリスニングを実践することは、あなたが良きリーダーであるためにも大切なことです。アクティブリスニングを実践し続けることで、部下はあなたをより尊敬し、より良い関係性を築けるでしょう。

アクティブリスニングの習得は、リーダーシップ向上にもつながるのです。

 

アクティブリスニングを効果的に習得させるには

アクティブリスニングとは、事実や相手の本心を明確にするためのコミュニケーション技法のひとつです。育成手法として普及しているコーチングにおいても欠かせません。とくに管理職やリーダーの立場を担うメンバーにおいては不可欠のスキルといえます。

ただ、アクティブリスニングおよび傾聴姿勢ついては「重要性は理解しているが、実践はできない」「実践しているつもりだが、成果を実感できない」といったケースが多いのが実状です。

弊社「株式会社インヴィニオ」は、知識や能力のレベルに留まらせるのではなく「実力」へと昇華させることにコミットします。事業上の成果として表れるように、人や組織が保有する「成果を生み出す能力」を引き上げ、引き出し、顕在化させます。

アクティブリスニングやコーチングに関してお困りごと・ご相談などございましたら、こちらからお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人:インヴィニオ編集部