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理想的な組織文化の条件とは?世界的な診断手法をもとに紹介
目次
「理想的な組織文化の条件とは何か」を知りたい企業は多いのではないでしょうか。
変化の時代と呼ばれる現代において継続的に業績を上げ続けるため、自社の根幹を成す「組織文化」の見直しや強化に注力する企業が増えています。
ただ一方で、「具体的にはどのような状態を目指せば良いのかが分からない」という企業も少なくありません。
そこで今回は、理想的な組織文化の条件となる4つの特性と12要素を紹介します。どのような条件を満たせば優れた組織文化といえるのかを具体的な項目で確認できます。
また本内容は、25年にわたって50か国以上・8,000社以上もの業績および組織パフォーマンスの向上を支援してきたデニソンコンサルティングにより開発された「デニソン組織文化診断」を基にしていますので、ぜひ参考にしてください。
理想的な組織文化の全体像
理想的な組織文化の全体像を理解しましょう。以下は、デニソン組織文化診断で用いられる「デニソンモデル」です。
デニソンモデルは、組織文化で重視すべき4つの特性を示しています。具体的には以下の通りです。
■4つの特性
- 方向性:
組織の方向性を理解できているか? - 適応性:
市場/外部環境に適応しているか? - 自律性:
従業員が一体感を持ちつつ、自発的に行動できているか? - 一貫性:
組織能力を発揮・強化できるような価値観、システム、プロセスが整備されているか?
こうした特性を満たしていれば、優れた組織文化であるといえるのです。
また4つの特性は、さらに3つの要素(インデックス)に分類されます。例えば、適応性は変革、カスタマーフォーカス、組織学習の3つに分類されています。詳しくは以下の項目で解説します。
なおデニソンモデルについてより詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
デニソンモデルとは?業績向上につながる組織文化診断のしくみ – 株式会社インヴィニオ (invenio.jp)
方向性
方向性は「組織の方向性を理解できているか?」を示しており、下図の3要素で構成されます。
以下では、3要素を満たした企業の特徴を紹介します。つまり、紹介する各特徴に当てはまるほど、理想の組織文化の条件を満たしているといえます。自社の状況と照らし合わせながらご覧ください。
戦略意図と方向性
「戦略意図と方向性」を満たしている企業の特徴は以下の通りです。
- 当社には長期的目標と進むべき方向性が定められています。
- 当社の戦略は、競合他社の戦略を変更させるほどの影響力があります。
- 当社には意義のある明確な使命があります。
- 当社には将来へ向けた明確な戦略があります。
ゴールと目標
「ゴールと目標」を満たしている企業の特徴は以下の通りです。
- 当社の目標は社内に浸透しています。
- 当社のマネージャー達はチャレンジングかつ現実的な目標をたてています。
- 当社の経営幹部は目標を公言しています。
- 当社では立てられた目標についての進捗状況を常にチェックしています。
ビジョン
「ビジョン」を満たしている企業の特徴は以下の通りです。
- 私たちは自分たちの会社の将来像について、共通のイメージを持っています。
- 当社のマネージャー達は長期的な視点を持っています。
- 当社のビジョンは従業員に夢を与え、モチベーションの源泉になっています。
- 長期的なビジョンを損なうことなく、目先のビジネスをしっかりと行うことができます。
適応性
適応性は「市場/外部環境に適応しているか?」を示しており、下図の3要素で構成されます。
以下では、3要素を満たした企業の特徴を紹介します。先と同様に、紹介する各特徴に当てはまるほど、理想の組織文化の条件を満たしているといえます。
変革
「変革」を満たしている企業の特徴は以下の通りです。
- 仕事の進め方は柔軟で、 すぐに変更することができます。
- 当社は、競合の動きや、その他の事業環境の変化をすばやく読み取り、必要な手を打っています。
- 業務の改善や見直しが常に行われています。
- 変革のためには、異なる部門・部署であっても連携をすることが多くあります。
カスタマーフォーカス
「カスタマーフォーカス」を満たしている企業の特徴は以下の通りです。
- 顧客からのフィードバック(意見や提案)によって組織的な改善がしばしば行われます。
