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対人スキルとは?有能なリーダーの共通例を基に仕事を通じたトレーニングで磨く

対人スキルとは、他者と円滑かつ効果的なコミュニケーションを行うための様々な能力や技術の総称です。傾聴力や質問力、交渉力、協調性、責任感などが含まれます。
とりわけ仕事でリーダーを務める場合は、部下の育成やチームワークの向上など、あらゆる場面で対人スキルを求められます。多くのスキルを求められるリーダーの立場においても、特に重要視されるスキルといえるのではないでしょうか。
また、良好な人間関係を構築し、維持することに長けている有効なリーダー達は、いくつかの共通した対人スキルを有していることが、世界を代表するリーダー育成の専門機関であるCCL(Center for Creative Leadership)によって明らかとなりました。
そこで本記事では、対人スキルの基本情報、有能なリーダーに共通する対人スキルの具体例、仕事上での対人スキルの重要性、仕事上のトレーニングで対人スキルを磨く方法を紹介します。本記事で紹介する内容は、先述したCCLが長年の支援実績および綿密なリサーチを基に導き出したものですので、ぜひ参考にしてください。
対人スキルとは
対人スキルとは、他者と円滑かつ効果的なコミュニケーションを行うための様々な能力や技術の総称です。仕事において対人スキルを発揮することで、チームワークが促進されたり、社内外で協力関係を築けたり、仕事の効率性や生産性が向上したりします。
一般的な例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 傾聴力
- 質問力
- 交渉力
- 共感力
- 協調性
- 責任感
- リーダーシップ
- 対立解決能力
- チームマネジメント能力
- チームビルディング能力
- プレゼンテーション能力
- コーチング能力
有能なリーダーに共通する対人スキルの具体例
有能なリーダーに共通する対人スキルの具体例を、5つ紹介します。
1.自己認識(Self-Awareness)ができている
有能なリーダーは、自分の長所と短所だけでなく、自分の行動が周囲にどのような影響を与えるかについても理解しています。
例えば、部下に対して細かく指示を出すことは、部下たちが「自分が信頼されていない」「評価されていない」といった不満を感じるリスクがあることを認識しています。
このように自分の行動が与える影響を頭に入れることで、社員や顧客にどう接するべきかを調整することができるのです。
2.重要な仕事や意思決定を部下に委譲できる
部下に仕事を任せることは、効率的なリーダーシップの方法であるだけでなく、チーム内の信頼関係の構築や、社員が経験値を高めて自信を得ることなどに寄与します。
また、部下に仕事を任せることで、リーダーは率直かつ一貫性を持った評価を行い、社員のやる気を引き出し、その努力に対して報酬を与えることになります。
例えば、親が子に後片付けをするようにしつける様子を考えてみてください。最初はゆっくりかもしれませんが、やがて子はスキルを身につけ、家庭内でいろいろ手伝いができるようになるのです。
3.高い関係構築力を有する
有能なリーダーになるには、誰ひとり孤立させることなく、交渉を行い、仕事上の問題を処理することが求められます。そのためには、リーダーとしての共感力と、相手の視点やニーズを理解することが必要です。対人スキルを磨いたリーダーたちは、職場内で優しさを発揮し、あらゆる人と調和の取れた人間関係を構築できます。
生徒、保護者、教師、教育委員会と同じように接することができる校長に出会ったことはないでしょうか。もし出会っていれば、彼らの人間力の高さを実感しているはずです。
4.参加型のマネジメントスタイルをとっている
優れたリーダーは、周囲を巻き込み、合意形成し、効果的な意思決定を積み重ねます。
ここで、異なるスタイルを持つ2人の市長を例に比べてみましょう。片方の市長は参加型で、もう片方は独裁型です。
当初、人間関係や協調性、幅広いコミュニケーション能力を重視する参加型の市長は、独立心がより強い市長に比べて、有能さに欠けるように見えるかもしれません。しかし、時間が経つにつれ、参加型の傾向がより強く表れたマネジメント・スタイルを発揮していきます。そして高い対人スキルを持つ参加型の市長は、周囲に影響を与えながら重要な施策への支持を得ることができるようになり、優れたリーダーかつ才能に溢れた行政官だと評価されるのです。
