leadership-insight
リーダーシップインサイト

- ホーム
- リーダーシップインサイト
- 管理職を育成する|変化の時代におけるリーダーシップ開発の基本
管理職を育成する|変化の時代におけるリーダーシップ開発の基本

目次
管理職を育成するためには、変化の時代におけるリーダーシップ開発の基本を理解しておくことが欠かせません。
昨今「管理職になりたがらない人が増えているが、どうしたらいいか?」という相談が増えてきています。
一方で、将来の予測が困難な「変化の時代」においてもリーダーシップを発揮し、成果をもたらせる人材が求められるのも事実です。
そこで今回は、従来の管理職の育成方法を確認することから始め、リーダーシップ開発の基本や、重要となる内省力を強化する先端技法「シミュレーション」について紹介します。本コラムをきっかけに、変化の時代に対応したリーダーシップ開発を始めましょう。
変化の時代に対応していない管理職の育成方法
まずは、変化の時代に対応していない管理職の育成方法とは何かを理解しましょう。
管理職の育成に悩む企業における登用および育成の現状は、およそ以下の通りです。
- 登用試験は筆記と面接
- 面接ではインバスケットやケーススタディ等の手法を用いることはある
- 昇進・昇格後の研修内容は管理職の心得的なもの、コンプライアンス、部下の目標設定・評価ポイント(人事制度の再理解含む)、そこに役員講話などを入れるケースが多い
- 昇進・昇格研修終了後は、ほぼノータッチ
ポイントが網羅されている印象を受けますが、「変化の時代」「多様性の時代」「グローバルの時代」のリーダーおよびマネージャー育成においては「不十分」と言わざるを得ません。
例えば、登用時もしくは登用後に行われるインバスケットやケーススタディは考えるべき前提条件がお膳立てされており、何が正しいのかという正解まで準備されています。そのため、変化・不確実な世界の中で戦わなくてはならないリーダーやマネージャーにとっては、ほぼ役に立たないといっても過言ではないのです。
それではリーダーやマネージャーが現場で力を発揮し、成果をあげるための育成手法とはどのようなものでしょうか。答えは「経験から学ばせる」というリーダーシップ開発の王道です。次の項目で詳しく解説します。
管理職を育成するリーダーシップ開発の基本は「経験から学ばせる」
管理職を育成するリーダーシップ開発の基本は「経験から学ばせる」ことが基本であり、王道です。
「10(研修):20(他社からの学び):70(経験)」もしくは、「リーダー育成の3つのE(Education、Exposure、Experience)」などは広く知られていますが、この中でも「経験/Experience」からの学びが最も大きいとされています。
なお最近では「どれが重要か」というよりは「3つの要素が入っていることが重要」というように理論が修正されています。
そして経験からいかにして学ぶのかのプロセスをモデル図で表したのが、有名なコルブ(David A. Kolb)の経験学習サイクルです。
上記の経験学習サイクルも広く知られるようになっていますが、さらにこのモデルを深めて洗練させたものが、下記の松尾教授による経験学習モデルです。
「内省/リフレクション」はコルブのモデルと松尾教授のモデルのどちらにおいても重視されてます。ただ、松尾教授のモデルではリフレクション(進行形の内省)とされていることがポイントです。
事業スピードが求められる現代においては、単に内省が大切というよりも「進行形の内省」とする方が適切であり、内容も下記の通り具体的です。
- やりながら考えている・内省している
- 他者からフィードバックを求めている
- 批判的な意見にも耳を傾けている
管理職の育成に重要な内省力を強化する先端技法「シミュレーション」
管理職の育成に重要な内省力を強化する先端技法「シミュレーション」について紹介します。まずは、シミュレーションの類型を理解しておきましょう。
シミュレーションにはいくつかの種類がありますが、下図の縦軸により「リーダーシップ行動を開発するためのもの」と「ビジネス知識を強化するためのもの」に大別されます。
さらに横軸により「自他比較による内省を中心とするもの(Comparative)」と、「複数チームが一つの市場をめぐって競争しながら学習するもの(Competitive)」に分かれます。なお自他比較は、自分の理想と現状の姿で比較する場合もあります。
一般的な経営シミュレーションは左下に位置づけられ、弊社インヴィニオが発展させてきたシミュレーションは右上になります。重要なポイントは、どこに位置づけられるかによってシミュレーションの優劣があるのではなく、学習のプロセスと学習のポイントが異なることです。
筆者も一般的な経営シミュレーションをいくつも経験したことがあります。その際は、競争環境に置かれると皆が熱中して場が盛り上がり、通常の研修よりも楽しいと感じた経験があります。
ただし、競争環境においては「学び」よりも暗黙的に「他のチームに勝つこと」が優先されてしまいがちです。特に企業数字の話になると、日常業務で財務会計に慣れているメンバーの発言力の方が、どうしても大きくなってしまう点は注意が必要です。
内省力を身に着けた自律的な管理職を育成するために
内省力を身に着けた自律的な管理職を育成するためには、シミュレーションが有効です。
私たちインヴィニオも数年前から海外企業とのパートナーシップを拡大し、主力サービスである組織能力開発のノウハウを磨き上げています。さらに組織能力を実際に発揮して企業成果につなげるためのリーダーシップ開発プログラムを発展させてきました。
弊社がパートナーシップを結んでいる企業は多数ありますが、例えば、世界のリーダーシップ開発のトップであるCCL(Center for Creative Leadership)、ベストセラーケーススタディや世界的に有名な教授の研究成果を取り入れたシミュレーションを開発している米国Forio社などが挙げられます。
とりわけForio社は、世界のトップビジネススクールが唱えている「ケーススタディ、ケースメソッドはもう古い。新たな手法、しかもデジタルネイティブに対応できる手法を開発したい」というニーズに基づいた開発を行っています。
こうして世界中の先端技術やノウハウを取り入れ、組織能力開発およびリーダーシップ開発を各企業へ提供するなか、ここ数年において際立って高評価を得ているシミュレーションがあります。
それが、あの「心理的安全性」の生みの親であるエイミー・エドモンソン教授監修のシミュレーション「エベレスト」です。
「心理的安全性」の提唱者が監修したシミュレーションによるリーダーシップ開発については、こちらのコラムをご覧ください。
心理的安全性の提唱者が監修した手法「エベレスト」によるリーダーシップ開発
「管理職の育成が課題だが、何から始めるべきか分からない」「育成だけでなく事業成果として表れるプログラムが良い」という方は、ぜひこちらからお気軽にお問い合わせください。