- 顧客の意見は当社の経営の意思決定に直接影響します。
- 従業員全員が顧客の要望やニーズを深く理解しています。
- 従業員は顧客と直接話をすることが奨励されています。
組織学習
「組織学習」を満たしている企業の特徴は以下の通りです。
- 私たちは失敗を、学習と改善の機会として捉えています。
- 新しいことに挑戦し、リスクを取ることが奨励されており、それが評価されます。
- 日常の業務を通じて学習することが、重要視されています。
- 社内全体の出来事を全員が把握できるよう努めています。
自律性
自律性は「従業員が一体感を持ちつつ、自発的に行動できているか?」を示しており、下図の3要素で構成されます。
以下では、3要素を満たした企業の特徴を紹介します。ここまでと同様に、紹介する各特徴に当てはまるほど、理想の組織文化の条件を満たしているといえます。
エンパワーメント
「エンパワーメント」を満たしている企業の特徴は以下の通りです。
- 意思決定は、 関連する知識や情報が最も集まる階層で行われています。
- 情報は広く共有されており、各自が必要なときに必要な情報を入手できます。
- 誰もがそれぞれ会社に貢献できると感じています。
- 計画を立てるとき、関係者はそのプロセスに何らかの形で関わり、意見を言うことができます。
チーム志向
「チーム志向」を満たしている企業の特徴は以下の通りです。
- 異なる部門・部署であっても積極的に協力し合うことが奨励されています。
- 各自がチームの一員であるという自覚の下に働いています。
- 上司からの指示で動くというよりは、チームでやるべきことを決めて仕事を進めます。
- 組織の目標における各自の役割分担が明確に定義されています。
能力開発
「能力開発」を満たしている企業の特徴は以下の通りです。
- 各自が自分の判断に基づいて行動することができます。
- 従業員の能力は常に向上しています。
- 従業員の知識や能力向上のために計画的な投資が行われています。
- 従業員の力は競争力の源泉であると考えられています。
一貫性
一貫性は「組織能力を発揮・強化できるような価値観、システム、プロセスが整備されているか?」を示しており、下図の3要素で構成されます。
以下では、3要素を満たした企業の特徴を紹介します。ここまでと同様に、紹介する各特徴に当てはまるほど、理想の組織文化の条件を満たしているといえます。
価値観
「価値観」を満たしている企業の特徴は以下の通りです。
- リーダーやマネージャーは自分で言ったことを実践しています(言行一致)。
- 当社のビジネスはわかりやすい価値観に基づいて行われています。
- 当社の重要な価値観を無視すると、責任を問われることになります。
- 当社には判断基準となる行動指針があります。
合意
「合意」を満たしている企業の特徴は以下の通りです。
- 意見が分かれても、 お互いにwin-winとなる解決策に向けて最善の努力をします。
- 組織文化が明文化されています。
- たとえ困難な課題に直面しても、 短期間で合意形成が可能です。
- ものごとの正しい進め方についてのルールが共有されています。
組織的協業
「組織的協業」を満たしている企業の特徴は以下の通りです。
- ある程度きまった仕事の進め方があり、 やり方が急に大きく変わることはありません。
- 社内の別組織の人々であっても、共通するものの見方を持っています。
- 組織横断的なプロジェクトであっても、 うまく機能します。
- 組織の各レベルが掲げる目標は互いに整合しています。
デニソンモデルと業績との関連性
デニソンモデルと業績との関連性についてです。ここまで、どのような条件を満たせば優れた組織文化といえるのかを具体的な項目で紹介してきました。ここでは、「売上の増加」や「顧客満足」など6つの業績に対して、どの特性および要素(インデックス)が影響を及ぼすのかを解説します。
具体的には、下図の通りデニソンモデルに基づき「収益性」「売上の増加」「マーケットシェア」「顧客満足」「従業員満足」「イノベーション」の6つの業績に対して、各特性と要素の組み合わせが影響を与えることが明らかとされています。
そのため、「自社がより伸ばしたい業績項目に対して、強化すべき特性・要素はどれか」という見方ができるのです。このように単なる評価や診断だけでなく、業績に直結する診断が行えるのは「デニソン組織文化診断」の特長といえます。
■各特性・要素が業績に与える影響
■組織の主要業績指標を規定する特性と要素