一方、権威主義的な独裁型の市長は、多くの政治的障害に直面し、強行的な姿勢を崩せないため対立や反発を生み、非常に問題の多い人物とみなされます。
以上の例からも、参加型のマネジメントスタイルをとることの大切さを理解できます。
例で挙げた参加型の市長が有する「影響力」については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。
リーダーの影響力を高める4大ポイント|組織やチームとの信頼を築くコツをプロが紹介 – 株式会社インヴィニオ (invenio.jp)
5.建設的かつ効果的なフィードバックを行う
フィードバックを効果的に行いつつ、フィードバックを行う際に犯しがちな間違いを避けられるのも有能なリーダーの特徴です。
フィードバックを与えることで、部下たちは現状を知り、目標を再確認させ、自発的な努力を促すことができます。フィードバックをする場合、「一つのメッセージに絞る」「具体的な内容にする」「相手の心情を配慮する」ことを重視しましょう。そして、相手の人となりではなく、実際にとった行動で判断することを忘れてはなりません。
人間関係の構築に長けていることは、単なる性格的特徴ではなく、リーダーシップ上の重要なスキルです。そして、リーダーにとって朗報なのは、それらのスキルは誰もが向上できるという点です。
仕事上での対人スキルの重要性
仕事上における対人スキルの重要性をあらためて整理します。
仕事においては、単なる業務成果だけでなく、対人スキルの有無が成功するリーダーになれるか否かを決めます。
会社の観点で言えば、「良い人間関係は金なり」です。会社が必要としている人材は、成果を生み出す人間関係を構築できる人材なのです。
成功できないリーダーを類型化し評価した研究によれば、彼らの最大の弱点は、「人間関係を構築・維持する能力がないこと」であり、それが企業にとって最大の障害であると結論付けています。人間関係の構築能力が低いリーダーは、キャリアにおいて道を踏み外す危険性が高いことがあらゆる研究を通じて判明しています。
確かに、人間関係を構築し、発展させ、維持する能力を生まれつき有する人も存在します。しかし、成功できるリーダーはたとえどんなに賢くても、「自らの知識や経験を駆使すれば、対人スキルの欠点を補うことができるだろう」などという希望は抱きません。有能なリーダーは、能動的に対人スキルを磨くものなのです。
強固な人間関係がなければ、リーダーはチームをまとめ上げる場合や、プロジェクトを達成する場合に苦労します。社員たちが同じ目標に向けて協力し合い、良好な関係を構築するためには、対人スキルの強化は欠かせません。
また対人スキルは、絶えず変化する市場環境において、リーダーが自らの経営スタイルを適応させようとする際の手助けとなることでしょう。
今後は対人スキルを含む「ソフトスキル」が求められる
多様性やハラスメントなどが注目されるなか、職場の人間関係は今後ますます複雑化すると予測されます。そして、これからの時代のリーダーには、対人スキルを含む「ソフトスキル」がより強く求められるでしょう。
ソフトスキルとは、コミュニケーション能力やリーダーシップのような非定量的なスキルのことです。資格の有無や成績で定量的に示せるハードスキルと対を成します。
ソフトスキルは職場における「真の」影響力につながります。また、影響力を「暗示する」役割にすぎない役職上の肩書きだけでなく、人間関係におけるつながりの強さによって社員が上司を信頼し「成果につながるために必要なことは何でもしよう」という気持ちにさせます。そのような特性を有することこそが、決断力を効果的に発揮でき、機知に富んだリーダーになることができる唯一の道といえるでしょう。
また、ソフトスキルについては、こちらの記事で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
ソフトスキルとは?ハードスキルとの違いや役職別の一覧をビジネス向けにプロが紹介 – 株式会社インヴィニオ (invenio.jp)
仕事上のトレーニングで対人スキルを磨く方法
