「組織能力」開発とは?
広辞苑によれば「能力(capability)」とは「物事をなし得る力。はたらき」のこと。
そうすると、「組織能力」とは「組織として物事をなし得る力」のことを指します。
組織というのは人の集合体である以上、「組織能力」は個々人の能力の総和となります。
ただし、ビジネスでは能力は潜在的なものでは意味がなく、行動や活動を通して顕在化されて初めて価値があります。
つまり、組織能力とは、組織の一人ひとりが行動や活動を通して発揮する力の総和のことと定義できるのではと考えれます。
一方で、組織が蓄積してきた有形資産、無形資産も能力を発揮することがあります。
たとえば、
- 高度に自動化された生産設備→他社よりも安く物を作ることができる、であったり、
- ブランド→他社よりも高い値段で物を売ることができ、高い利益率を享受することができる
- 豊富なキャッシュ→M&Aを通して時間を購入し、ビジネスを立ち上げることができる
といったことが能力を発揮している状態として考えることもできます。
しかしながら、これらの有形・無形の資産を積み上げてきたのは人の活動であり、それらの資産が陳腐化することのないよう磨き続けているのも人の活動であることを考えると、結局のところ、「組織能力」とは、「組織の一人ひとりが行動や活動を通して発揮する力の総和」であると定義することができるのではと我々は考えます。
そのように定義した場合、こちらの図のような考え方ができるようになるのですが、この図から2つの重要な示唆を導くことができます。
①ベクトルの向きを揃えること
合力は、個々のベクトルの向きが揃った時に最大の長さとなります。
パーパスやビジョンあるいはバリュー(行動規範)など、個人個人の活動の方向性を示すものを浸透させて向きを揃えたり、予算制度や評価制度などが、活動の方向を揃えることを阻害しているのであれば、それらの阻害要因を取り除くことが重要になります。
②ベクトルの一本一本を長くすること
トレーニングやリスキリングを行って一人一人の対応できる範囲を広げたり、エンゲージメント(成長意欲、貢献意欲)を高めて、持てる力を最大限に発揮してもらう=一人一人のベクトルを長くすることなどが決め手となります。