世界のリーダーを対象とした調査によると、対人スキルは高く求められるスキルであり、同様に、対人スキルを向上させ、変化する企業文化の中でそのスキルを活用することも強く求められています。そして対人スキルは、仕事上のトレーニングを通じて磨くことが可能です。
1. 自己認識を強化する
より効果的な人間関係を築くための第一歩は、現実的な視点に立ち、自らの能力を見極めることです。
自己認識を高めるには、まず自分がどのように同僚たちと接しているか見つめ直しましょう。自らが同僚たちにどのような対応をしているかを評価し、同僚たちは身振りや言葉を使ってどのような反応を示すかに注目するのです。
こうしたことはオフィスに籠もっていたらできないため、自ら表に出ましょう。社員たちとアイコンタクトをとりましょう。他の拠点に散らばっている社員がいれば、会いに行きましょう。
電話やメールに頼っていれば関係を築くことはできません。相手が来るまで待つのもいけません。また、画面上だけのコミュニケーションにとどまる場合は、web会議システムで顔を写しながら会話をするなど可能な限り効果的な方法で行うようにしましょう。
この最初の評価によって、社員や同僚との立ち位置を把握することができます。自覚ができたら、弱点を取り除き、既存のスキルを強化するための継続的な取り組みを始めてください。
2. あらゆるレベルの人々と繋がりを持つ
人との関係は何もないところには生まれません。組織内のあらゆる役職・部署の人々と関わりを持ちましょう。優秀かつ有能なマネジャーは、こうすることで、社内の部下たちに対する視野を広げます。成功するリーダーは周囲を巻き込むのに長けていますが、何よりもそれを始めるための人脈がなければ、他人を巻き込むことは不可能です。
人間関係は、積極的に耳を傾け、情報を共有することで生まれます。これは、良い状況でも悪い状況でも同じです。チームメンバーから直接情報を得ることによってのみ、リーダーは意思決定を下す際や改革時において影響を受ける人々を巻き込むことができるのです。
耳を傾け、情報を共有し、企業の目的を広めることで、エグゼクティブは先を見越して解決策を見出すことができます。
良好な人間関係は、ポジティブな方法で問題に対処することにより築かれます。厳しい決断を下す場合でも、周囲を孤立させないポジティブな方法で伝えることで、より受け入れやすいものになります。最も優れたマネージャーは、合意点を見つける努力をし、どのようにすれば人の扱いがうまくなるかを知っているのです。
3. 対立関係が生まれることを認識する
そして最も実用的な対人スキルを構築する方法は「現実を受け入れること」です。相反する立場を生まない決断や戦略は存在しないことを認識しましょう。
ただし、優れた対人スキルがあれば、対立や意見の相違を最小限に抑えることができます。
また、当事者間で対立する可能性があるとしても、有能なリーダーであればその問題に対処することが可能です。優れた対人スキルを活用して、状況を落ち着かせて対立状態を解決し、協調の精神を築き上げることができるのです。
対人スキルの高い有能なリーダーを育てるために
対人スキルとは、他者と円滑かつ効果的なコミュニケーションを行うための様々な能力や技術の総称です。また、有能なリーダーに共通する対人スキルは以下の通りです。
- 自己認識ができている
- 重要な仕事や意思決定を部下に委譲できる
- 高い関係構築力を有する
- 参加型のマネジメントスタイルをとっている
- 建設的かつ効果的なフィードバックを行う
そして、仕事を通じたトレーニングによって対人スキルを磨くためには、まずは自己認識を強化することから始めて、あらゆるレベルの人と積極的に関わっていき、対立関係が生じることも許容することが大切です。
弊社「株式会社インヴィニオ」は、組織能力開発・人財開発の専門企業として20年以上にわたり支援実績を積み重ねてきました。CCLをはじめ世界中のアライアンスパートナーから最先端のノウハウを得ており、知識習得や能力アップのレベルに留まらせるのではなく「実力」へと昇華させることにコミットしています。
対人スキルの強化やリーダーの育成に留まらせず「事業上の成果」が表れるように、個人や組織が保有する「成果を生み出す能力」を引き上げ、引き出し、顕在化できるのが強みです。
対人スキルの高い有能なリーダーを育てたい、先ず自らがそうなりたいとお考えの場合は、ぜひこちらから気軽にお問い合わせください。